変化し続けるということ
甲野善紀先生とは、点と点を繋いで初めて見えてくる存在だと思う。
今回、夜間飛行から出されたDVD『甲野善紀 技と術理2014 内観からの展開』は中でも貴重な「点」と言えるだろう。また夜間飛行というプラットフォームを得て、よりリアルタイムに近い形で甲野先生の経過を知ることができるようになったことをありがたく思う。
甲野先生の術理がもつ価値は「武道やスポーツといった各分野に役立つ新たな身体操作」という範囲にとても収めきることはできない。
甲野先生の周囲には、内面的な変容を余儀なくされ、その結果自らの道を歩むようになった者が数多くいる。目下ロシア武術システマのインストラクターとして、いくつかの著作を上梓させて頂いた私自身もそうであるし、鍼灸師の若林理砂氏、介護の岡田慎一郎氏、半身動作研究会の中島章夫氏など、直接知る限りでも枚挙の暇がないほどである。
こうした人々が甲野先生から何を受けとったのか。それは実は術理そのものではない。次から次へと術理を生み出し、変化し続けるそのあり方なのである。そのあり方とは、安易な正解に固着することなく、つねに疑い、身体を通して試行錯誤し続ける強さである。この「甲野善紀 技と術理」シリーズは、そうした甲野先生のあり方を感じることができる作品である。
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