高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

急速な変化を続ける新型コロナウィルスと世界の今後

高城未来研究所【Future Report】Vol.533(2021年9月3日発行)より

今週は、東京にいます。

晴れて「待機」も終わり自由の身となって街に出てみると、緊急事態宣言中ですがどこも人だらけ。
携帯端末による数字を見ても都内繁華街の人流は増加に転じ、感染者も増えています。

この要因は、科学的根拠が示されないまま開催された東京2020オリンピックによる気の緩みとワクチン接種が高齢者を中心に行き渡ったこと、そして変異株の影響によると思われますが、フィナンシャルタイムズによれば、ワクチン接種済みの80歳は未接種の50歳と死亡リスクが等しいと報じられており、まだまだ気を許せるような状況ではありません。

今年2月後半から約半年、市中感染がゼロでノーマスクが常態化していたニュージーランドでは、先月、オークランドで1人が「デルタ株」に感染したことから全土で三日間のロックダウンが行われましたが、その後、数百人に感染していたことが発覚。
デルタ株が既存株より伝搬する速度が速いことがわかりました。

現在、ADE(抗体依存性感染増強)、ワクチン接種率世界トップのイスラエルでは、デルタ株の感染予防効果は39%にまで落ちています。
さらに、ワクチン接種者の方が未接種者よりも死亡率が高くなり、ADEが起きている可能性も見込まれています。

「Nature」誌によれば、デルタ株に感染した人は、それ以前の株に感染した人に比べて、症状が出る前にウイルスを拡散する可能性が高いことが、中国・広東省で発生した集団感染の詳細な分析から示唆されていると報じています(https://www.nature.com/articles/d41586-021-02259-2)。
このレポートによれば、デルタ株は発症4日前に咽頭でのウイルス量が最大となって感染力が強くなるため、抑え込むには自覚症状がない発症前の陽性者を隔離するのが鍵となることがわかります。
そこで先手を打つ企業は、週に三度のPCR検査を実施。
僕の知る限り、日本でも「週3PCR検査」は、Amazon Prime撮影に準ずる新たな指標になっています。

また、南アフリカでラムダ株に続くと思われるあたらしい変異株「C.1.2」が見つかり、デルタ株より感染力が高く、中和抗体を回避しやすい特徴を持っており、すでに変異株「C.1.2」は英国内でも発見されているとBBCが報じています。
南アフリカの国立感染症研究所とクワズールー・ナタール研究革新・配列プラットフォームの専門家によると、SARS-CoV-2の変異率は年間約41.8回とのことです。

このように、新型コロナウィルスを取り巻く環境は、急速な変化を続けながらも、感染拡大の要因が判明しつつも、打つ手がないのが正直なところです。
オーストラリアのモリソン首相は、「感染をゼロに抑える可能性は極めて低い。今後は、ウィルスと共存する道を探すしかない」と発言。
エコノミスト誌によれば、オーストラリアが「ゼロコロナ戦略」を諦めたのは、経済活動優先でなくウイルス抑止の方法がないことが理由だと報じています(https://www.economist.com/asia/2021/08/28/australia-is-ending-its-zero-covid-strategy)。

昨年5月「Science」に掲載された論文によれば、類似ウイルスHCoV-OC43とHCoV-HKU1からの推測するに「RNAウイルスでは集団免疫は不可能。ワクチンを接種しても抗体の有効期間は40週。あるいは変異株が出現するごとにリセット」と論じられており、現在、まさにその様相が浮き彫りになっています(https://www.science.org/doi/full/10.1126/science.abb5793)。
これによれば、ワクチンの効果は長くありませんので、毎年打ち続けるしかありません。

この夏のアフリカ渡航を通じて感じましたが、もうはじまっている新型コロナウィルス感染拡大のなかで生きる「新常態」。
先進国で人が集まる場所なら、「週3PCR検査」や「毎年ワクチン接種」など、カオスな状況は当面続くでしょうね、困ったことに。

もはや弱毒化を待つしかないのだろうな、と東京の街中で考える今週です。
100年前のスペイン風邪を見るに、最低でもあと1年はかかるでしょう。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.533 2021年9月3日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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