※高城未来研究所【Future Report】Vol.360(2018年5月11日発行)より
今週も東京にいます。
この二週間強ほど東京で仕事をしておりますが、日々の気温差に驚くばかりです。
日中30度近くまで上がる日もあれば、10度近くまで落ちる日もあって、僕の周囲でも体調をおかしくする人が急増しています。
このような激しい温度差のなかを生き抜くことを「あたらしい健康」というのかもしれませんが、10年ほど前に出しました自著「南国日本」にも記載しましたように、気候変動というのは、1シーズンを通じて記録的な暑さになることより、数日おきに寒くなったり暑くなったりすると人間の心身が耐えられなくなります。
当然、そのような環境下では、人間は正気を失いますので、経済や社会そのものが大きく揺れ動くことにつながっていくのです。
一方、この10年で、気候変動が本当に人為的な影響なのか、懐疑的になってきました。
1994年から「気候変動に関する政府間パネル」=IPCCに参加し、報告書を執筆している英国の気候変動経済学者リチャード・トールは、2014年の報告書に「次の世紀末までの86年間で0.2—2%という減少はわずかなもので、温暖化による経済的な影響は少ない」とレポートしました。
しかし、温暖化による悪影響が少ないとする報告書を、英国をはじめとするEU各国政府は好みませんでした。
英政府のエネルギー気候変動省の高官は、トールが書いた経済的影響の章について、「気候変動の影響を軽視しており全く意味がない」と批判するメモを書き、IPCCに影響を持つ各国の学者たちに配布し、圧力をかけました。
英政府のメモは、IPCCが報告書の表現を最終決定する直前に配布され、トールが書いた経済的影響の章は、最後の段階で大幅に書き直される事態となりました。
その上、温暖化で経済難になり紛争や暴動、飢饉が頻発するとか、何億人もが難民になるといった派手な予測が盛り込まれることになったのです。
当然ながら、この背景にはビジネスがあります。
排出権取引から電気自動車の普及まで、各国各々の思惑があるのは、間違いありません。
すでに米国トランプ政権は、気候変動が本当に人為的な影響なのか懐疑的になってきたため、昨年、気候変動対策の国際的枠組み「パリ協定」から離脱すると発表しています。
一方、人体に影響がある環境毒は増える一方ですが、こちらは「なかったこと」にされています。
「安全」と言われる化学物質を含む食事やクリーニング剤、そしてスマートフォンの電磁波まで、人体に入り込み、確実に健康を蝕んでいますが、経済活動を重視する社会では、問題の可能性すら声に出すことは厳禁となります。
また、現代社会に生きる誰もが、利便性と引き換えに、多くのモノ(主に健康)を失っているのは間違いありませんが、逃げられないのも事実です。
ですので、個々が自分の現状を的確に理解し、体内にある毒素の排出に努めるしかありません。
なにがフェイクで、なにがフェイクじゃないのか、誰にも判断できない今日。
信用できるのは、自分の身体データだけではないか、と思う今週です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.360 2018年5月11日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。


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