紀里谷和明
@kazuaki_kiriya

紀里谷和明のメールマガジン「PASSENGER」より

「見て見て!」ではいずれ通用しなくなる–クリエイターの理想としての「高倉健」

※紀里谷和明メールマガジン「PASSENGER」2014年12月12日 Vol.028より

 

――「最近、本を読まなくなった」と言う声をどの世代の方からも聞きますが。紀里谷さんは読んでいますか。

俺自身もなかなか読めなくなっています。今はやっぱりスマホがあるから1時間を読書にさくということが、なかなか難しい。あんまりよくないですよね。とにかく、情報が多いのが問題だと思う。

「モノを持たない」ようにするのと同じで、今はなるべく情報の排除をすすめていかないといけないなと思っているんです。たとえば、できることなら、Eメールとかはなくしていきたい。うちの会社は、すでに痕跡を残さないメールアプリとか使っていますけれども。

 

――本も映画も、作り手には厳しい時代なんでしょうか。

今は、みんなが誰かの時間を欲しがっているでしょう。子どもがお母さんの時間を欲しがるように。ありとあらゆる企業や人が、ユーザーの時間を欲しがっている。時間を割いてもらうには、注目してもらわないといけない。だから、炎上マーケティングなんかは子どもが「お母さん、こっち見てよ」って騒いだりいたずらをするのと原理は同じですよね。とにかく気をひくために目立つことをやる、という感じになっている。でも、それって本当に必要なの? と思うんですよね。

というのは、映画もそうなんです。「できるだけ多くの人に見てもらわなきゃいけない」というのが前提にある。それは、本当にその通りなんですけど、「とにかく注目されることに一番の価値があるんだ」というふうになってしまうと、何が本当に大事なのか、よくわからないじゃないですか。

「見て見て」って言われなくても見てもらえるようにすることのほうが本当は大事であって。

人も同じだと思うんですよ。やっぱり(高倉)健さんみたいな人が、一番いいような気がする(笑)。「見て見て」と言わなくても、みんなに見てもらえるような生き方(あり方)が、理想なんじゃないでしょうか。

 

 

紀里谷和明メールマガジン「PASSENGER

2014年12月12日 Vol.028<「わけがわからないけど面白い」は許されない?>ほか

目次36
===========
1.最近のキリヤ
2.映画監督デビューから10年、今振り返って思うこと
3.今週のおすすめ映画/特別編
4.「わけがわからないけど面白い」は許されない?
5.お蔵出しフォト
6.メディア掲載・作品など
===========
※購読開始から1か月無料! まずはお試しから。

※kindle、epub版同時配信対応!

 

紀里谷和明メルマガ「PASSENGER」のご購読はこちらから

 

紀里谷和明
映画監督・写真家紀里谷和明。生まれ育った熊本から15歳で単身渡米、全米屈指のアートスクールで建築・デザイン・音楽・絵画・写真などを学ぶ。世界中を旅しながら、PVやCMなど表現の場を広げ、2016年には初のハリウッド長編映画を公開予定。 紀里谷和明公式サイト:Kiriya.com/クリエーターSNSサイト:freeworld.tv

その他の記事

メディアの死、死とメディア(その1/全3回)(内田樹)
人生に一発逆転はない–心の洗濯のススメ(名越康文)
YASHICAブランドのスマホ向け高級レンズを試す(小寺信良)
週刊金融日記 第304号【楽しいのはパーティーか読書か、世界の株式市場が大暴落、新大久保で美味しいネパール料理他】(藤沢数希)
花盛りとなるステマ関連が見せる地獄の釜の淵(やまもといちろう)
「親しみの空気」のない論争は不毛です(名越康文)
死をどのように受け止めるか(甲野善紀)
私的な欲望で天災が大災害へつながることを実感するカリブの小さな島(高城剛)
「リボ払い」「ツケ払い」は消費者を騙す商行為か(やまもといちろう)
新陳代謝が良い街ならではの京都の魅力(高城剛)
【高城未来研究所】「海外に誇る日本」としてのデパ地下を探求する(高城剛)
「大テレワーク時代」ならではの楽しみ(高城剛)
暦から社会と自分の未来を読み解く(高城剛)
上杉隆さんのこと、日本のメディアのこと(茂木健一郎)
福永活也さんの「誹謗中傷示談金ビジネス」とプロバイダ責任制限法改正の絶妙(やまもといちろう)
紀里谷和明のメールマガジン
「PASSENGER」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回(金曜日配信予定)

ページのトップへ