好評発売中!
驚く力―さえない毎日から抜け出す64のヒント 
現代人が失ってきた「驚く力」を取り戻すことによって、私たちは、自分の中に秘められた力、さらには世界の可能性に気づくことができる。それは一瞬で人生を変えてしまうかもしれない。
自分と世界との関係を根底からとらえ直し、さえない毎日から抜け出すヒントを与えてくれる、精神科医・名越康文の実践心理学!
amazonで購入する
時間とは「妄想」である
「時間がない」
「時間に追われる」
「自分の時間が取れない」
「時間を有効に使えない」
……こういった<時間>にまつわる質問を受けることがよくあります。
時間にまつわる悩みを抱えている方がまず気をつけたほうがいいのは、そもそも「時間」を主語や、目的語にしている時点で、それはかなり妄想的な発想に陥っている可能性が高い、ということです。
昨日、今日、明日と時間を区別すること自体が、実は妄想的です。「時間が……」「時間に……」ということが頭に浮かんでいる状態では、僕らは目の前のことに集中できていません。そういう悩みが生じている瞬間、その人は「時間の妄想性」に足元をすくわれているんです。
ただ、そうはいっても、僕らはそう簡単に時間から自由になることはできません。少なくとも現代人にとって、時間という観念(妄想)は非常に強固で、そこから解放されることは容易ではない。「時間なんて気にしない!」と心に決めただけでは、どうにもならないんです。
その証拠に、僕たちは「5分遅れてもなんてことはない」と頭でわかっていても、電車に乗り遅れそうになった瞬間、心に焦りが生じてしまいます。時間という妄想は相当根深く、僕ら現代人の心を縛っているのです。
時間を「空間的」に捉え直してみる
時間から少しでも自由になる方法として、今回は「時間を空間的に捉える」ということを考えてみましょう。僕らは時間というものに対して、「線」で捉えるようなイメージを持っています。それを三次元的に広げ、「チューブ」のようなイメージに変えてみる。
左側の過去から、右側の未来に向かって、太さを伸び縮みさせながら流れていくチューブをイメージしてみる。そうすると、「横軸」の時間の流れに対して、「縦軸」や「奥行」に向かって伸び縮みするチューブの太さが、時間の「濃さ」「密度」を表すことになります。その時間が自分にとって濃密であれば時間のチューブはどんどん「太く」なり、その時間を集中して過ごすことができなければ、時間のチューブはどんどん「細く」なっていく、というわけです。
そうやって時間というものをとらえ直してみると、時間は決して均一ではなく、いわばウインナーソーセージのように伸び縮みしている様子がはっきりとイメージできてきます。
もちろん、これもひとつの時間についての妄想的な捉え方に過ぎない、ということもできます。先に述べたように、過去、現在、未来という捉え方も妄想に過ぎないわけですから。でも、少なくともビジネスや実務のレベルで時間の使い方が上手な人というのは多かれ少なかれ、こういう「伸び縮みする時間」のイメージを持っているものなんです。
なぜかというと、「時間のチューブ」が太くなっている時間帯を上手に使うと、「細い時間帯」にがんばるのに比べて何倍、場合によっては何十倍もの仕事をこなしたり、思索を深めたりすることができるからです。読書でいえば、「細い時間帯」には、1時間かかっても5~10ページ読むのがやっとだという人が、「太い時間帯」には、100ページ以上、薄めの新書なら読み切ってしまうことすらあるぐらい、すらすらと読み進めることができる。
「できる人」というのは実は、そういう「伸び縮みする、三次元的な時間」を捉えることによって、普通の人よりも少し、時間の呪縛から自由になっているんですね。

その他の記事
![]() |
ソニー平井CEOの引き際。なぜソニーは復活できたのか(本田雅一) |
![]() |
週刊金融日記 第287号<イケメンは貧乏なほうがモテることについての再考察、小池百合子は出馬するのか他>(藤沢数希) |
![]() |
「ワクチン接種」後のコロナウイルスとの戦いは「若者にも出る後遺症」(やまもといちろう) |
![]() |
ドラマ『ハウス・オブ・カード』〜古くて新しい“戦友”型夫婦とは(岩崎夏海) |
![]() |
野党共闘は上手くいったけど、上手くいったからこそ地獄への入り口に(やまもといちろう) |
![]() |
面接やプレゼンにも効果的! 「他人を味方に変える」ための3つのアプローチ(名越康文) |
![]() |
週に一度ぐらいはスマートフォンを持たず街に出かけてみよう(名越康文) |
![]() |
明日にかける橋 1989年の想い出(切通理作) |
![]() |
急成長女性向け風俗の蹉跌とホスト規制(やまもといちろう) |
![]() |
(2)「目標」から「目的」へ(山中教子) |
![]() |
イビサで夕日のインフレを考える(高城剛) |
![]() |
国会議員は言うほど減らすべきか?(やまもといちろう) |
![]() |
「常識」の呪縛から解き放たれるために(甲野善紀) |
![]() |
ユーザーインターフェイスの再定義は、アプリの再開発よりハードルが高い(本田雅一) |
![]() |
イノベーションが「IT」で起きる時代は終わった(高城剛) |