高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

手習いとしてのオンライン・エデュケーションのすすめ

高城未来研究所【Future Report】Vol.363(2018年6月1日発行)より


今週は東京にいます。

昨年同様、今年もこの時期から「あたらしい手習い」をはじめるつもりでいます。

「6歳の6月6日から習い事を始めると上達する」と昔から言われているのは、世阿弥が能について著した「風姿花伝」に、7歳(満6歳)から稽古をはじめるよう書かれてることに端を発します。

江戸時代には初午(2月の立春のあとすぐの午の日)に寺子屋に通って手習いをはじめた習慣があったそうですが、その後、庶民最大の娯楽として知られる歌舞伎で、語呂の良さ、数字の並びの面白さから度々登場した「六歳の六月六日」という言い回しが普及して、幕末の頃になると歳には関係なく、6月6日から寺子屋に通い出したり、習い事を始める良い時期として定着してきました。
いま改めて考えますと、当時の教育業界のマーケティンだったとも言えなくはありません。

また、この時期は梅雨でもあり、屋外での活動に向きません。
ここ数年、梅雨時の東京滞在には、新宿地下街をランしたり、ピアノのレッスンに勤しむ等、あたらしい試みに挑戦しており、今年は、なにをはじめようかとオンライン・エデュケーションを見て探していたところ、そのオンライン・エデュケーションそのものにハマってしまいました。

映画ならマーティン・スコセッシ、小説なら年収100億円作家のジェームス・パターソン、音楽ならならDJのアーミン・ヴァンビューレンにDeadmou5、映画音楽の巨匠ハンス・ジマーにジャズならハービー・ハンコック。
料理ならアリス・ウォーターズやゴードン・ラムゼイ、写真ならアーニー・リボリッツ、ファッションならマーク・ジェイコブスと、最近は、世界の超一流のクリエイターたちが講師としてオンライン・エデュケーションに登場しています。
また、エンターテイメント以外にも、自然保護講座の動物行動学者、ジェーン・グドールやクリス・ハドフィールドの宇宙探検などの他では聞くことができないセミナーもあるので、正直、学ぼうと思う手習いがなかなか定まりません。

僕が見入っているのは、「Master Class」というサービスで、他のオンライン・エデュケーションと比べて、豊富な著名講師陣と撮影の質が圧倒的に高いのが特徴です。
なにを学ぼうか映像を見ながら考えていましたが、気がつくと、あまりの面白さにあらゆる映像を見入ってしまいました。

ただし、アプリケーションを使いこなすようなチュートリアルというより、アイデアや考え方を学ぶのに良いレッスンが多いので、まず、「Master Class」で気概を高め、その後、Lynda.com等の具体的なテクニックを学べる別のサービスをもうひとつ受けるのが良いように思います。

ここ数年話題だったオンライン・エデュケーション業界やEd Tech全般的に、玉石混合だった各サービスの方向性が定まってきました。
仕事的には、あたらしいAIの「adobe SENSEI」の使い方を早めに極めたいのですが、良いレッスンが、まだ見当たりません。
今後、AIがAIについて教えるサービスも登場するかもしれません。

テレビの次に来るのがNetflixだと言われて久しく経ちますが、質の高いオンライン・エデュケーションは、オンディマンド・ドラマを超えた参加性があります。
また、BTSと呼ばれる裏舞台(Behind the scene)を、視聴者自らが垣間見れるドキュメンタリー性もあり、そのうち、かつての写真同様、ドラマは見るものではなく、作るものになるでしょう。
いまは、「そんなバカな!」と思うことにこそ、未来が潜んでいます。

さて、今年も手習いをはじめる6月に向けてテーマを模索していましたが、料理、写真、ジャズ、宇宙探検と、先生方の話を聞いてるだけで、すっかり「やった気」になってしまいました。

手習いをはじめる6月6日まで、あと数日。
もう少し「今年の先生」を探してみたい、梅雨時の東京です。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.363 2018年6月1日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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