甲野善紀
@shouseikan

甲野善紀メールマガジン「風の先、風の跡――ある武術研究者の日々の気づき」

迂闊に「学んで」はいけない–甲野善紀技と術理 2017「内腕の発見」

夜間飛行から1年に1度、出しているDVDのシリーズを初夏の頃、チェックしていて気づくことは、私の技は、このDVDに収録されている前年の主な気づきが基盤になっているということである。

例えば、今回のDVDのテーマにもなっている「内腕」は、現在では完全に私の技の中に溶け込んでいて、もはや、ことさら「内腕」という言葉を使うことも稀になっているが、今回、このDVDを観て、改めて「内腕」の気づきの大きさを再確認した。

また、このDVDの中でも触れている「フロー」と呼ばれる三昧状態に入ることの重要さについては、現在も大きなテーマとなっている。

その他、唾を飲み込みやすくすることで、腰を楽に使うことの説明は、私の記憶の中には、もちろんあったが、このような形で、あらためて説いている場面を見ていると、このことを説いていた自分とは違った気づきが生まれてきて、私にとっても大変新鮮だった。

さらに、抜刀術の演武と解説に至っては、この通り、せっかく新たな展開に気づきかけていたのに、その後、忙しさもあって、追求がままならない状態になっていたことに気づき、あらためて研究をしてみようという気になった。

そして、このDVDを観ていて感じたことは、迂闊に「学ぶ」「習う」ということをしてしまうと、それによって固定観念が刷り込まれ、将来、もっと開かれていたはずの可能性が、閉ざされてしまう恐れがあるということである。その危険性は、以前から、うすうす感じていたので、私は「正しい基本」といった言い方は、決してしないようにしてきたのだが、今回、この映像を世に出すにあたって、これをご覧になる方は、「ああ、こういうことも出来るのか」という参考にされる以上に、私の動きを事細かに学ばれないようにしていただきたいと思う。

本当に身についた動きというのは、あくまでもその身体の内部から湧いてくるものであって、自発的な気づきによって導かれていくものであることを、あらためて強調しておきたい。


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甲野善紀
こうの・よしのり 1949年東京生まれ。武術研究家。武術を通じて「人間にとっての自然」を探求しようと、78年に松聲館道場を起こし、技と術理を研究。99年頃からは武術に限らず、さまざまなスポーツへの応用に成果を得る。介護や楽器演奏、教育などの分野からの関心も高い。著書『剣の精神誌』『古武術からの発想』、共著『身体から革命を起こす』など多数。

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