
「現実を直視しろ」
人は意外と安易に、そう口にします。
そしてこの言葉は、多くの場面で相手の意見を封殺する、ある種の殺し文句として機能しています。しかしそもそも、個人にとっての「現実」とは何でしょうか。これはそう一筋縄にはいかないテーマではないでしょうか。
もしも人が同じように感じ、同じように考える生き物であるなら、「現実を直視しろ」という言葉は有効です。しかし、ある気質(身体の感受性)を持つ人にとっての現実が、別の気質を持つ人にとっては現実的ではない理想論か、下手をすると夢想としか感じ取れないことが少なくないことを、私たちは知っています。(少なくとも、このメルマガを読まれている読者の皆さんにとっては、共通認識となりつつあるでしょう)
そのような複数の「現実」の中で生きる私たちにとって、「現実を直視する」とはどういうことなのか? 体癖論を学ぶことは、この難問に取り組む上で、大きな手がかりとなります。
思想や知識を見ているだけでは、私たちは異なる意見に耳を傾けることができません。異なる意見が生じるのは、気質によってまったく異なる「現実」があるからです。思想や論理について考えるのと同じぐらい、相手の気質を見るということ。
もし、本当の意味で生産的な議論をしたいと思うなら、そのことは必須だと思うのです。
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名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)」
2015年11月16日 Vol.112 目次
00【イントロダクション】思考や論理と同じぐらいに、その人の気質を見よう
01【近況】寂しさとともにある幸せの中で、人は成長する
02【コラム】緊張をほぐす3つのステップ
03精神科医の備忘録 Key of Life
・表参道にて『キングダム』の戦禍に酔う心
04カウンセリングルーム<今週はお休みです>
05読むこころカフェ(36)
・身体から「倫理」と「道徳」の違いを考える
06講座情報・メディア出演予定

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