名越康文
@nakoshiyasufumi

名越康文メールマガジン 生きるための対話(dialogue)より

思考や論理と同じぐらいに、その人の気質を見よう


「現実を直視しろ」

人は意外と安易に、そう口にします。

そしてこの言葉は、多くの場面で相手の意見を封殺する、ある種の殺し文句として機能しています。しかしそもそも、個人にとっての「現実」とは何でしょうか。これはそう一筋縄にはいかないテーマではないでしょうか。

もしも人が同じように感じ、同じように考える生き物であるなら、「現実を直視しろ」という言葉は有効です。しかし、ある気質(身体の感受性)を持つ人にとっての現実が、別の気質を持つ人にとっては現実的ではない理想論か、下手をすると夢想としか感じ取れないことが少なくないことを、私たちは知っています。(少なくとも、このメルマガを読まれている読者の皆さんにとっては、共通認識となりつつあるでしょう)

そのような複数の「現実」の中で生きる私たちにとって、「現実を直視する」とはどういうことなのか? 体癖論を学ぶことは、この難問に取り組む上で、大きな手がかりとなります。

思想や知識を見ているだけでは、私たちは異なる意見に耳を傾けることができません。異なる意見が生じるのは、気質によってまったく異なる「現実」があるからです。思想や論理について考えるのと同じぐらい、相手の気質を見るということ。

もし、本当の意味で生産的な議論をしたいと思うなら、そのことは必須だと思うのです。

 

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名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)

2015年11月16日 Vol.112 目次

00【イントロダクション】思考や論理と同じぐらいに、その人の気質を見よう
01【近況】寂しさとともにある幸せの中で、人は成長する
02【コラム】緊張をほぐす3つのステップ
03精神科医の備忘録 Key of Life
・表参道にて『キングダム』の戦禍に酔う心
04カウンセリングルーム<今週はお休みです>
05読むこころカフェ(36)
・身体から「倫理」と「道徳」の違いを考える
06講座情報・メディア出演予定
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名越康文
1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、京都精華大学客員教授。 専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:大阪府立精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。 著書に『心がフッと軽くなる「瞬間の心理学」』(角川SSC新書、2010)、『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『質問です。』(飛鳥新社、2013)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。 名越康文公式サイト「精神科医・名越康文の研究室」 http://nakoshiyasufumi.net/

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