高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

昼も夜も幻想的な最後のオアシス、ジョードプル

高城未来研究所【Future Report】Vol.434(2019年10月11日発行)より

今週は、インドのジョードプルにいます。

世界で「青い街」と呼ばれるのは、モロッコのシャウエンやスペインのフスカルなどもありますが、ここジョドプルも「青い街」として名を馳せており、日本では漫画「ワンピース」の元ネタの街としても知られている幻想的な場所です。

別名「ブルーシティ」。

ブラーマン(僧侶階級)とそうじゃない人を見分けるために壁に色をつけたのがはじまりで、「インディゴの染料」を塗料に混ぜて屋根や壁に塗っているのが「青い」理由ですが、インディゴは古くから蚊などの除虫効果があり、強い日差しを曲折させると言われています。
効果はさておき、街が映えるのは間違いなく、つまり、地方創生の一手として「街を同じ色で整える」ことが出来れば、世界的に注目を集めることが可能です。

また、スペインの宮殿ホテル形態パラドール同様、インドにも宮殿ホテルが数多あります。
そのインドに数多ある宮殿ホテルの中でも最高峰と呼ばれているのが、ここブルーシティ・ジョードプルにある「ウメイド・バワン・パレスホテル」。
世界最大の私邸のひとつであり、2016年トリップアドバイザーの世界で泊まりたいホテルの1位に選ばれたホテルですが、インド「最後のマハラジャ」の一族が、今も住んでいる本物の宮殿ホテルです。

10万平方メートルを超える敷地の中にある全64部屋のこのホテルは、おとぎ話のような光り輝く地下のプールや豪華なダイニングホールで食事を楽しむことができ、誰でも王様気分を味わえます。
それゆえ、英国貴族や世界中のセレブリティのパーティが、毎夜のごとく開催されているのです。

ちなみに、セレブリティとは広義では有名人、狭義では格式ある著名人を指し、ただのお金持ちを示しません。
また、お金持ちであっても、その人物がどのようにして稼いだのか、なにより教養があることが問われるのが世界の常ですが、不思議なことに、日本の「セレブ」は、その意味に該当しておりせん。
それゆえ、歴史も文化もないドバイの豪華ホテルなどに足を運んでしまうのです。

また、ジョードプルには、圧巻な世界遺産「メヘランガルフォート」があります。
映画「バットマン・ビギンズ」にも登場した砦(フォート)は、2013年に「ラジャスタンの丘陵城塞」として、世界遺産に登録された6つの城塞のひとつです。
130mの岩山の上に、高さ36mの城壁が聳え立ち、1459年にマールワール国のラーオ・ジョーダ王が都ジョードプル(ジョーダの町)の象徴として建設した「メヘランガール砦(荘厳な砦)」で、ここからブルーシティが一望できます。

日本の漫画「ワンピース」から「バットマンビギンズ」の舞台となったファンタジー感溢れる町並み、そして現在も「最後のマハラジャ」が事実上の王政をとるインド最後のマハラジャ・シティ。

このような場所は世界でも類を見ないゆえ、今日も観光客で溢れかえりますが、日本ではほとんど知られていません。
このあたりが、紋切り型のインドのイメージが先行し、歴史なき砂上の楼閣ドバイが「セレブ」に好まれる所以なのでしょう。

砂漠へと続く最後のオアシス、ジョードプル。
昼も夜も幻想的です。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.434 2019年10月10日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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