高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

AIの呪縛から解き放たれ、なにかに偶然出会う可能性を求めて

高城未来研究所【Future Report】Vol.396(2019年1月18日発行)より

今週は、福岡にいます。

日本各地を移動しながら執筆するのも2週目に入り、金沢から片山津温泉、京都、大阪を経て、福岡までやってきました。

執筆に適した街は、書くテーマによっても異なるのでしょうが、基本的には、それなりの大きな街を選ぶようにしています。

その理由は、ふたつあります。

ひとつは、大きな書店があることです。
いまや、書籍の9割以上はAmazonで購入するようになりましたが、街をブラブラしながら、フラリと入って、あらゆるジャンルの書籍に目を通すのは、なによりもの頭の活性化につながります。

Amazonの良いところでもあり、また、これでいいのかと思うのは、レコメンドエンジンが、あまりに優秀な点です。
顧客の購買や検索の履歴データから最適なおすすめ商品を提案し、このフィードバックを元に、最近では「スマートスピーカーAmazon Echo」やドローンで配達する「Prime Air」などでもマシンラーニングが活用され、いまやレコメンド・エンジンは、Amazon帝国のコア技術に成長しました。
しかし、驚くことに数週間前に開催されたAmazon AWS年次開発者イベント「AWS re:Invent 2018」の会場で、なんと、このレコメンドAI「Amazon Personalize」を外販すると発表したのです。

今後、レコメンドAIで世界一の企業になったAmazonと同じように、他の企業が自社データを組み込むだけで、独自のレコメンドシステムを構築できるようになります。

つまり、「大レコメンド時代」が到来します。

こうなると、「なにかに偶然出会う」可能性は、年々低下するはずで、ピンポイントで狙うアドテクすらも完全に駆逐されていくことになるでしょう。

そこで、「なにかに偶然出会う」可能性を求め、まるでAIの呪縛から解き放たれるように、ひたすら書店を歩くのです。
料理本から実用書まで、普段なら訪れることがないコーナーまで書店をくまなく歩き、座ってたら見向きもしないだろう書籍を手に取ります。
いわば、レコメンドエンジンが「AI様のお導き」だとしたら、それに対抗するように「神様のお導き」の機会を失わないようにしようと考えます。
それゆえ、執筆期間は、歩き回れる大型書店がある大都市に滞在するのです。

そしてもうひとつ、執筆地を選ぶ決め手は、食事処です。
基本的に玄米用の圧力炊飯器を持ち歩いていますが、たまには、気分転換に外食したり、美味しいコーヒーを飲みに出かけたいのは、僕とて他ではありません。

それもオンラインで自分好みの一店を探し出すのではなく、街をブラブラしながら飛び込みで入り、見事「当たり!」に出会った時の喜びはひとしおで、一気に筆が進みます(これ、一番大事)。

しかし、それなりの美味しい食や健康的な食を見つけようとなると、大都市にしか見当たりません。
以前は、人口5万人も満たない小さな街を巡るのも好きでしたが、グルテンフリーどころか、オーガニックフード探しもままならないのです。

かくありまして、執筆の際には大都市を拠点とし、そこから足を伸ばして、週末に周辺都市を楽しむようになりました。

さて、足掛け3年に渡る新刊の脱稿まで、あとわずか。
今週も、「検索と散策の間」を過ごしてます。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.396 2019年1月18日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

その他の記事

ポストコロナ:そろそろコロナ対策の出口戦略を考える(やまもといちろう)
物流にロボットアームを持ち込む不可解、オーバーテクノロジーへの警鐘(やまもといちろう)
「ローリング・リリース」の苦悩(西田宗千佳)
成功する人は群れの中で消耗しないーー「ひとりぼっちの時間(ソロタイム)」のススメ(名越康文)
何かに似ている映画とかじゃなくて、今じゃなきゃ出来ない、ここじゃなきゃ出来ない映画に出れる幸せ(切通理作)
αショック:オートフォーカスカメラの登場(高城剛)
ウクライナ問題、そして左派メディアは静かになった(やまもといちろう)
ビジネスマンのための時間の心理学――できる人は時間を「伸び縮み」させている(名越康文)
スマートシティ実現と既得権益維持は両立するか(高城剛)
季節の変わり目に丹田呼吸で自律神経をコントロールする(高城剛)
成長戦略に「ウェブスリー」を掲げる岸田官邸の何それ感(やまもといちろう)
タレント候補が減った理由–戦い(の見物)を終えて(やまもといちろう)
ハバナ症候群という不思議な病の顛末(高城剛)
メディアの死、死とメディア(その2/全3回)(内田樹)
6月のガイアの夜明けから始まった怒りのデス・ロードだった7月(編集のトリーさん)
高城剛のメールマガジン
「高城未来研究所「Future Report」」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回配信(第1~4金曜日配信予定。12月,1月は3回になる可能性あり)

ページのトップへ