小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」より

iPad Proでいろんなものをどうにかする

※メールマガジン「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」2016年1月15日 Vol.065 <今年のCESは転機だった号>より


 
CES期間中に、iPad Proを入手した。

なんのことはない、年末のメルマガ忘年会に参加した人はご覧になっているはずだが、西田さんが持っていたiPad Proを譲ってもらったのである。西田さんはその足で、アメリカでセルラー版のiPad Proに買い替え、おっさん2人が同じホテルの一室で同じ形のiPad Proを使うという恐ろしいことが起こっていたのである。

それまで手持ちのiPadは2で、コネクタの形がもう古いのと、センターボタンがそろそろダメになりつつあり、使用頻度はかなり下がっていた。使わないのならいらないだろうと言われるかもしれないが、iPadにはいいソフトウェアシンセがたくさんあるので、ちゃんとパワーのあるマシンで使いたかったのである。

ただ楽器としてばかり使ってたら元は取れない。今はモバイル用PCとしてMacBook Airを持ち歩いているが、Proを手に入れたからには、なるべくこっちにやれることを移していきたい。日本に帰ってきてから、今後の仕事にどう使えるか、検討してみた。

 

テキストワークはどうか

iPadは、2010年に初代が出た時からすぐに買い、翌年2も出てすぐ連続で買ったぐらい使っていた。当時はまだPCにもタブレットブームが来ていなかったため、小型軽量薄型の取材メモ取り用マシンとして、かなり重宝した。

このときにモノ書き系のアプリは調べ尽くしたので、今もそれほど不自由はない。打ち合わせや取材のメモ書きはEvernote、テキスト原稿書きはTextForceでDropboxにダイレクト保存、PDF注釈はiAnnotate PDFという組み合わせである。

外付けのBluetoothキーボードは必須だが、以前からモバイル用の小型軽量薄型タイプはアホかというほどの数を持っているので、いくらサイズ的に専用とはいえ、カバー付きキーボードにはまったく魅力を感じない。手持ちのもので十分だ。

ちょっと困った問題として、S9から日本語と英語を切り替えるキーバインドが変さらになっている。以前はCommand(Windows)+スペースだったのが、Ctrl+スペースになった。一部のアプリではCtrl+スペースでの切り替えに対応しておらず、日-英切り替えができないことがある。普段は日本語入力のままでも、英単語なら英語での候補も出てくるので困らないが、ログイン画面など英文字入力必須の時が困るわけだ。

色々やり方を考えたが、うまい方法を考えた。iPad Proでは、画面の左端から真ん中へ向けてスワイプすると、サブアプリを開くことができる。ここで「メモ」などCtrl+スペースでの切り替えに対応したアプリを開き、英語と日本語を切り替えたのち元のアプリに戻ると、「メモ」で切り替えた言語設定を引き継いで入力できる。多少面倒ではあるが、行き詰るよりマシだ。

日本語入力の変換精度は、標準の日本語入力でまったく困らないレベルである。以前はATOKを入れないと厳しかったが、この精度なら原稿執筆には問題ないだろう。MacOSのインライン変換を流用しているのかわからないが、長文を一気に入力した方が、変換精度が上がる。インライン変換ではないので、スペースキーで変換確定する必要はあるが、昔のような出来ではないのは確かだ。

テキストワークで移行したい最大のものが、メルマガの原稿書きだ。現在は水曜日と木曜日にかなりの時間を確保して書いているが、空いた時間が利用できれば取材を入れたりできる。そうなるとMark Down記述をサポートするエディタが必要だ。

App Storeで検索してもろくなものが出てこないというのはお約束なので、色々ネットの評判を調べたところ、「1Writer」というアプリがなかなかいい感じだった。Dropboxの特定のフォルダをデフォルトの保存場所にできるほか、拡張子を.mdに指定できるので、MacのMacDownと連携するのにもちょうどいい。

・MarkDownエディタとして優秀な「1Writer」

唯一の欠点は、先ほどのCtrl+スペース変換に対応していないことである。ただ、変換候補に英単語が出てくることも多いので、今の所困っていない。この文章も1Writerで書いているが、特に問題ないようだ。

 

ビデオ編集撮って出しを狙う

もうひとつ、出先でやれると効率が上がる仕事が、映像編集だ。イベント取材などいわゆる「撮って出し」としてすぐに編集したい。CESのプレスルームで、MacBook Airを使って映像編集したところ、100%だったバッテリーが30分ぐらいで20%ぐらいまで減ってしまった。あいにくACアダプタをホテルに置いてきてしまったので、やむなくホテルに戻ることになったのだが、こういう無駄にパワーを食う仕事がiPad Proに移すことができれば、それに越したことはない。そもそも画面サイズもiPad Proの方がでかいのである。

そもそもiPad Proに読み込める動画フォーマットは、コーデックとしてH.264、MPEG-4、Motion-JPEGの3つ。ファイルフォーマットとして.m4v、.mp4、.movの3つだ。オーディオは意外に幅広く、AAC、HE-AAC、MP3、AIFF、WAVに対応する。

久々に標準アプリとも言えるiMovieを起動してみたが、画面がでかい割にはUIが大まかすぎて、iPad Proの良さが活かせない。またニュース編集では当たり前の映像のインサートや、編集点で絵と音をずらすスプリット編集といった作業には向いてないので、これはダメだ。

そこで以前購入したものの全然使う機会がなかったPinnacle Studio Proを試してみた。Pinnacleという会社を覚えている人は少ないかもしれない。2000年初頭にプロ・アマ両方でビデオキャプチャや編集ツールを数多くリリースし、ある意味「ぶいぶい言わせてた」が、2005年にAvidに買収された。その後2012年には、コンシューマ向けビデオ編集製品をカナダのCorelに売ったので、現在はCorelの1ブランドになっている。

・概ねいけそうな予感のPinnacle Studio Pro

Pinnacle Studio Proは、今年に入って早々にアップデートするなど、未だにきちんとサポートされているようだ。少しテストしてみたところ、いわゆるPremiereスタイルのオーソドックスな編集ソフトであり、僕にはこの方が使いやすい。それほど凝ったことができなくてもいいが、1フレームだけトリムするとか、細かいことがやれるのがいいのだ。Dropboxからのファイルのインポートにも対応しており、クラウドと組み合わせて編集できる。

ざっと使ってみたところ、難点はビデオインサートがやりづらいというところである。普通は被せたい映像を上に乗せれば終わりの作業だが、基本的にビデオトラックが1つしかないので、インサートしたい映像に切れ目を入れて置き換えるといった作業が必要になる。PinPなどは簡単にできるのに、単純なインサート編集が難しいというのは不思議な作りである。

ただそうはいっても、タブレット片手に映像編集を指先でちょいちょいとできるのは便利だ。これなら移動中にも編集できるだろう。バッテリーの持ちは、まだフルでテストしたわけではないが、かなりいいようだ。

個人的に残念なのは、現在手持ちのカメラをUSBカメラアダプタでつなぐと、電力が足りないとして直接読み込めない点だ。USBハブで電源供給してやれば取りこめるのだが、これだと結局ACアダプタを差し込むコンセントがないことには、取り込みもできないことになる。

パナソニックのカメラはそのまま繋がるという話もあるが、これはこれでUSB端子が特殊形状なので、専用ケーブルを持ち歩かないといけない。だがたいていこういうのは、大事なときに限って忘れるんである。

ソフトウェア面は大体見えたが、サクッとカメラをつないで取り込み、編集までやるというのは、ハードウェアの相性を調べまくる必要がある。次のCP+あたりで実戦投入したいところだが、そこまでに環境整備が間に合うだろうか。結局パソコンが一番つぶしが効くんだよね、という結論に着地するのはなんとか避けたいと思っているのだが。

 

小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ

2016年1月15日 Vol.065 <今年のCESは転機だった号> 目次

01 論壇【西田】
 CES2016の「テレビ」事情を総括する
02 余談【小寺】
 iPad Proでいろんなものをどうにかする
03 対談【小寺・西田】
 CES2016から見える景色(1)
04 過去記事【西田】
 「大画面」のその先へ 2006 International CESから見えるデジタル家電の近未来
05 ニュースクリップ
06 今週のおたより
07 今週のおしごと

 
12コラムニスト小寺信良と、ジャーナリスト西田宗千佳がお送りする、業界俯瞰型メールマガジン。 家電、ガジェット、通信、放送、映像、オーディオ、IT教育など、2人が興味関心のおもむくまま縦横無尽に駆け巡り、「普通そんなこと知らないよね」という情報をお届けします。毎週金曜日12時丁度にお届け。1週ごとにメインパーソナリティを交代。   ご購読・詳細はこちらから!

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