津田大介
@tsuda

『メディアの現場』vol.44「MIAUからのお知らせ」より

Tカードは個人情報保護法違反に該当するのか?

個人情報を第三者に提供するための条件

いろいろなサービスを利用する上で、私たちは企業に個人情報を渡すことがあります。この時に企業に渡したデータの取り扱いは「個人情報の保護に関する法律」(以下個人情報保護法)で定められており、経済産業分野においては経済産業省が定めるガイドラインが示されています。企業が得た個人情報が複数の企業にまたがって利用されることを「第三者提供」といいますが、本人の同意をとることなく個人情報を第三者提供することは法律で禁じられています。しかしこれには例外があって、ある一定の条件を満たせば、本人の同意なく個人情報を第三者提供できる仕組みがあります。

その条件は、以下の4つの条件を本人に通知あるいは本人が簡単にわかる状態にしておき、そして本人から申し出があれば情報の提供を停止するというものです。

1. 第三者への提供を利用目的とすること
2. 第三者に提供される個人データの項目
3. 第三者への提供の手段又は方法
4. 本人の求めに応じて当該本人が識別される個人データの第三者への提供を停止すること

この仕組みを「オプトアウト」といいます。このオプトアウトの仕組みを整えておけば、本人の同意なく第三者提供を行うことが可能になります。しかしこのオプトアウトの整備以外にも、個人情報をほかの会社に提供できる例外が個人情報保護法には定められています。それが「委託」「事業の承継」「共同利用」という3つの規定です。今回はこの「共同利用」という仕組みが問題のキーになっているとのことなので、この共同利用について法学者で個人情報保護法がご専門の鈴木正朝先生に聞いてきました。

1 2 3 4 5 6
津田大介
ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。1973年生まれ。東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース非常勤講師。一般社団法人インターネットユーザー協会代表理事。J-WAVE『JAM THE WORLD』火曜日ナビゲーター。IT・ネットサービスやネットカルチャー、ネットジャーナリズム、著作権問題、コンテンツビジネス論などを専門分野に執筆活動を行う。ネットニュースメディア「ナタリー」の設立・運営にも携わる。主な著書に『Twitter社会論』(洋泉社)、『未来型サバイバル音楽論』(中央公論新社)など。

その他の記事

TikTok(ByteDance)やTencentなどからの共同研究提案はどこまでどうであるか(やまもといちろう)
乱れてしまった自律神経を整える(高城剛)
女子高生に改正児童ポルノ法の話をした理由(小寺信良)
幻の鳥・ドードーの来日説を裏づける『オランダ商館長の日記』(川端裕人)
41歳の山本さん、30代になりたての自分に3つアドバイスするとしたら何ですか(やまもといちろう)
菅直人さんVS橋下徹さん&日本維新の会を「ヒトラー」と指弾し揉めるの巻(やまもといちろう)
週刊金融日記 第295号【ビットコインで儲けたお金をベンチャー企業につっこもう、米国法人税率20%が実現すれば空前の好景気が到来する他】(藤沢数希)
私的な欲望で天災が大災害へつながることを実感するカリブの小さな島(高城剛)
観光業の未来を考える(高城剛)
これからの時代にふさわしい正月らしさとは(高城剛)
人々が集まる場に必要なみっつの領域(高城剛)
資本主義の「貪欲さ」から逃げるように拡散するエッジ・ブルックリンの本当の魅力(高城剛)
言語を問うことの意味(甲野善紀)
日本の未来を暗示する名古屋という街(高城剛)
公共放送ワーキンググループがNHKの在り方を巡りしょうもない議論をしている件(やまもといちろう)
津田大介のメールマガジン
「メディアの現場」

[料金(税込)] 660円(税込)/ 月
[発行周期] 月1回以上配信(不定期)

ページのトップへ