名越康文
@nakoshiyasufumi

名越康文のメルマガ『生きるための対話(dialogue)』より

ビジネスマンのための時間の心理学――できる人は時間を「伸び縮み」させている

 

歩くこと、身体を動かすことが時間を「太く」する理由

 

「細い時間」が永遠に続くと思いこんでいる人は、いわゆる抑うつ状態といえます。うつと躁が交互にくる双極性障害(躁うつ病)の場合はまた別ですが、沈み込んだ状態がずっと続いてしまういわゆる「うつ病」の場合、身体を動かす運動療法に一定の効果があることが知られています。そこにはもちろん、生理学的なメカニズムもあると思いますが、「移動する」ことによって、「細い時間」から「太い時間」へのシフトチェンジが起きる、という側面もあるのではないかと僕は考えています。

仕事や、作業に行き詰まったら、散歩に行く。散歩しながら、細くなっていた時
間がだんだんと、太くなってきた感覚を探る。それを待ってからデスクに戻ると、
それまで感じていた閉塞感が嘘のように消えています。

よく、「時間がもったいないから」と食事や移動中にパソコンを開いて仕事をす
る人がいますが、単に「仕事をしている(ように見える)時間」を増やしても意味がありません。もちろん、「私は電車の中でパソコンを開いているときが一番集中できるんです」という人はそれでもいいのですが、「時間の太さ」を作っていく、という点でいうと、そうやって切れ目なく仕事や作業を続けることは、あまり効果的とは言えないと僕は考えています。

食事をしているときは食事に集中する、移動するときは移動することに集中したほうが、上手に「太い時間」を作り、結果的に成果を上げることにつながるだろうと思います。

 

※この記事は「名越康文のメルマガ 生きるための対話(dialogue)」2013年10月26日 Vol.062<「できる人」の時間は伸び縮みする>を元に再構成したものです。

 

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名越康文
1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学、龍谷大学客員教授。 専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:現:大阪精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。 著書に『「鬼滅の刃」が教えてくれた 傷ついたまま生きるためのヒント』(宝島社)、『SOLOTIME~ひとりぼっちこそが最強の生存戦略である』(夜間飛行)『【新版】自分を支える心の技法』(小学館新書)『驚く力』(夜間飛行)ほか多数。 「THE BIRDIC BAND」として音楽活動にも精力的に活動中。YouTubeチャンネル「名越康文シークレットトークYouTube分室」も好評。チャンネル登録12万人。https://www.youtube.com/c/nakoshiyasufumiTVsecrettalk 夜間飛行より、通信講座「名越式性格分類ゼミ(通信講座版)」配信中。 名越康文公式サイト「精神科医・名越康文の研究室」 http://nakoshiyasufumi.net/

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