鏡リュウジ
@Kagami_Ryuji

鏡リュウジのメルマガ『プラネタリー夜話』より

ハロウィン:あの世とこの世の境界線が曖昧になるとき

なぜ堂々とお化けや魔女のお祭りを?

この時期は、オカルト歳時記では1年のハイライトですね。そう、いわずとしれたハロウィンがあります。日本でも仮装パーティが行われたり、ショップにいくとかぼちゃお化け(ジャック・オーランターン)をあしらったディスプレイが目立ったりして。

イギリスでは10月に入るころになると、街にはお化けや魔女、ドクロやジャック・オーランターンなどのチョコレートがあちこちで売られて、それはもう賑やか。かのフォートナムメイソンの地下の売り場なんて、ぜひごらんいただきたいくらいです。

でも、キリスト教のヨーロッパでなぜこんなお化けや魔女のお祭りが堂々と?

そもそも、ハロウィンはオール・ハロウズ・デイ(All Hallows)の前夜祭を意味します。キリスト教の聖者(hallow)すべてを祭る11月1日の前夜は、死者の魂が地上にもどってくるときだとされていました。それを、All Hallows Eve、つまりハロウィンとして、祝っているのです。

また11月2日は、すべての死者の祝日でAll Soul's Dayとされています。けれど、キリスト教では本来、死者は最後の審判のときまで復活しないのですし、どうもおかしい。それもそのはず、ハロウィンの起源はキリスト教よりも古いヨーロッパの風習にさかのぼるのです。

1年のなかで、この時期はケルトの新年に当たりました。それはSamhainサオィンと呼ばれていて、ちょうど秋分と冬至の真ん中にあたるときです。このころから本格的な冬が始まり、死と聖の世界が入れ替わるのです。

1年を車輪に見立てると、ちょうどその反対側は春分と夏至の間の4月30日から5月1日。これはベルテインの火祭りであり、太陽の光を火を焚いて応援するとき、そして魔女たちが大宴会をする「ワルプルギスの夜」ともされてきました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヴァルプルギスの夜

1 2
鏡リュウジ
1968年3月2日生まれ。占星術研究家・翻訳家。国際基督教大学卒業、同大学院修士課程修了(比較文化)。占星術・占いに対する心理学的アプローチを日本に紹介したことで、幅広い層から圧倒的な支持を受け、従来の『占い』のイメージを一新する。英国占星術協会、英国職業占星術協会会員。日本トランスパーソナル学会理事。平安女学院大学客員教授。

その他の記事

古都には似つかわしくない最先端の「現代日本語」講座(高城剛)
宇野常寛特別インタビュー第5回「落合陽一のどこが驚異的なのか!」(宇野常寛)
結局Apple WatchとAndroid Wear搭載Watchは何が違うのか(小寺信良)
なんでもアリのハイレゾスピーカー「RS-301」を試す(小寺信良)
全てを飲み込む神仏習合こそが日本の本質(高城剛)
国会議員は言うほど減らすべきか?(やまもといちろう)
フェイクと本物の自然を足早に行き来する(高城剛)
海外旅行をしなくてもかかる厄介な「社会的時差ぼけ」の話(高城剛)
「わからない」という断念から新しい生き方を生み出していく(甲野善紀)
“今、見えているもの”が信じられなくなる話(本田雅一)
夏休み工作、今年の「音友ムック」はQWT型!(小寺信良)
企業のトップストーリーについて思うこと(やまもといちろう)
週刊金融日記 第268号 <ビジネスに使えて使えない統計学その2 因果関係を暴き出す他>(藤沢数希)
「銀の弾丸」も「必勝の奇策」も世の中にはない(やまもといちろう)
昨今の“AIブーム”について考えたこと(本田雅一)
鏡リュウジのメールマガジン
「プラネタリー夜話」

[料金(税込)] 550円(税込)/ 月
[発行周期] 月2回発行(第2,第4月曜日配信予定)

ページのトップへ