石田衣良ブックトーク『小説家と過ごす日曜日』より

株の運用、まずはゲームから

※石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」より
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― さあ、続いては株式運用について。最近、株式投資を体験できるシミュレーションゲームが増えているようです。個人的にはいいなと思うんですけど……。

衣良:やらないよりはやったほうがいいと思います。ゲームはゲームなんですけど、手を動かすクセというのは、その人の性格がすごく出るんですよ。損をしたときの痛手、たとえば「一晩で数百万消えちゃった」みたいな怖さは分からないと思うんですけれど、それでもやったほうがいいです。

なぜかというと、みんな株って簡単だと思っているじゃないですか。「買って値上がりすれば儲かるんだろう?」って。でもそういうものではまったくないんです。株って慣れが必要で、相場のいろんな局面でどう動いたらいいのか分かるようになるまでに、5年から10年はかかるすごく難しいゲームなんです。

でも、老後のことを考えると、資金の運用は避けて通れません。これから年金もどんどん削られますしね。若いうちから少しずつ「痛み」を勉強したほうがいいと思います。「一切傷つきたくない」「怖い」といって手を出さないのは、女の子の素晴らしさをわからないまま恋愛をしないでいる草食男子と一緒です。確かにそれだと、一生資産は減りませんよ。でも当然、増えもしないですよね。

若いうちに、ゲームでもいいから損をしたときのつらさというのを少しずつ学んで、無理のない範囲で「金融商品ってなんなのか」「自分だったらどう投資するのか」ということを絶対に勉強したほうがいいと思います。普通以上の知性がある人だったらおすすめしますね。基本的には、物事が分からないアホな人にはおすすめしません。すごく危ないですし、ギャンブルではないので。

一年もやっていれば、最初の資金を半分にしてしまうことや、すべて失うことは簡単ですから。それでも勉強する価値はあることですから、5年、10年と時間をかけるつもりで始めてみてはいかがでしょうか?

― 実際に資金を投じて運用するとなると、少しハードルが高いと感じるかもしれませんが、ゲームを使ってシミュレーションできるのはいいですね。

衣良:もちろんゲームもいいんですけど、できれば仮想資産1000万というような設定で始めるのはやめたほうがいいですね。ぜんぜんリアルじゃないし、調子に乗るだけだから。今はNISAもありますし、ボーナスのうち30万円くらいを投資に回して、「よし、月に5%の利益を出すことを目標にしよう。儲けの1万5千円は飲み代にしよう」くらいのつもりでやってみたらどうでしょうか。

30万円を10万円に分けて好きな株を3つ買ってもいいいですね。自分の好きな業界でもいいので、銘柄をどう選ぶか、どの分野に特化するのかということをちゃんと考えてみてください。

― 最初から無理しても続きませんし、5年から10年のスパンで考えるということですね。

衣良:そうそう。5年から10年である程度投資技術が身についたら、そのあとの30年、40年という時間が使えるんだよね。だからなるべくは若いうちから始めたほうがいいですね。

 

石田衣良ブックトーク『小説家と過ごす日曜日』

Vol.006(2015年9月25日)目次

00 PICK UP「ぼくが好きな女性のタイプ」
01 ショートショート「オーダーメイドベイビーズ株式会社」
02 イラとマコトのダブルA面エッセイ〈6〉
03 “しくじり美女”たちのためになる夜話
04 IRA'S ワイドショーたっぷりコメンテーター
05 恋と仕事と社会のQ&A
06 IRA'S ブックレビュー
07 編集後記

 
kinei大好きな本の世界を広げる新しいフィールドはないか?
この数年間ずっと考え、探し続けてきました。
今、ここにようやく新しい「なにか」が見つかりました。
本と創作の話、時代や社会の問題、恋や性の謎、プライベートの親密な相談……
ぼくがおもしろいと感じるすべてを投げこめるネットの個人誌です。
小説ありエッセイありトークありおまけに動画も配信する
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石田衣良
1960年、東京都生まれ。 ‘84年成蹊大学卒業後、広告制作会社勤務を経て、フリーのコピーライターとして活躍。 ‘97年「池袋ウエストゲートパーク」で、第36回オール読物推理小説新人賞を受賞し作家デビュー。 ‘03年「4TEENフォーティーン」で第129回直木賞受賞。 ‘06年「眠れぬ真珠」で第13回島清恋愛文学賞受賞。 ‘13年「北斗 ある殺人者の回心」で第8回中央公論文芸賞受賞。 「アキハバラ@DEEP」「美丘」など著書多数。 最新刊「オネスティ」(集英社) 公式サイト http://ishidaira.com/

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