高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

歩く速度と健康状態の関係

高城未来研究所【Future Report】Vol.663(3月1日)より

今週も東京にいます。

東京圏(Greater Tokyo)は、メキシコシティを遥かに上回る世界最大の首都圏です。
日本は島国でそこまで国土が広い訳ではなく、また、国土の8割ちかくが山地ということもあって、わずかな平野に多数の人たちが暮らし、その狭い範囲の中で日々慌ただしく移動を続けています。

都市別の歩行速度を見ると、英国ハートフォードシャー大学の心理学者であるリチャード・ワイズマン教授と国際文化交流機関ブリティッシュ・カウンシルが協力した調査によれば、足早で歩く世界最速はシンガポールで、2位はデンマークのコペンハーゲン、3位はスペインのマドリード、4位は中国の広東省広州と続き、東京は意外にも19位で、世界的に見ればそこまで慌ただしくはありません。

現在、世界中で10年前に比べ歩行速度が10%以上早くなっており、ワイズマン教授によれば世界中の歩行速度が速くなっているのは「テクノロジーの進歩がもたらした結果だ」と指摘。
オンタイムで世界中の誰とでも連絡を取り合えるほど便利になりましたが、人類が時間に追われて慌ただしくなる、つまり「歩く速度」も速くなる傾向が見られると論じます。

逆に東京は歩行速度が年々遅くなっています。
この背景には高齢化社会もあると思いますが、世界的なテクノロジーの進歩スピードに東京は追いつけていない証だと見ることもできます。

1990年代には、世界一足早な都市トップは大阪、二位が東京だったことを考えると、豊かさを示す指標である国民一人当たりのGDPと都市の歩行速度に相関関係が見られなくもありません。
1990年代には日本の国民一人当たりのGDPは世界5位でしたが、2022年の時点で経済協力開発機構(OECD)加盟国中21位まで落ち込み、合わせるように都市の歩行速度も年々遅くなっているのです。

また、歩行速度と寿命や健康状態にも相関関係があることがわかっており、がんや糖尿病、心臓疾患や脳疾患、そして認知障害まで含んだ広範囲の予防に関して、歩行速度が時速3.2km未満のゆっくり歩きの人を「1」とした場合、時速3.2〜4.8kmの普通のスピードで歩く人は1.9倍、時速4.8km以上のやや早歩きで歩くことができる人に至っては2.68倍予防効果が高まった研究結果があります。

歩くことで大腸がんを予防する効果があることも明らかになっており、あまり歩かないグループの大腸がんのリスクは、平均運動量のグループと比べると2倍以上、積極的に運動をするグループと比べるとリスクが約4倍以上もあることが判明しています。

では、早歩きとはどれくらいの速度を指すのでしょうか?

一般的には220-年齢で最大心拍数を割り出し、その60%ー80%まで心拍数を高める程度の「運動強度」が早歩きと定義されています。
例えば50歳の場合、最大心拍数(回/分)は220-50の「170回/分」で、早歩きの目標心拍数はその60〜80%の「102〜136回/分」となります。
この中程度の日々の負荷が、前述した様々な疾病の予防から健康促進に役立つ秘訣なのです。

翻って、日本経済もしくは日本がなにかの病に侵され不健康状態にあるとするならば、街を歩く人々の速度が遅くなればなるほど重症化に向かっていると考えることも出来ます。
一方、今後もし足早の人が増えれば、経済も社会も人々も健康になるのではないかと推察する今週です。

日を追うごとに少しづつ春めいてきました。
花粉症の対策は、まだ間に合います。
良質なビタミンD3をしっかり摂り、足早に街を闊歩しましょう。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.663 3月1日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 大ビジュアルコミュニケーション時代を生き抜く方法
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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