高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

花見で教えられるこの世の唯一の真実

高城未来研究所【Future Report】Vol.355(2018年4月6日発行)より


今週は、京都にいます。

マイナス15度の吹雪荒れるエストニアから、春爛漫の京都への旅路は、まるで、惑星間を高速移動したような錯覚があります。

映画「スターウォーズ」には、砂の惑星や氷の星といった様々な世界が繰り広げられますが、一面の銀世界の旧社会主義国の風景から、桜満開の神社仏閣が連なる光景は、同じ星とは思えません。

さて、東京の花見といえば、ソメイヨシノですが、京都の花見といえば、ベニシダレです。

よく、テレビやインターネットで桜の開花情報を拝見しますが、肝心の品種に触れているものは、滅多に見かけません。

ベニシダレは、ソメイヨシノに比べ、開花が一週間から10日ほど早いのですが、公的に桜の開花宣言が出される場合の標準木にはソメイヨシノが使われており、また、南から北に向かって上がってくる桜前線も、ソメイヨシノの開花が基準となっているため、ベニシダレを楽しみたくても、出遅れてしまうことがあります。

ソメイヨシノは元々の原産種ではなく、エドヒガン系の桜とオオシマザクラの交配種で、園芸品種として誕生した経緯があります。
他の品種に比べて育てやすいことや、花を付けやすいことから明治時代になってから一気に普及し、現在、日本に咲く桜の8割がソメイヨシノだと言われています。

ベニシダレは、ソメイヨシノが70〜80年程度の寿命と言われているのに対し、寿命が300年もあると言われており、日本三大桜の一つに数えられている福島県の三春滝桜(ベニシダレザクラ)は、樹齢1,000年を超えている名木として知られています。

京都では、通称「祇園の夜桜」と呼ばれる有名なベニシダレがあり、正式名称を「一重彼岸枝垂桜(ヒトエヒガンシダレザクラ)」と言い、文字通り彼岸の時期に花を咲かせる桜です。

また、「醍醐の花見」として豊臣秀吉が花見を行った場所として有名な醍醐寺にある三宝院「大紅しだれ」は、樹齢170年を超えています。
この木の南東にある「太閤千代しだれ」は、世界で初めて成功したクローン桜で、大玄関前のしだれ桜はその親木なのです。

このように、花見といっても、ただ花を愛で、飲んで騒ぐだけでなく、品種から歴史、時にはその地にまつわるエピソードも、肴にすることができれば、より一層楽しみが膨らむものです。

花見がはじまった平安時代には、桜の「陰」で、「陽」気に宴会をすることで、陰陽道的にバランスをとっていたと言われています。

しかし、京都の観光業者にとって、もっとも高収益期間である「陽」も「陰」もない花見の二週間は、本来、桜が持つ「儚さ」を、別の意味で教えてくれるように感じる今週です。
あらゆる物事に「時」や「ブーム」があり、どんなものでも必ず「過去のもの」になるのが、この世の唯一の真実です。

もうじき初夏が訪れます。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.355 2018年4月6日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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