高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

身体にも衣替えの季節が到来

高城未来研究所【Future Report】Vol.674(5月17日)より

今週も東京にいます。

最近、食事について多くの質問をいただいておりまして、また、以前お伝えした夏と冬とで体重を変えている件につきましてもご関心をお持ちの方が多くいらっしゃいます。

確かに、夏が近づくと体重やスタイルが気になりますよね。
でも、それだけではありません。

夏と冬では、人間が本来持っている遺伝子の発現によっても体型を変化させなければなりません。
簡単に言えば、冬は脂肪がないと寒くて耐えられず風邪などをひいてしまいますが、逆に夏はその脂肪が邪魔になり、体内に熱がこもってしまい、熱中症の原因になりかねません。

冬に体脂肪が増えるのは、体温を保持するための生理的な適応反応です。寒冷環境下では、体温を維持するためにエネルギー消費量が増加し、そのエネルギー源として体脂肪が蓄積されていきます。
また、寒冷ストレスは交感神経系を活性化させ、脂肪分解を抑制し、脂肪蓄積を促進します。

一方、夏は暑熱環境下で体温が上昇しやすいため、体脂肪を減らすことで熱放散を促し、体温上昇を防がなければなりません。
また、暑熱ストレスは副交感神経系を優位にし、脂肪分解を促進します。これらの生理的変化により、夏は体脂肪が減少しやすくなるのです。

そこで、僕の具体的な数値は、夏の体重が49キロ前後、冬は52キロ前後で、体脂肪率は夏が9%、冬は12%程度を維持しています。
また年中、血糖値(グルコース)は80-90mg/dl、ケトン値は6-8mmo/lの間をキープするようにしており、基本的には血糖値を落としすぎず、ケトン値を高めるように心がけています。
これは、脳や体に安定したエネルギー供給を行うためで、血糖値が低すぎると脳のエネルギー不足から集中力の低下や気分の変調を招きかねません。
一方、ケトン体は脳のエネルギー源として有効であり、ケトン値を適度に高めることで、脳の機能をフル活用することができ、直感力が冴え渡るのです。

また、僕が考える「夏」の定義ですが、芒種(ぼうしゅ)をひとつのはじまりの目安にしており、現在多くの人たちが使用しているグレゴリオ暦だと6月5日から6日前後にあたり、これはバルセロナで言われる「5月40日までは春」(6月10日から夏)の例えとも通じるものがあり、このあたりから北半球各地で夏が本格的にはじまります!

芒種の「芒」は、イネ科植物の穂先のとがった部分を指し、「種」は種まきを意味します。
つまり、稲などの穀物の芒が育ち、種まきの時期を示すことから、この時期は稲の栽培に適した気温と湿度になって、田植えも本格的に始まるタイミングなのです。

古くから日本でも6月1日を衣替えとしており、古代中国では陰陽五行説に基づいて、季節ごとに衣服の色や素材を変える「更衣」の習慣がありました。
この習慣は、エアコンがない時代の季節の変化に適応し、健康を維持するのが目的でした。

ちなみに、夏の風物詩と言われるウナギですが、実は天然のウナギがもっとも美味しいのもこの時期です。
よく、物の本には冬のウナギは脂が乗ってて美味い!と書かれていますが、冬のウナギは寒いこともあって身が硬くなってしまい、天然なら5月から6月が圧倒的に美味しい!

こうして衣替えや天然の産物から夏を実感し、再び昼と夜の長さが等しくなる9月23日頃の秋分までを「夏」と考え、そのあたりから食生活を少しづつ変えて冬支度(=体脂肪を増やすの)をはじめます。

当然、摂取するサプリメントも異なります。
春先からビタミンDは飲まなくなり、かわりにミネラルを多く摂取するなど、季節と自分の体質(SNPs)にあわせることも大切です。

自分では自覚なくとも季節性情動障害(SAD)に陥り、気分のムラや集中力低下、エネルギー不足、過眠含む睡眠障害などが起き、これらの大半の問題は一つ前の季節と同じような服を着ていたり、同じような食べ物を食べていたりすることで発症します。

季節性情動障害は、特定の季節に症状が現れる気分障害の一種で、主な症状は、抑うつ気分、興味や喜びの喪失、エネルギー不足、過眠、体重増加などが見られます。
SADの原因は十分に解明されていませんが、セロトニンやメラトニンなどの神経伝達物質の不均衡が関与していると考えられているため、この時期は少しだけ強くなった太陽光を浴びることで、季節が変わったことを脳と体に教えなければなりません。
紫外線を避け、エアコンのなかで暮らしていると、脳と体は季節変わりを理解できなくなってしまうものです。

つまり、いつも以上に外へ出るのが正しい!(できれば、カメラなどを持って)。

季節の変化に適応することは、健康を維持する上で非常に重要です。
夏と冬では体組成や代謝、ホルモンバランスなどが変化し、それに合わせて生活習慣を調整する必要があります。
特に、食事、サプリメント、運動、睡眠、ストレス管理などは、季節に応じて適切に変えることが求められるのです。

今年ももうじき本格的な夏がやってきます。
なにかを変えるなら、今ですよ!
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.674 5月17日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 大ビジュアルコミュニケーション時代を生き抜く方法
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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