※石田衣良ブックトーク「小説家と過ごす日曜日」より

▼Q.1▼
私は男の人と付き合う前に、別れる時のことを想像するクセがあります。まだ始まってもいないのに、どういう問題が起きて、どういうところが嫌になって、別れるときはどうしようかと妄想して、面倒くさくなってしまいます。人との別れは相手も自分も傷つけるし精神的に痛手を被ることがわかるからです。
いつも「付き合ってみないとわからない」という結論に至り、付き合うのですが、結局想定したどおりの展開になって別れてしまいます。その展開にならない人と結婚するんだろうなとは思うけど、もっとウキウキした気持ちで恋愛を楽しみたいので、そのクセをどうにかしたいです。
【A】
たぶん、あなたは過去に手ひどい別れ方をしたことがあるんでしょうね。なので、怖くて自分の中で予防線を張っているんだと思います。ただ、終わりが嫌になるというなら、恋愛だけじゃなくて生きることそのものも同じじゃないですか。「最後に死ぬことが分かっている人生をなぜ生きているのか?」と言われたら、確かにその通りなんですよ。でもその過程でいろいろありますよね。自分が変わることもあるし、成長することもあるから生きているわけじゃないですか。なので、恋愛に結果だけを求めるのは意味が無いと思いますね。
たとえば「結婚に至らない恋愛はすべてムダ」とか「子どもが生まれない結婚はすべてムダ」という考え方になったら、それはそれでつまらないでしょう。人はロジックだけで生きているわけではないので。
もちろん、自分の性格や彼の性格を当てはめれば、別れの方程式はできると思うけど、それを1回やめてみませんか? もったいないと思うなあ。そんなことで生きることすべてを空虚にしてしまうのは。
それに関しては、就職も同じだと思います。会社に入る前に、「生涯賃金がいくら」と計算して決める人がいるじゃないですか。でも、人間は金を得るためだけに働いているわけではないでしょう。それと同じで、結婚のためだけに恋愛するわけではない。あなたは「過程にある豊かさ」をもっと考えたほうがいいと思います。つきあい始めの胸がおどるようなワクワクする感じ。そういうことをもっと評価してあげないと。別れることなんてそれに比べたら最後の最後の一コマですから。「別れるときと、死ぬときは別」って考えて生きていくほうがいいんじゃないですかね。
石田衣良ブックトーク『小説家と過ごす日曜日』
Vol.006(2015年9月25日)目次
00 PICK UP「ぼくが好きな女性のタイプ」
01 ショートショート「オーダーメイドベイビーズ株式会社」
02 イラとマコトのダブルA面エッセイ〈6〉
03 “しくじり美女”たちのためになる夜話
04 IRA'S ワイドショーたっぷりコメンテーター
05 恋と仕事と社会のQ&A
06 IRA'S ブックレビュー
07 編集後記
大好きな本の世界を広げる新しいフィールドはないか?
この数年間ずっと考え、探し続けてきました。
今、ここにようやく新しい「なにか」が見つかりました。
本と創作の話、時代や社会の問題、恋や性の謎、プライベートの親密な相談……
ぼくがおもしろいと感じるすべてを投げこめるネットの個人誌です。
小説ありエッセイありトークありおまけに動画も配信する
石田衣良ブックトーク『小説家と過ごす日曜日』が、いよいよ始まります。
週末のリラックスタイムをひとりの小説家と過ごしてみませんか?
メールお待ちしています。

http://yakan-hiko.com/ishidaira.html
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