小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」より

私の出張装備2016-初夏-

※メールマガジン「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」2016年6月17日 Vol.086 <モノに歴史あり号>より




今年は海外出張が多い。国内出張も多い。海外は1月からほぼ毎月どこかに行っている。今月も現在、サンフランシスコ>ロサンゼルスと移動しながらの取材の最中である。なんだろう、あんまり自宅にいる記憶がない。

実は、海外出張の前の週は、新著の執筆で都内某所に篭っていた。いわゆる「缶詰」という奴だ。別にかっこよくはない。他の用件を全部シャットダウンし、書籍の執筆に専念しなきゃいけないくらい切羽詰まっている、というだけの話だ。そんなスケジュールをひく原因になった、どこかの誰かに恨み言を言いながら仕事中である。

というわけで、今年はとにかく、出張装備のまま仕事をすることが多い。せっかくなので、私の出張装備について解説してみよう。このメルマガでも過去の出張装備に触れているので(検索してみたところ、2015年1月29日 Vol.067で書いたようだ)、バックナンバーなどを使い、そちらも参照しつつお読みいただけるととてもありがたい。

さて、私の出張装備、とはいうものの、過去と現在ではけっこう方向性が変わった。2014年あたりが境目だったように思うが、過去には「出張装備」と「日常装備」の間に大きな差があった。毎日使っていて、カバンに入っている仕事用の道具と、出張用のものは全然違ったのだ。

だが現在は、出張装備と日常装備の差は減った。PCもしくはタブレットが1台増えること、カメラを入れ替えること。それだけだ。

そもそも筆者は、「出張時には必須の道具を2つもつ」ことをポリシーとしてきた。PCも2台、カメラも2台、電話も音声レコーダーも2台だった。片方がなくなったり、壊れたりしても大丈夫なように、である。

結果、機内持ち込み荷物はかなり重く、大きかった。サブのカメラ用のACアダプターやサブのICレコーダーなどは、預入荷物に入れておくようにしていた。

だが、である。

今はそれがかなりシンプルになった。PCを除き、「サブの2台目」をスマートフォンがこなしてくれるようになったからだ。結果、音声レコーダーは1台になり、カメラも1台になった。

しかも、充電は基本的に「USBで行えるもの」しか選ばないようにした。これで、ACアダプターの類も一気にシンプルになる。なくしたところで、世界中どこででも手に入る。

現在、日常的に使っている装備は以下の通りだ。

- PC iPad Pro 12.9インチ もしくは Surface Pro 4
- カメラ SONY DSC-RX100M3
- レコーダー SONY HDR-MV1
- ACアダプター ANKER PowerPort5+USB-C
- スマートフォン iPhone 6s Plus もしくは Nexus 5X

PC系とスマートフォンは、時々に応じて使いわけているので不定だが、両方、ということは少ない。この程度なら、普段使いのバッグに楽々入る。Suraface Pro 4以外はすべてUSB充電可能だから、追加のACアダプターも不要だ。Surface Pro 4のACアダプターについては、日本はもちろん、アメリカ・ヨーロッパでも、マイクロソフトの直営店「Microsoft Store」に行けば必ず在庫があるので、なくしたり故障したりした時のリスクは小さい。これはアップル製品でも同様の良さがあり、他社のPCが選びづらい理由になっている。

これらに加え、USBケーブルを3本、東芝製のTranferJetアダプターを巾着型のポーチに入れてあり、それで装備は終了だ。総重量は5kgに満たないと思う。スタイラスペン類は、本物のペン(万年筆や赤ボールペン)と共に、筆箱に普通に入れている。

これが「出張装備」となると、

- Surface Pro4とiPad Proを両方持参
- カメラがSONY DSC-RX10M2に変更
- スマートフォンはiPhone 6 PlusとNexus 5Xを両方持参

になる。カメラは一気に大きく重くなるが、望遠に強くなり、フィールドを選ばなくなる。PC系とスマホが「2つ」になるのは用心のため。どちらかあれば、今の仕事は滞りなくできる。移動中に本を読んだり地図を見たりするのは、主にiPadの仕事だから、そういう意味では、タブレットは「必須装備」だ。

・現在の出張装備。カメラは写っていないが、だいたいこんな風に机に機材を広げ、仕事をしている。

また、以前は海外でSIMを調達し、それで通信をするためにSIMフリーのポケットルーターを持っていたのだが、今はそれもない。iPad Proがセルラー版なので、そこに入れればいいからだ。今後はPCを買う時も「SIMが刺さらないものは買わない」と決めている。そのくらい、単体で通信ができるのは便利だ、と身に染みて感じる。

というわけで、出張装備になっても、重量は3kgも増えない。同じカバンですっぽり入る。それでいて、衣類を除けば、預け入れ荷物が紛失しても仕事に支障はない。

おそらく、こんなパターンが完成系なのだろうな、となんとなく思っている。変わるとすれば、PCがACアダプターを必要とするものから、「USB type C」で充電するものに変わる、というとことかと思う。そうなれば、わざわざ荷物に追加しているSurface Pro 4のACアダプターもお役御免だ。

結局は「ひとつでいくつもの役割を果たす」「失っても替えが効く、補充が効く」というあたりがポイントなのだろう。

若干迷っているのは、ここに「360度カメラを必須にするか」否か。一応リコーのTHETA Sは常備しているが、360度写真での情報提供も必須になるなら、それも考えなくてはいけない。

まあでも、映像ではなく「文字屋」である私は、この程度のものがあれば、どこでも仕事はできてしまうのだなあ……、と、改めて確認しているとことである。

 

小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ

2016年6月17日 Vol.086 <モノに歴史あり号> 目次

01 論壇【小寺】
 撮像素子から見るソニーの歴史
02 余談【西田】
 私の出張装備2016-初夏-
03 対談【小寺】
 フリーライターの健康保険サバイバル(1)
04 過去記事【小寺】
 HDMI 2.0がやってくる!
05 ニュースクリップ
06 今週のおたより
07 今週のおしごと

 
12コラムニスト小寺信良と、ジャーナリスト西田宗千佳がお送りする、業界俯瞰型メールマガジン。 家電、ガジェット、通信、放送、映像、オーディオ、IT教育など、2人が興味関心のおもむくまま縦横無尽に駆け巡り、「普通そんなこと知らないよね」という情報をお届けします。毎週金曜日12時丁度にお届け。1週ごとにメインパーソナリティを交代。
ご購読・詳細はこちらから!

 
筆者:西田宗千佳
フリージャーナリスト。1971年福井県出身。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。取材・解説記事を中心に、主要新聞・ウェブ媒体などに寄稿する他、年数冊のペースで書籍も執筆。テレビ番組の監修なども手がける。

その他の記事

岸田文雄さんが増税判断に踏み切る、閣議決定「防衛三文書」の核心(やまもといちろう)
「野良猫」として生きるための哲学(ジョン・キム)
株の運用、まずはゲームから(石田衣良)
日印デジタル・パートナーシップの裏にある各国の思惑を考える(高城剛)
女子高生に改正児童ポルノ法の話をした理由(小寺信良)
中国製格安EVのダンピング問題と根源的なもの(やまもといちろう)
有料のオンラインサロンを2年やってみて分かったこと(やまもといちろう)
「ストレスを溜め込まない」って、意味あります?(やまもといちろう)
名称だけのオーガニック食材があふれる不思議(高城剛)
健康的な耳を取り戻す(高城剛)
石田衣良がおすすめする一冊 『繁栄―明日を切り拓くための人類10万年史』(石田衣良)
影響力が増すデジタルノマド経済圏(高城剛)
タレント候補が減った理由–戦い(の見物)を終えて(やまもといちろう)
2018年は誰もが信じていたことがとても信用できなくなる事態が多発するように思われます(高城剛)
『数覚とは何か?』 スタニスラス ドゥアンヌ著(森田真生)

ページのトップへ