※この記事は本田雅一さんのメールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」 Vol.021(2018年5月25日)からの抜粋です。
このところ、この日本でもっとも大きな話題になっているのが、日本大学のアメリカンフットボール部が関西学院大学との試合で行った蛮行について。安倍首相が加計学園グループとの癒着問題で責められていることなど、すっかり忘れ去られたかのように、世間の耳目はこの問題に向かっている。
事件そのものについてではなく、今回注目したいと考えたのは、日大広報部のその後の対応についてである。何しろインターネットとSNSの時代において、やってはならない対応のオンパレードだからだ。
問題となっている選手は、苛烈なパワーハラスメント、トップによる“忖度”への圧力を受け、信頼できると思っていた高校時代の恩師からも圧力をかけられ、凶行に及んでからは日大アメリカンフットボール部による隠蔽工作によって闇に葬られようとしていた。
その状況が周りから見ても明らか、あるいは何かおかしいということが伝わっているのに、日大広報部は責任を認めず、誠意も見せず、さらには対応を先延ばしにし続けて、現在も結論を出していない。
近年、ネットにおける口コミ情報の拡散速度が上がっている中、危機管理対応をどうすべきなのかさんざんノウハウが溜まっていているはずなのに、ここまでひどい対応を取る組織があったのかと驚いた。
みなさんご存知のこととは思うが、これらの問題は日大のディフェンスライン選手が、関学の司令塔であるクォーターバックを、ケガさせる意図でプレー終了後の油断した瞬間にタックルし負傷させた件だ。
その際の映像を見たときの衝撃は、おそらく皆同じだったのではないだろうか。悪質な反則どころの話ではなく、個人的な恨みを晴らすかのように見えた。一連のプレーが終わった後、つまりインプレーではないタイミングで鍛え上げられた肉体を持つ選手に背後からタックルされれば、場合によっては生死に関わる大ケガにつながることは素人でもわかる。
アメリカンフットボールに限らず、ラグビーやサッカーなど、身体の接触があるスポーツでは、ケガを防ぐためのルールがあり、また指導者も相互の利益(自分自身がケガを負わないためにも)もあって、野蛮な行為はするべきではないと指導するのが当たり前だと思っていたが、実際のプレーを映像で見て絶句してしまった。しかし、同時に“何かがオカシイ”という違和感を感じた人も多いのではないだろうか。
アメリカンフットボールはケガが多いスポーツだ。しかも多くの選手が関わるチーム戦で、自分だけでなくチームメイトにもケガで苦労している人は多いことだろう。そんな環境に置かれ続けてきたスポーツ選手が、自分の意志で相手選手を潰そうと思うだろうか? しかも加害者は学生であり、年齢的にも十分に成熟しているわけではない。私利私欲私怨のために、あんなことを平気でやれるはずがない。
加害者側の学生も、その試合に出ていたすべての選手と同じように、身体づくりのための努力を行い、身体能力を高めるために厳しい練習に耐えている。それらを乗り越えようという強い意志がある一方、ケガをしたクォーターバック選手の、それまでに積み上げてきた努力に対しても理解していたことだろう。
いくら対戦相手とはいえ、相手も研鑽を積んでいるであろうことが理解できる中で、簡単に“壊す(ケガをさせる)”行為を行うとは思えない。自分自身が選手で、おそらくはケガも何度もしているだろう子が、単に指示を出されただけであんなことはできない。
何か異常な状況、精神状態でなければああならない。何らかの形で追い込まれていたと考えるのが自然だ。だからこその違和感だったが、関西学院大学のクォーターバックにケガを負わせた日大の宮川泰介選手が会見したことで、この話題の出口が見えてきた。
無論、いくら強要されたからといって、彼には断る選択肢もあった。しかし、彼の会見を見る限り、そして、その言葉を信用する限り、その責任が日大アメリカンフットボール部側にあるのは明らかだと感じる。
●宮川選手の会見でもっとも印象的だったことは……
彼の会見は実に誠実で、真実を捉えているように感じられた・・・
(この続きは、本田雅一メールマガジン 「本田雅一の IT・ネット直球リポート」で)
本田雅一メールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」
2014年よりお届けしていたメルマガ「続・モバイル通信リターンズ」 を、2017年7月にリニューアル。IT、AV、カメラなどの深い知識とユーザー体験、評論家としての画、音へのこだわりをベースに、開発の現場、経営の最前線から、ハリウッド関係者など幅広いネットワークを生かして取材。市場の今と次を読み解く本田雅一による活動レポート。
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