家入一真メールマガジン「家入学級」2015年11月20日 Vol.50より
洋服から家までシェアする時代に
最近、高木新平がシェアリングエコノミーにまつわる活動を始めました。
※「Share! Share! Share!」
(編注・高木新平さんのプロフィールはこちら)
シェアリングエコノミーは、これから確実にくると思います。ただ、企業が入ると一気におかしくなる可能性も秘めている。Airbnbとかも、今は儲かることに気付いた業者が、入ってきているんですよ。そうなると、シェアが本来のより添い合いのシェアじゃなくっていく。
ひとつ言えるのは、シェアリングエコノミーは、不特定多数と特定少数を相手にするのでは設計が変わるということ。同じシェアでも、一台の車を少人数で「自由に使っていいよ」とシェアするのと、Airbnbみたいに不特定多数へ向けてシェアを公開するのとでは、違いますよね。
僕は、洗濯機なんて一家に一台なくてもいいと思っています。近隣の人たちで一台を使えば、ことたりる。その代わりに性能のいいやつを買えば、洗濯物もふんわり仕上がる。いい車を数人で買ってシェアしてもいい。ほかにも、作りすぎた料理とか、洋服とか。そういう、特定少数向けのコミュニティには、すごく興味があります。
特定少数のほうがコミュニティが維持しやすい
ちょっと広がるけど、地域コミュニティも同じです。アメリカには地域SNSなんかもあります。それが、不特定多数になった瞬間に壊れていく。無制限にコピーされて広がっていくので、炎上とか情報リスクが高くなる。
ツイキャスがなんで流行ったかというと、フォロワー限定だから。そうすると、安心感のなかで放送できるんですよね。それにひきかえ、ニコ生は全国放送なので叩かれてしまう。あと、サロンをやっている人も、居心地がいいって言いますね。
不特定多数が相手じゃないからこそできる表現とか、安心感は絶対的にある。そこに関してまだやれることはいろいろある。例えばマンションだけのコミュニティがあってもいいと思う。
要は、濃度の問題なのかな。より限定したほうが濃密なコミュニティができる。人数が増えるほど、薄まっていく。
だから、シェアリングエコノミーの肝は、コミュニティ形成をどうするかだと思う。
ひとくちにシェアリングエコノミーといっても、対象が特定少数なのか、不特定多数なのか、コミュニティをどう作るかで全然別物になる。
さっき企業が入ってくるとおかしくなると言ったけど、企業が入ってくるからダメというわけではないんです。コミュニティをどう守るかという観点で、企業との付き合い方を考えなきゃいけない。
例えば、バーニングマンはギフト経済で成り立っているけど、企業のロゴやスポンサーをいっさいNGとしているのは、コミュニティを守るためですよね。スポンサーなんていくらでもつけられるはずだけど、あえてそれはしない。
シェアリングエコノミーに関しては、「シェア」という言葉だけではなく、コミュニティをどう作るかというところから、入った方がいいと思います。
<この記事は家入一真メールマガジンVol.050(2015年11月20日発行)からの抜粋です> 最新号のご購読はこちらから!
家入一真メールマガジン「家入学級」
Vol.50(2015年11月20日発行)
目次
1時間目:今日の授業「ギャラリーという落としどころ/シェアリングエコノミーとコミュニティ設計」
2時間目: Q&A フランス国旗のアイコン/キャリアポルノ
3時間目:「深夜のお悩み相談」一問一答
4時間目:メディア情報・活動予定/学級日誌/次号予告


その他の記事
![]() |
誰も無関係ではいられない「メディアの倫理」(小寺信良) |
![]() |
京都で実感した宗教を超える文化のグローバリゼーション(高城剛) |
![]() |
週刊金融日記 第291号【SegWit2xのハードフォークでまた天から金が降ってくるのか、日経平均は1996年以来の高値にトライ他】(藤沢数希) |
![]() |
4月4日自民党党内処分云々の是非と今後(やまもといちろう) |
![]() |
初めての『女の子』が生まれて(やまもといちろう) |
![]() |
東大生でもわかる「整形が一般的にならない理由」(岩崎夏海) |
![]() |
『犯る男』朝倉ことみさん、山内大輔監督インタビュー 「ピンク映画ってエロだけじゃない、こんなすごいんだ」(切通理作) |
![]() |
アマチュア宇宙ロケット開発レポートin コペンハーゲン<後編>(川端裕人) |
![]() |
「身の丈」萩生田光一文部科学相の失言が文科行政に問いかけるもの(やまもといちろう) |
![]() |
成功を導くのは、誰からも評価されない「助走期間」だ–天才を育む「ひとりぼっちの時間」(ソロタイム)(名越康文) |
![]() |
週刊金融日記 第265号 <日本社会で多夫一妻制が急激に進行していた 他>(藤沢数希) |
![]() |
22年出生数減少の「ですよねー」感と政策の手詰まり感のシンフォニーについて(やまもといちろう) |
![]() |
世の中は感情とシステムで動いている(本田雅一) |
![]() |
ピダハンから考える信仰における「ほんとう」について(甲野善紀) |
![]() |
ブラック企業と奴隷根性(岩崎夏海) |