高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

沖縄、そして日本の未来を担う「やんばる」

高城未来研究所【Future Report】Vol.375(2018年8月24日発行)より


今週は名護にいます。

自分で作ったガイドブックを片手に、まるで復習するような旅路は、実に不思議な感覚です。
制作をはじめてから一年以上経過し、すっかり忘れていることもあるのでしょうが、まるで、もうひとりの自分が別の自分に教えるように、ふと感じることがあります。

やっとリリースとなった「NEXTRAVELER沖縄本島・北部」(Kindle版)の冒頭にも記載しましたが、現在、完全にオーバーキャパシティとなった那覇をスキップし、北部まで高速船で観光客を送り込む北部振興計画が、着々と進んでいます。
この那覇と沖縄北部の本部間を結ぶ海上交通のほかにも、本部半島をロープウエーで移動する新たな観光施設を建造予定で、三年後の2021年に事業開始を目指し、今年から試験運転等含む実証実験がいよいよはじまります。

こうなると、三年後には沖縄本島・北部も那覇同様、オーバーキャパシティになることが予測されます。
すでに年間沖縄観光客数が1000万人の大台に乗り、人口35万人の那覇がパンパンだとしたら、北部主要地である名護の人口は6万人の小都市のため、あっという間にインフラや飲食店のキャパシティを超えるのは間違いありません。
つまり、沖縄本島・北部で快適に楽しく遊べる時間は、あと3年しかないことになります。

なにより北部の魅力は、大自然です。
南国の植物に囲まれた山々や山間を流れる美しい川、そして多様な生物と、すばらしい生態系があります。
「山原」と書いて「やんばる」と読む沖縄本島北部の広大な大自然は、現在、西表島、奄美大島、徳之島とともに「世界自然遺産登録」を目指しています。
大陸との分離結合を繰り返しながら島々が成り立った地史があり、それを反映した多様で固有性の高い生態系を有する点や、絶滅危惧種の生息地として重要な場所であることが国によって評価されていますが、その大自然のなかに米軍のヘリパッドが建設されている現状を考えると、為政者の思惑を感じざるを得ません。

いま、多くの人たちが本島北部に訪れて見に行かねばならないのは、美味しいお店や楽しいスポットもさることながら、覆い隠された「矛盾」を通じて日本の一端を正しく見る「姿勢」にあるように思う今週です。

「やんばる」は、沖縄、そして日本の未来を担っています。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.375 2018年8月24日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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