※この記事は本田雅一さんのメールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」 Vol.031(2018年10月26日)からの抜粋です。

中東の武装勢力に拘束されていた安田純平さんが、カタール政府を経由した交渉の結果、人質から解放されたニュースが駆け巡りました。失われていた可能性もあった邦人の命が助かったのですから、喜ぶべきニュースとは言えるのでしょう。
しかし、一方で批判的な視点も多いようです。安田さんは常々、政府の外交姿勢や紛争地域での報道に対するサポートの弱さ、あるいは危険な地域からの退去を命じる姿勢などを批判してきました。日本はテロ組織の活動資金とならないよう、こうした外国人の人質解放を行わない条約に署名するなど、国際的には“犯罪組織とは交渉をしない”立場ですが、それでも外交ルートを通じて救出することができたというわけです。実は以前にも安田さんは拘束・解放というプロセスを経ていて、そういう意味では何度も同じようなことを繰り返していることになります。
そんな諸々のプロセスがあった上で、安田さんが拘束されたのは自業自得なのに、なぜ国費を投じて助けねばならないのか。自己で責任を取れない領域にまで足を踏み入れて拘束されたのだから、まず国民に対して感謝と謝罪の念を示すべきだ、などの批判的な意見がどんどんと膨らみ、批判的な声が増えています。
一方で「彼は民主主義を守るために戦ったのだ」と、その帰還を英雄視する声もあります。隠された真実(と自分たちは信じている)を暴くことに命を賭ける。その結果、平和やより良い世界が訪れるのならば、確かにそれは英雄的な行為なのでしょう。僕は安田さんの“成果”や最終的な“目的”をよく知らないため、そうした意見について批判も評価もできません。
あえて言うならば、批判も英雄視も、いずれも正しくはないと思います。彼は自分の信念を貫くために、己の身体を捧げたのでしょう。それは讃えられるためだったのでしょうか。その結果が出ていないのであれば、何を英雄視するのでしょうか。彼の思想でしょうか?
強い批判が正しいとも思いません。確かに彼の行動は軽率だったのかもしれません。報道が事実なら、安田さんは“たいして危険ではない場所”でも帰国せよとする政府を強く批判していた直後に拘束されています。政府の姿勢とは関係なく、自分の行動は自分で責任を持つべきですが、自分ではコントロールできない状況に陥りました。とはいえ、経緯の詳細を知らない人間は、「生きて帰って来れて良かったね」と、まずは祝福の気持ちから話をスタートさせてもいいのではないでしょうか。
●「異なる考えだと思う」のか、「あなたは間違いだと思う」のか
安田純平氏を巡っての批判も英雄視も、どちらの立場でもない僕が俯瞰して見ていると、彼が拘束される前の発言も含め、いくつかのコミュニケーション・ミスがあるように感じました。
(この続きは、本田雅一メールマガジン 「本田雅一の IT・ネット直球リポート」で)
本田雅一メールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」

2014年よりお届けしていたメルマガ「続・モバイル通信リターンズ」 を、2017年7月にリニューアル。IT、AV、カメラなどの深い知識とユーザー体験、評論家としての画、音へのこだわりをベースに、開発の現場、経営の最前線から、ハリウッド関係者など幅広いネットワークを生かして取材。市場の今と次を読み解く本田雅一による活動レポート。
ご購読はこちら。
その他の記事
|
東アジアのバブル崩壊と「iPhoneSE」(高城剛) |
|
『時間の比較社会学』真木悠介著(Sugar) |
|
2023年は「人工知能」と「公正取引」の年に(やまもといちろう) |
|
人間にとって自然な感情としての「差別」(甲野善紀) |
|
インタラクションデザイン時代の到来ーー Appleの新製品にみる「オレンジよりオレンジ味」の革命(西田宗千佳) |
|
嘘のこと〜自分の中の「真実」が多数のリアリティによってひっくり返されるとき(川端裕人) |
|
明日にかける橋 1989年の想い出(切通理作) |
|
【代表質問】山本氏の『ボク言いましたよね』の真髄を知りたい(やまもといちろう) |
|
国民民主党「部分連合」で迎える石破茂政権で思い切れなかったところ(やまもといちろう) |
|
自分の身は自分で守る時代のサプリメント(高城剛) |
|
ポストコロナ:そろそろコロナ対策の出口戦略を考える(やまもといちろう) |
|
山口組分裂を人事制度的に考察する(城繁幸) |
|
成功する人は「承認欲求との付き合い方」がうまい(名越康文) |
|
ドイツでAfDが台頭することの意味(高城剛) |
|
【対談】名越康文×平岩国泰 ほめればほめるほどやる気を失う子どもたち〜「放課後」だから気づけた、子どもの自己肯定感を伸ばす秘訣(名越康文) |











