小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」より

話題のスマホ「NuAns NEO」の完成度をチェック

※メールマガジン「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」2016年2月5日 Vol.068 <セオリーの発見号>より

2月1日、トリニティ株式会社は、Windows 10 Mobile搭載スマートフォン「NuAnsNEO」の出荷を開始した。筆者も初回出荷分を手に入れたので、ごく簡単なものではあるが、レビューをお届けしたい。

・NuAns NEO。Windows 10 Mobile搭載でデザインにこだわったスマホとして注目された。

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トリニティはこれまで、スマートフォン向けのカバーなどを多く手がける、いわゆる「アクセサリー中心のメーカー」だった。それが、より大掛かりな開発を必要とするスマートフォンそのものを企画・販売することとなったため、発表時には大きなな注目を集めた。その背景については、トリニティ社長の星川哲視社長への取材をもとにした記事をすでに発表済みなので、そちらをご参照いただきたい。

・小メーカーが挑むスマートフォンの新路線
http://digital.asahi.com/articles/ASHD77HH6HD7UEHF017.html

今回は、そうした背景を抜きに、純粋なスマートフォンとして評価してみたいと思っている。Windows 10 Mobileの特徴である「Continuuum for Phone」については、また別途、じっくりと解説してみたい。

デザイン含めハードとしては合格点

さて、NuAns NEOの外観上の特徴は、「TWOTONE」と呼ばれる外装設計だ。外装を上下別々に組み合わせることで、自分が好きな外観のものを手にできる。筆者の場合には、起毛素材の「Suede White」とシンプルな「Smooth Black」を選んでみた。

・筆者が選んだ組み合わせ。上下の組み合わせは自由だ。
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・トリニティの直販サイトでは、カバーの組み合わせをシミュレートしてから購
入できる。
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http://neo.nuans.jp/simulation/

カバーはそれ自身の弾性でボディにはめ込む構造で、ちょっと 力をかければ簡
単に外れる。SIMカードやmicroSDカードのスロットは、カバーの中にある。そう
した構造を採っていること、バッテリーとして3350mAhと大きめなものを搭載し
ていることから、本体は昨今のスマートフォンとしては分厚い。だが、角が丸い
分、手にはなじみやすく、もちづらさは感じない。

・カバーを取り外してみた。取り外しに器具などは不要
Body03

・iPhone 6s Plus と厚みを比較。実はそこそこ分厚い
Body04

・カバーを外すと、SIMカードとmicroSDカードのスロットが
Body05

なお、TWOTONE構造である欠点として、カバーの継ぎ目が手にあたってしまう、
ということがある。特に、上下で素材が大きく異なるものを採用した時には、そ
こが気になるだろう。継ぎ目でカバーが凹むように感じる場合もある。カバーの
「凹み感」については、内部の「ICカードスロット」に、なにかカードを1枚入
れておくと感じられなくなる。本来はここにSuicaなどの交通系ICカードを入れ
る想定なのだが、それらを使わない場合でも、適当なカードを挟んでおいたほう
が、もった時の感じは良い。なので、ICカードを使わない人も、なにか挟んでお
くことをおすすめする。出荷時にもダミーカードは挟まっているが、それより、
厚手のプラスチックカードの方が良い。

スマホとして使った時、まず驚くのはバッテリーの持ちだ。今、フル充電から使
い始めて2日目(起動からおおむね30時間ほど)なのだが、バッテリーはまだ42%
余っている。通話などの回数は少なく、ほぼネット利用のみだが、大容量バッテ
リーの効果か、非常に長く使える印象を受ける。

通話や通信の品質には、特に問題を感じない。回線としてはドコモ系のMVNOを使
ってみたが、感度も問題なさそうだ。カメラについては、最新のiPhone 6s Plus
(なんだかんだで、現状スマホではもっとも画質が良い製品のひとつと考えてい
る)と比較した場合、ホワイトバランスや逆光の補正が弱いとは思うが、まあ、
許容範囲かと思う。画角が標準では16:9なので、そこだけは要注意である。

・NuAns NEOで撮影した写真。夕焼けを逆光気味に、という厳しい条件なので、
発色などに不満は残る。
Nuans

・iPhone 6s Plusで撮影した写真。こちらの方が見た目には近い。この辺は、ソ
フトウエア的な補正技術のノウハウの違いが大きく現れている印象だ。
iPhone

NuAns NEOはスペック的に見れば「ミドルクラス」なので、iPhoneのようなハイ
エンド機と比べると差はある。ディスプレイ解像度も1280×720ドットで、ここ
は不満だ。スクロールもハイエンド機ほどなめらかではない。だが、このクラス
の製品と考えれば、納得できるレベルかと思う。ハードウエアの出来・仕上げは
申し分なく、価格まで含めて考えると、満点を与えてもいいのではないか、と感
じる。

Windows 10 Mobileの「日本語対応」「アプリ増加」が課題

一方で、やはり苦しさが残るのが「Windows 10 Mobile」の完成度だ。特に日本
語環境については、表示ももう一声美しくして欲しいし、入力のしやすさでも不
満が残る。

・Windows 10 Mobileを使った、NuAns NEOのメイン画面。癖はあるが、UIそのも
のは使いづらいわけではない。課題は日本語への対応度だ。
screen01

iPhoneやAndroidと比較した場合には、アプリの不足・完成度の低さが気に掛か
る。古い構造のままのアプリがたくさん残っており、現在の解像度・ディスプレ
イのハードウエアには合っていないし、Windows 10 Mobileのデザインランゲー
ジにもフィットしていない。この数年、「Windows Phone」の立ち上げが苦しか
った影響がここに現れている。他のスマホで出来ている作業を、そのまま再現す
るのが難しい、という印象は否めない。特に、マイクロソフト自身がウリにして
おり、Windows 10 Mobileの特徴として掲げている「Microsoft Officeアプリ」
の完成度が、筆者にはiOSやAndroid向けのものの方が上に思えて、不思議だ。

画像は、Windows 10 Mobile向けとして公開されているTwitterの公式クライアン
トアプリだ。Windows Mobile時代からきちんとアップデートされていないため、
こうした見栄えになっている。きちんと最新の環境に合わせてアップデートされ
ているアプリだと、こうはならない。

・Windows Mobile向けのTwitter公式アプリ。構造が古く、Windows 10 Mobileへ
の最適化が進んでいない。
twitter01

・Windows 10 Mobileへの最適化が進んでいるTwitterアプリ「Tweetium」。こち
らの方が完成度は高い。
twitter02

結局、PCかスマホかの議論にもつながるのだが、「自分が日常的に行なうこと」
をスムーズに実現するためのアプリやワークフローがまとまっていないと、そこ
で人は戸惑う。マニアであればその戸惑いも楽しみになるが、普通の人はそうで
はなかろう。

今年、Windows 10 Mobile搭載機種は、日本でもかなりの数が出てくると言われ
ている。だがそれを広げるには、マイクロソフト側の努力が相当に必要になる。
予想通りの結果なのだが、その辺の覚悟を、同社確認してみたくもあるところだ。

 

小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ

2016年2月5日 Vol.068 <セオリーの発見号> 目次

01 論壇【小寺】
ネット慣れしてないママでもLINEをうまくスタートさせる方法
02 余談【西田】
話題のスマホ「NuAns NEO」の完成度をチェック
03 対談【小寺】
CES2016から見える景色(4)
04 過去記事【小寺】
"ナンバーワン"が狂わせたシャープの運命
05 ニュースクリップ
06 今週のおたより
07 今週のおしごと
12コラムニスト小寺信良と、ジャーナリスト西田宗千佳がお送りする、業界俯瞰型メールマガジン。 家電、ガジェット、通信、放送、映像、オーディオ、IT教育など、2人が興味関心のおもむくまま縦横無尽に駆け巡り、「普通そんなこと知らないよね」という情報をお届けします。毎週金曜日12時丁度にお届け。1週ごとにメインパーソナリティを交代。   ご購読・詳細はこちらから!

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