【質問】辛いこと、大変なことがあっても前向きに生きていくには、どうすればいいですか。
上祐:家入さんからみなさんが学べることは、苦しみがあればやさしさが生じるということではないでしょうか。辛いことや大変なことがあれば、その分だけ自分がやさしさという心の宝を得られると考えれば、辛いこと、大変なことが、必ずしも悪くないと考えられるのでは。
やさしさというものが大切だという考えが強まれば、苦しみは喜びに変わってくると思います。困難がない人にやさしさは生じない。もう少し言えば、孤独のない人にやさしさは生じない。そういう逆転の発想をするのは、ひとつの方法だと思います。
自分の住んでいる場所がコンクリートジャングルなどと言われて、寂しい。自分を本当に愛してくれる人、その人によって自分の価値を感じられる人がいない。今そういう人たくさんいますから。孤独感や寂しさが広がっていることを考えても、これからはやさしさが重要になってくる。
仏教で最もあつく信仰されているのが、慈悲の、やさしさの化身である「観音菩薩」です。相当人気があるんですけど、その誕生の逸話は苦しみに満ちています。
というのも、親に捨てられ、悪い人に売られ、孤島でずっと苦役をやらされていたんです。自分はそこから逃げたいと思ったけどどうにもならない。だったら苦しみの経験を縁として、他人の苦しみを理解し取り除く者になろうと決意して、観音菩薩になった。ピカピカの神の子から観音菩薩になったんじゃない。苦しいばっかりの人生が、最も敬愛される仏教的存在になった。そういった意味では、苦しみこそ慈悲の源という考え方ができる。これは今の社会一般の考え方と全然違う。普通は苦しみから逃げよう、逃げようとする。でも逃げ切れないこともあるじゃないですか。逃げ切れない苦しみは、慈悲の源に生かすという考え方です。
家入:なるほど。でも、こういうお話を聞くと、「もっと苦しみたい」と思う人が出てきたりするんですかね。
上祐:いやぁ、それはケースバイケース。やっぱり苦しみって嫌だから。でも、その苦しみが悪いことばかりじゃないって考えることで、少し緩和されて、慈悲ややさしさを持てれば、一歩抜け出せる。
家入:ブッダも、もともと金持ちの息子とかでしたっけ。
上祐:そうです。王子でしたが、王位を捨てて世に下り、8年修行して、悟りに至りました。
家入:「なんで俺だけこんないい生活してるんだろう」という苦しみを感じていたのかな。
上祐:それもあったかもしれないですね。あと、自分がいずれ老いて死ぬことを思うとむなしくなって……というのがあったみたいですね。半分ノイローゼ状態になって、断食したり動物みたいな生活を送りながら、地べたをはい回って修行した。だから、ブッダは人間の頂点と底辺、両方経験した。喜びも苦しみも、経験は知恵になる。
家入:ふり幅もでかくなりますね。
その他の記事
|
声で原稿を書くこと・実践編(西田宗千佳) |
|
東京新聞がナビタスクリニックの調査を一面で報じたフェイクニュース気味の事態の是非(やまもといちろう) |
|
米大統領選に翻弄されるキューバのいま(高城剛) |
|
「リバーブ」という沼とブラックフライデー(高城剛) |
|
大騒ぎの野球賭博と山口組分裂騒動あれこれ(やまもといちろう) |
|
子育てへの妙な圧力は呪術じゃなかろうか(若林理砂) |
|
「編集者悪者論」への違和感の正体(西田宗千佳) |
|
依存癖を断ち切る方法(高城剛) |
|
「ワクチン接種」後のコロナウイルスとの戦いは「若者にも出る後遺症」(やまもといちろう) |
|
「意識高い系」が「ホンモノ」に脱皮するために必要なこと(名越康文) |
|
ドイツの100年企業がスマートフォン時代に大成功した理由とは?(本田雅一) |
|
「50歳、食いしん坊、大酒飲み」の僕が40キロ以上の減量ができた理由(本田雅一) |
|
できるだけ若いうちに知っておいたほうがいい本当の「愛」の話(名越康文) |
|
ネットリテラシー教育最前線(小寺信良) |
|
「狂信」と「深い信仰」を分ける境界(甲野善紀) |











