城繁幸
@joshigeyuki

期間限定公開! 新刊『「10年後失業」に備えるためにいま読んでおきたい話』

【第5話】オープン戦

cover_0605

6月20日発売! 『「10年後失業に備えるためにいま読んでおきたい話』(城繁幸 著)

取り扱い書店一覧

amazonで買う

<これまでのお話>

プロ野球史上初の〝終身雇用球団〞連合ユニオンズへの出向を命じられた総務畑ひとすじのサラリーマン山田明男(45歳)。

宮崎でのキャンプはメディアからも注目を集めるが、ベテラン勢の間ではトレーニングのサボりが目立ち始めた。いよいよ新生ユニオンズはじめての実戦であるオープン戦が始まろうとしていた――。

 

第1話 日本型雇用の未来は君の肩に……

第2話 波乱の記者会見

第3話 見よ、あれがユニオンズの星だ!

第4話 キャンプイン――静かな戦いの始まり

第5話 オープン戦

 

キャンプがスタートして3週間ほど経過した。すでにスポーツ紙やテレビの記者たちはあらかたのチームを一回りし終え、だいたいの仕上がりを確認している。ユニオ ンズ管理部長の山田も、仕事柄、他球団の仕上がりには興味があるので、いろいろと記者を捕まえては情報収集している身だ。

「どうです?  今年のセリーグ優勝予想は」

もちろん、お世辞でもいいからユニオンズと言って欲しいのだが、現実はそう甘くはない。この道10年以上のベテラン記者たちの評価はほぼ一致していた。

「本命は巨人か中日。ダークホースで若手の多い阪神だね。この3つでまず決まりだろう」

「じゃ、じゃあ4位は?」

「うーん、カープかな」

「いや、俺は、良い助っ人を採ってきたヤクルトだと思うね」

「あの......じゃあ逆に聞きますけど、最下位はどこでしょうか?」

「そりゃあユニオンズだよ」

「そうそう。元から弱いくせに、そこから主力がごそっと抜けてるじゃん。勝てるわけがないよね」

という具合に、各記者とも「セリーグの最下位はユニオンズ」ということで一致している。自然、メディアの論調もユニオンズには冷たいものが多かった。

だが、2月下旬になり、オープン戦がスタートするや、状況は一変した。オープン戦初戦のソフトバンク戦、ユニオンズは双方合わせて10本の本塁打が飛び交う乱打戦を制し初勝利。その後の他球団とのオープン戦も6勝1敗1分けと大きく勝ち越したのだ。

特に4番中森はこの8戦だけで3本塁打12打点の活躍で、全盛期以上の仕上がり具合を見せつけている。

 

1 2 3 4
城繁幸
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。

その他の記事

日本でも「ダウンロード越え」が見えたストリーミング・ミュージックだが……?(西田宗千佳)
20世紀の日米関係がいまも残る基地の街(高城剛)
付き合う前に「別れ」をイメージしてしまうあなたへ(石田衣良)
「温かい食事」だけが人生を変えることができる #養生サバイバル のススメ(若林理砂)
「GOEMON」クランクインに至るまでの話(紀里谷和明)
晴天率と自由な気分は比例するという話(高城剛)
ネットによる社会の分断は、社会の知恵である「いい塩梅」「いい湯加減」を駄目にする(やまもといちろう)
アメリカでスクーター・シェアを「見てきた」(西田宗千佳)
変化が予測できない時代(本田雅一)
「来るべき日が来ている」中華不動産バブルの大崩壊と余波を被るワイちゃんら(やまもといちろう)
弛緩の自民党総裁選、低迷の衆議院選挙見込み(やまもといちろう)
いじめ問題と「個人に最適化された学び」と学年主義(やまもといちろう)
「Googleマップ」劣化の背景を考える(西田宗千佳)
ベトナムが暗示する明日の世界絵図(高城剛)
子どもが飛行機で泣いた時に考えるべきこと(茂木健一郎)
城繁幸のメールマガジン
「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」

[料金(税込)] 550円(税込)/ 月
[発行周期] 月2回配信(第2第4金曜日配信予定)

ページのトップへ