※高城未来研究所【Future Report】Vol.303(2017年4月7日発行)より

今週も、那覇にいます。
この1週間は「執筆ウィーク」と自ら名打って、まるで夏休みの宿題をまとめて仕上げるように、なかなか書かなかった数冊を一気に仕上げています。
その中の一冊が、もう一年以上取材を続けている最新医療をテーマにした書籍です。
ここ数年、僕は「人類は、あたらしい進化の過程にいるのではないか」と考え続けています。
およそ十万年前、我々ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人を駆逐し、この星の食物連鎖の頂点に立つことができました。
その理由は、我々ホモ・サピエンスが、他種より、少しばかり脳が発達していたと言われています。
これを、僕はHuman1.0と定義しています。
その後、およそ7万年ほど前に、気候変動によって食料危機と争いが起こったアフリカを脱し、我々の先祖は紅海を超えて地球全体に広がっていったのですが、これには相当の覚悟と、海を越える等、いままでとはまったく違った知恵も必要だったはずです。
火事場の馬鹿力などと言いますが、人間は本当の危機に直面すると、驚くべき力(人間とは思えない力)を発揮することは、よく知られています。
おそらく、そのような特別な力が出なければ、海を越えて外世界へと出ることは不可能だったと思われます。
その能力が、火事場の馬鹿力だったのか、突然変異だったのか、わかりません。
この時の人々を、僕はHuman2.0と呼び、その後定住することになっても、この時から人間の脳はあまり進化しているようには見えません。
なぜなら、「それまでの世界」を脱しなければならないほどの(地球が滅亡するほどの)危機に、我々は直面していないからです。
昨年の大ベストセラーとなった「サピエンス全史」を書いたイスラエルの歴史家ユヴァル・ノア・ハラリは、人間の進化と「人類滅亡」の現実的シナリオについて、自著で具体的に話しています。
最終章「超ホモ・サピエンスの時代へ」では、生命の設計図であるDNAをある程度は自由に扱える能力を手に入れたので、人間がこの星の一動物であることを脱却し、今後、自然や偶然に身を任せる存在とは異なるステージに入ると言います。
ハラリは、過渡期に生きる我々に問題提起をし、いままでとはまったく違う「サイボーグ的な人類」の登場を教えています。
僕は、やがて訪れるこの時期をHuman3.0と呼んでおり、逆説的に「それまでの世界」を脱しなければならないほどの危機がやってくると推察しているのです。
その前段階の時代に、これをお読みの誰もが生きています。
ガラケーとスマホは、確かに機能や目的は似ていても抜本的に異なるように、いま「あたらしい人類」に向かうための先端医療は、まったくあたらしい時代に突入しています。
その最たるものが、検査です。
心身共々、なんとなく不調だけど病気だと診断されない状況に多くの人が陥り、時には、その自覚すらありません。
いままで未解の問題が、テクノロジーによって次々と明らかになっている現在、医療機器の民主化で、主治医は、そして未来や驚くべき長さになろう寿命を決めるのは、自分自身になったのです。
旧暦の3月3日まで寒いと言われる沖縄は、もうすっかり季節が変わりました。
日々25度ある日中、太古の記憶を探るようにTシャツと短パンで街を徘徊しながら、執筆を進めています。
タイトルは「不老超寿」(仮題)。
夏休み前には上梓予定です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.303 2017年4月7日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 未来放談
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
						
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