高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

まだ春には遠いニュージーランドでスマホ開発の終焉とドローンのこれからを考える

高城未来研究所【Future Report】Vol.275(2016年9月23日発行)より


今週は、ニュージーランドのオークランドにいます。

冬の終わりから春先にあたるこの時期のオークランドは、まだまだ肌寒く、朝晩はダウンジャケットが必要なほどです。

さて、先週今週とデジタルガジェットフリークには、たまらないニュースが相次いでいます。

まずアップルは、iPhone7とapple watchシリーズ2を発表しましたが、あまりに期待はずれだったとの意見が多く、株価も下落しました。
しかし、南の島まわりを続ける僕にしてみれば、やっと防水対応になって(いままで何台水没したことか!)、地下鉄好きの僕にとってうれしいSuica対応など、個人的には買うべき要素が多くありますが、確かに革新性はありません。
もうスマホまわりからイノベーションは起きないと、かなり前から個人的にもお話ししている通り、それが如実になった発表だったように思います。

それより、スマホをめぐるニュースで一番の話題は、サムソンのギャラクシー7を、飛行機に預け入れでも手荷物でも持ちこみ禁止を掲げるエアラインが急増していることです。
僕も様々な空港のチェックインカウンターやセキュリティで尋ねられましたが、チェックイン荷物に同梱や手荷物で持ち込んでも電源を入れたりするのは絶対にNGで、なかには預かるどころか没収同然のエアラインもありまして、ギャラクシー7の購入者は、どうするつもりなんでしょうか?
今週、サムソンが大量保有していたシャープ株を手放したのは、この保証に充てるためだと言われていますが、これはこの秋スマホ業界最大のニュースになるように思います。
もうこれ以上、スペックを無理にあげるのは不可能なんだと、バッテリーが火を噴きながら訴えているように見えるほどです。
スマホ開発終焉の狼煙かもしれません。

またドローンは、長年噂さてれいたGoproが自社ドローンKarmaをついに発表しました。
折りたたみタイプで(と言っても、それなりにデカイ)、重さは約1キロ。
構造的に可搬には向いているドローンですが、総重量の各国規制をクリアできないことから、あくまでも大自然の中のアクションスポーツ向けに特化しているGoproの思惑がよく理解できます。
このフィールドでは、Goproはまだまだブランド力があるわけですから狙いは正しく、ただし、飛行性能は飛ばしてみないとわかりません。
その上、ドローン某大手中国メーカーも折りたたみ機の発表が近く、僕の知る限り、センサー等のスペックは本業ドローンメーカーのほうが優れているように思いますが、ただし、これも飛行性能は飛ばしてみないとわかりません。
こうなると、数年後の本当の主戦場は200g未満ドローンになるのでしょうし(そこまで市場は紆余曲折ありながらも拡大します)、当面法規制がある地域でも飛ばせる小型ドローンと中型ドローンの「ドローン二台持ち」の必要があるでしょう。

また、現段階では200g未満の機体は、かなり使い慣れてないと思うように飛ばせません。
このあたりは、小さければ小さいほどプロ用で(経験値が必要で)、写真はともかく、動画は僕でもそれなりの後処理を前提とします。
実際、僕もこの夏、常に二台の小型&中型ドローンを持って移動していまして、まるで、二十年前にマックとウインドウズの両方のノートを持って移動していた時のような気分でした。

次週は、カメラの新製品を中心に、この話題をもう少し続けたいと思ってまして、ええ、実は南国帰りで、冬の終わりのニュージーランドが寒くて、必要最低限しか表に出ていませんので、こんな話題ばかりですみません(笑)。
オークランドで行ってみたい場所もあったのですが、それはまたの機会に。

そろそろ味覚の秋がはじまる北半球へ戻ろうと思ってます。
最新ガジェットの入手&使い倒しと共に、楽しい季節が到来です。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.275 2016年9月23日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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