やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

萩生田光一師匠、ガセネタを流し続けてきた深田萌絵を刑事告訴


 もっぱらネットミーム的な観点で騒ぎが拡大していた深田萌絵さんのガセネタ乱舞の件ですが、一足先に自由民主党の重鎮・萩生田光一さんが深田萌絵さんを刑事告訴するという話に無事発展した模様です。

深田萌絵氏、刑事告訴で反響

 いやあまあ、半導体業界に関わることとかある程度私も知見のある分野で深田萌絵さんが書いている告発的な内容を見たことがありますが、基本的にほぼ全面的にガセネタですからね…。勇気ある告発者というよりは、かなりいかれた深刻な嘘つきのレベルではないかとも思うので、いずれこのような問題が起きるのではないかとは思っていましたが、まさか萩生田光一さんが腹に据えかねて時間かけて刑事告訴に迄至るとは思ってもいませんでした。

 日付的には2025年5月29日に萩生田光一さんの事務所が深田萌絵さんに対して刑事告訴を行ったことを発表した形ですが、これはもう警視庁(警察)の捜査が行われる前提となりますので詳細はあまり多くは記されていません。告訴の理由に関しても、深田さんによる「度重なる誹謗中傷」であり、萩生田氏の事務所は、警告を発していたものの止まなかったため、法的措置を取ったという、簡単なものであって、具体的に何がどうである、その間、いかなる話し合いがあったのかといった内容は書かれていません。まあそりゃそうなんですが、これはもう何らかの結論がお沙汰あるまでお預けという感じになりますでしょうか。
 
 一方、深田萌絵さんは、X上でこの告訴について言及し、自分が「内乱罪」や「陰謀罪」、さらには「選挙干渉罪」で告発されていると述べています。

 深田さんは、近く予定されている衆議院選挙において、萩生田氏の地盤である八王子市から立候補する意向を示しており、この告訴は選挙活動への妨害ではないかとの声も上がっています。

 正直、動画で深田さんが言っている内容は一般的な法律知識を持つ人たちからすれば理解を超越した内容なので、また適当な駄法螺吹かしやがってという話ではないかと思います。正直、内乱罪や陰謀罪というものが萩生田光一さん単体の刑事告訴でどうにかされるものではなく、ましてや衆議院選挙の選挙準備が具体的にあるものでもない中で選挙活動の妨害だと言われてもだからなんだとしか言いようがありません。

 少なくとも、X上の投稿では、萩生田氏が深田氏を告訴した背景に、F35技術の盗難事件が関係している可能性や中国の浙江財閥やTSMCが関与しているとのネタも出てきていました。もちろんガセネタなんですが、これに加えて「F35技術が中国の浙江財閥によって盗まれた」とし、萩生田氏とTSMCが深田氏を攻撃しようとしていると主張している内容を見るとそもそもそういう話があるのなら萩生田さんどうのこうのは抜きにしてきちんと背景関係や事実・物証をその屏風の中から出してきてからみんなで吟味しましょうよ、という話になるのではないかと思います。

 このように、深田さんはSNS上で自分を「内乱罪」「陰謀罪」「選挙干渉罪」で告発されていると主張していますが、萩生田さんの事務所は告訴の詳細を控えているものの、罪状はあくまで名誉毀損であることを示唆しています。当たり前っちゃ当たり前なんですが、萩生田さんも変なのに憑り付かれた挙句に後始末迄しなければならなくなっているのは可哀想とすら感じるところなんですよね。

 いちいち深田さんが書いた萩生田光一さんに関する書き込みを例示することは控えますが、過去の裁判例や法的な解釈からも、深田氏の発言が名誉毀損に該当する可能性が高いとは思います。そこまで至った背景として、やはり自由民主党から出馬を熱望していた深田萌絵さんが萩生田光一さんから一顧だにされず出馬できなかったことを逆恨みしているものではないかと予想します。これについては、少なくとも私の知る限り、自由民主党の国勢選挙ならびに地方選挙においてをや、深田萌絵さんを公認候補として(公募を経ている前提であれば)検討したことはなかったと記憶しているので、深田さん本人がそう言っているだけの可能性が高いと思うんですよ。

 ましてや、深田さんの自民党からの公認出馬について、そもそも公募にもかからず検討もしていない以上は萩生田さんが妨害することも特にないわけでして、具体的に、誰か何かその話をされていたのをご存知でしたら私が知りたいので教えてほしい、というのが正直なところです。

 この手の話では通常、名誉毀損として削除訂正謝罪と賠償を求めて民事訴訟でも争うことのほうがはるかに多いのですが、今回萩生田氏が刑事告訴を選択したのは、深田氏の行為が繰り返され、公共の利益にかかわるため、刑事罰を科すことでより強い抑止力を持たせたいとの判断があったと考えられます。深田さんに限らず、特定政党や議員個人を名指しで根拠なく攻撃し、誹謗中傷や名誉棄損を重ねる自称インフルエンサーも多い印象ですので、これからは、類似の刑事告訴のような事例も増えていくのかもしれません。

 その点で、やはり刑事告訴は民事訴訟よりも重いペナルティを科すことが可能であり、また、事態の推移如何では刑事が終わった後で民事訴訟をやってもいいわけです。政治家としての立場を守るための手段として選ばれた可能性があります。また、告訴状の受理には数ヶ月を要したと説明されており、法的手続きの初期段階にあるようですが、少なくともすでに警視庁から深田さんのところへは架電があったようです(本当かどうかは分かりません)ので、まあとっととやっちゃってほしいというのが正直なところでしょうか。
 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」

Vol.479 萩生田光一さんが深田萌絵さんを刑事告訴した件に触れながら、先行き不安な日米関税交渉や米大統領がかかわる仮想通貨ビジネスのあれこれについて語る回
2025年5月31日発行号 目次
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【0. 序文】萩生田光一師匠、ガセネタを流し続けてきた深田萌絵を刑事告訴
【1. インシデント1】日米関税交渉の行き詰まりそうな気配が漂ってますが、大丈夫でしょうか
【2. インシデント2】トランプ一家が暗号資産ビジネスで絶好調らしい件
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

 
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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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