※高城未来研究所【Future Report】Vol.429(2019年9月6日発行)より
今週は、スリランカにいます。
ここ10年ほど、18ヵ月から24ヶ月に一度のペースでスリランカにあるアーユルヴェーダ施設に通って、心身のデトックスとメンテナンスに務めています。
アーユルヴェーダは5000年以上前のヒマラヤに源流をもち、天然のハーブ、習慣の改善、ヨガ・瞑想、食事などで、ライフスタイルをありとあらゆる側面から見直し、総合的なアプローチによって健康に導く、WHO(世界保健機関)が認める世界最古の伝統医療です。
南インドを中心に伝承がひろがったアーユルヴェーダが、いまも原型に近いのまま現存するのが、実はスリランカ。
それは、国家として伝統医療省(通称・アーユルヴェーダ省)を設立し、伝承保護と人材育成に多大な努力を惜しまなかったこと、さらに、この島国が別名「緑の島」と呼ばれるほどハーブが豊富なことに理由があります。
現在では、本場南インドにある州立のアーユルヴェーダ専門病院にスリランカ産ハーブを送るまでになり、アーユルヴェーダはスリランカを代表する産業にまで成長しました。
アーユルヴェーダは、体はもちろん、頭に効きます。
秘術の一つである「シロダーラ」は、額にオイルを垂らす施術で、日本でもエステサロンで表層的には取り入れられているものの、スリランカで受ける本物とはまったく似て非なるものだと訪れるたびに実感しています。
というのも、「シロダーラ」の施術には最低でも4日間が必要です。
まず、被施術者は、ドクターによるコンサルテーションを受けます。
その後、体内にある毒素を先に数日かけて排出します。
そこでドクターは、被施術者が本来もっていた体質と現在の体質との違いを見極め、それを修正するため、個々にあった適切なオイルを選んで1時間かけて額に垂らし、その後、24時間をかけて頭部に浸透させるのです。
この間インターネットはもとより読書や会話まで、情報をインプットすることは一切禁止され、脳に詰まったノイズをクリアにします。
これを最低でも二昼夜続けます。
この「シロダーラ」後の開放感と浮遊感は実に驚くべきもので、いままで多くの体験をしてきたと自負する僕でも、他に類を見ない感覚が得られます。
それゆえ、脳にノイズが溜まったころを見計らって、(まるで癖のように)スリランカに通うようになりました。
ちなみに、満月の日には施術は行われません。
しかし、ここに訪れるためには、誰でもまとまった休みを取ることが必要です。
一度、いままでの生活空間から大きく離れ、スリランカのアーユルヴェーダで本格的デトックスに取り組む。
この日常からのちょっとした旅立ちこそが、なによりのデトックスなのかもしれないな、と考える今週です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.429 2019年9月6日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
その他の記事
「歳を取ると政治家が馬鹿に見える」はおそらく事実(やまもといちろう) | |
身体に響く音の道――音の先、音の跡(平尾文) | |
出力してこそ、入力は正しく消化される(高城剛) | |
ライカのデュアルレンズを搭載したスマートフォンの登場(高城剛) | |
宗教学たん執筆の記事とメルマガ『寝そべり宗教学』について(夜間飛行編集部) | |
「群れない」生き方と「街の本屋」の行方(名越康文) | |
伸びる人は「2週間1単位」で生活習慣を整える(名越康文) | |
「家族とはなんだって、全部背負う事ないんじゃない?」 〜子育てに苦しんだ人は必見! 映画『沈没家族 劇場版』(切通理作) | |
シュプレヒコールのデジャブ感—大切なのは、深く呼吸をすること(名越康文) | |
季節の変わり目はなぜ風邪をひきやすい?(若林理砂) | |
得るものがあれば失うものがある(甲野善紀) | |
百田尚樹騒動に見る「言論の自由」が迎えた本当の危機(岩崎夏海) | |
お盆の時期に旧暦の由来を見つめ直す(高城剛) | |
ゆとり世代に迫るタイムリミット(岩崎夏海) | |
年末年始、若い人の年上への関わり方の変化で興味深いこと(やまもといちろう) |