城先生から「先生は、やめていただくと、うれしいです。先生は、自然。人間を先生にすると、今の世になります。」そして、その後、城先生からの年賀状に「人間基準と自然基準では正反対になります。実践でそれを味わっています」とあったらしい。K女史は大変丁寧な方なので、当初「城先生」と呼ぶつもりであったらしいが、城先生からこのような要望が出されたので、いっしょうけんめい「城さん」と呼ぶ練習をして、講習会に臨まれたらしい。K女史の人柄を知っているだけに、その報告のメールを読んでいて、何となく微笑が浮かんできた。
さて、私はこの城先生と3月7日に、東京のど真ん中、銀座の中央公論新社で公開トークを行なう事になっているのだが、ここで城先生をどのようにお呼びするかという事が、ひとつの大きな課題として浮上してきた。ものを教える立場の人を「先生」と敬称で呼ぶことは、一つの日本の伝統的習慣である。私も日本の武術という、いわば日本の伝統的世界の末端に関わっている者として、その常識の中にいる。ただ、それはあくまでも私自身の価値観の習慣性や美意識の問題であるから、他人に対してそれを強要するつもりは全くない。したがって私は、ただ、相手が呼びたいように呼んでもらうだけである。しかし、私も相手によっては「甲野先生」などと呼ばれると、あまり居心地が良くないことがある事は確かだ。

その他の記事
![]() |
【ダイジェスト動画】名越式仏教心理学を語る(名越康文) |
![]() |
「ルールを捨てる」とき、人は成長する 世界のトップビジネスパーソンが注目する「システマ」の効果(北川貴英) |
![]() |
柔らかい養殖うなぎが美味しい季節(高城剛) |
![]() |
【対談】乙武洋匡×山本一郎 自分の人生を使って、どんな絵を描くか(1)(やまもといちろう) |
![]() |
セキュリティクリアランス法案、成立すれども波高し(やまもといちろう) |
![]() |
カーボンニュートラルをめぐる駆け引きの真相(高城剛) |
![]() |
復路の哲学–されど、語るに足る人生(平川克美) |
![]() |
日本が観光立国になり得るかどうかの試金石はVIPサービスにあり(高城剛) |
![]() |
「先生」と呼ぶか、「さん」と呼ぶか(甲野善紀) |
![]() |
『数覚とは何か?』 スタニスラス ドゥアンヌ著(森田真生) |
![]() |
それ「悲報」でもなんでもないから――化粧品はお肌に浸透しません!(若林理砂) |
![]() |
「ゴールデンウィーク」という呼び名の由来から考えるメディアの寿命(高城剛) |
![]() |
「キャラを作る」のって悪いことですか?(名越康文) |
![]() |
人生の分水嶺は「瞬間」に宿る(名越康文) |
![]() |
「甘い誘惑」が多い街、東京(高城剛) |