高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

夏至にまつわる話

高城未来研究所【Future Report】Vol.574(6月17日)より

今週は、東京にいます。

久しぶりに東京に戻ると季節はすっかり変わり、曇っているのに湿度が高い梅雨らしい日々が続きます。
数ヶ月前に東京を出た時には、まだまだ肌寒い花粉症の季節でしたが、現在、長く滞在していたカリブ海とはまったく違う気候に身体がかなり戸惑いを感じています。
こんな時は、体調を崩さないように相当気をつけないといけません(特に発汗によるミネラル不足)。

さて、今週は夏至。一年のうち、もっとも日が長い1日として知られる夏至ですが、この日が昼の長さが一番長いからといって、日の出時刻が最も早く、日の入り時刻が最も遅いわけではありません。
実は、日の出が最も早いのは夏至の一週間ほど前で、日の入りが最も遅くなるのは夏至の一週間ほど後。
その中をとって、昼間の長さ(日の出から日の入りまで)が最も長い日が夏至です。

これは、地球が太陽のまわりを回る面(公転面)に対して自転の軸が傾いていることや、太陽のまわりを回る軌道(公転軌道)が真円形でないことなどによって起きる現象で、南北に広がる日本では日の出が最も早い日と日の入りが最も遅い日は南へ行くほど差が大きくなることから、夏至の日に国内で最も日没が遅いのは沖縄だと考えられています。

しかし、この時期に日が暮れるのは真東からではなく南東側からゆえ、意外なことに那覇より福岡のほうが日没時間が遅いのです。
ちなみに、東京より福岡のほうが夏至の日没時間に30分以上差がありますので、晴れていれば九州北部はサンセット撮影に最高の時期となります!

古来より冬至は「太陽が生まれ変わる日」として祝われ、為政者によって太陽神とキリスト教が習合し、クリスマスに変わった歴史があるように、夏至も為政者によってミッドサマーと呼ばれる習合祭事が催されてきました。
夏至は冬至生まれのイエス・キリストより半年早く生まれた(と勝手に決められた)ユダヤ教の預言者ヨハネの祝祭日とされ、夏至祭はユダヤ教とキリスト教の聖人の日と伝統の季節の祝祭が一緒になって、北欧を中心に盛大な祭りが行われています。
また、夏至の前夜に摘むハーブは、特に効果が高くなると言われていることから、近年は大麻を夏至の前夜に収穫するのが一種のブームで、カナダなど一部の夏至祭(ミッドサマー・フェスティバル)は、焚き火を囲む大麻祭の様相を見せています。

一方、日本では夏至を祝う風習はあまりありませんが、この日の翌週に山開きが行われる場所が多々あります。
この場合の「山開き」とは、霊山などの登山を解禁することで、もともと神仏を祀る霊山に入れるのは修験者などの一部の人だけでしたが、江戸時代から夏至を境に夏の一定期間、庶民の入山も許されるようになりました。
この入山が許される日の儀式などを「山開き」と呼ぶようになり、山開きに倣って海水浴の解禁日を「海開き」と呼ぶようになるのです。

周囲を海に囲まれ、16000以上の山々を持つ世界でも類を見ない国。
今年も大自然を満喫できる日本の夏がはじまります!
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.575 6月24日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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