※家入一真メールマガジン「家入学級」Vol.022(2014年9月16日)より
哲学には答えが用意されていない
最近、哲学の本にはまっています。
『世界十五大哲学』大井 正,寺沢恒信 著
この本によると、哲学の定義にもいろいろある。幸せとは何かを考察するものもあれば、科学における哲学、社会における哲学、美術における哲学なんてのもある。いろんな哲学があるなかで、哲学の本質って何かというと、答えがないことなんです。
宗教と哲学の違いって、どうしたらもっと幸せになれるかとか、苦しみを解決できるかという切実な問いに対して、宗教は答えを用意してくれるもので、哲学は答えを用意してくれないもの。
みんな往々にしてそこを勘違いして、人生の答えを求めて哲学を学び始めるんだけど、答えが用意されていないことに気付いて挫折をしてしまう。哲学書を読み始めても途中で投げ出してしまう人、多いですよね。
哲学の世界だと、「幸せな人生を送るには」というテーマがあったとしたら、「そもそも幸せの定義とは何か」という話になって、さらには「幸せの定義」の“定義”って何かという話になって、どんどん疑問が出てきて永遠に答えが出ない。
たとえ答えを出したとしても、自己否定じゃないけど、常に自分の中で分析を続ける。ときにはプラトンとソクラテスのように、師匠が言ったことすら否定しながら考え続けるという態度。それが哲学であるとこの本に書いてあって、すごくしっくりきた。
考えるということをしない人々
この本は10年くらい前に出版されたものだけど、今の時代こそ読まれるべきじゃないかな。というのも、今の人には哲学の態度が足りないんじゃないかと思うんです。みんな安易に答えを求めすぎてる。
本のなかに「戦争を推進するような政治とか国っていうのは、国民にいろいろと考えられると困るから、思想を排除しようとするし、思想の自由を縛ろうとする」と書いてあって、「ああ、なるほどね」って。最近そういう風潮をすごく感じる。政治の動きなんかを見ていても、国民に頭を使わせないようにしてるなって。「これが答えです」って先に用意しちゃうみたいな。
例えば原発問題や集団的自衛権にしてもそう。あまり思考しないまま反対を謳っている人がすごく多い。選挙中にずっと言ってきたけど、僕自身を含めて、みんな考えるってことをしてない気がする。誰かが言った「こうだからこうなんです」っていう答えをそのまま鵜呑みにしてしまう。マスコミのことも「真実を報道していない」と叩く一方で、もと兵庫県議会議員の野々村竜太郎さんの一件のような、自分たちが愉快になれる報道には何も考えずに賛成したり。「それでいいんだっけ?」という疑問みたいなものは、僕のなかにずっとある。
家入一真メールマガジン「家入学級」
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