※「競争考」はメルマガ「ハックルベリーに会いに行く」で連載中です!
※岩崎夏海さんが代表を務める「部屋を考える会」から、2014年11月、2冊同時に新刊が出ます!
『部屋を活かせば頭が良くなる』
夜間飛行、2014年11月
人の才能に大差なし。
脳力は環境が育てます!
いくらモノを捨てて掃除をしても、すぐに散らかり元通り…努力なしできれいな部屋をキープできる画期的な方法「ヘヤカツ」なら、部屋がきれいになるだけでなく、あなたの記憶力、発想力、プレゼン力もアップします!
前著『部屋を活かせば人生が変わる』から、さらに人の「脳力アップ」に焦点をあてたヘヤカツ本第二弾、ここに登場!
KADOKAWA/メディアファクトリー、2014年11月
老いる前に部屋という生活空間をよりよい場所に変えていこう。ヘヤカツで50歳からの部屋を活性化!
『部屋を活かせば人生が変わる』
夜間飛行、2013年11月刊
部屋を考える会 著
あなたのやる気の99%は、部屋の「流れ」が決めている!!
いくらモノを捨てて掃除をしても、すぐに散らかり元通り…そんな自分に嫌気がさしている人は多いのではないでしょうか。本書では、たった一度モノを整理し「掃除の道」を作れば、部屋を活かすことができて、努力なしできれいな部屋をキープできる画期的な法則を伝授。
あなたではなく、部屋が変われば、あなたの意思は自然に強くなり、眠っていた能力が引き出されます。
岩崎夏海の競争考(その20)ブラック企業と奴隷根性
「競争心」は人の心から取り除くことができる
ゆとり教育の若者たちと接する中で痛感したのは、「競争心」というのは人の心から取り除くことができる――ということだ。人は、教育によって誰かの競争心をなくすることができるのである。ぼくはそれまで、そういうことを想像していなかった。競争心は、誰の心にも当たり前にあると思っていた。ところが、そうではなかったのだ。
競争心は、教育によって取り除くことができる。それは、言い換えれば「勝ちたい」という気持ちを取り除くことでもある。今、「勝ちたい」という気持ちが取り除かれた若者が本当に多い。そういう「勝ちたい」という気持ちが取り除かれた若者が多い時代に、競争社会が到来してしまった。格差社会が到来してしまったのだ。そのため、「勝ちたい」という気持ちを取り除かれた若者は、「勝ちたい」という気持ちがまだ残っている人たちに、いいように利用されるようになった。競争心のある人がますます栄え、競争心のない人がますます困窮する世の中になったのだ。
ぼくは、格差社会というものを良くないと感じている。格差が広がれば広がるほど、不幸せになる人間が多くなると思うからだ。そのため、なんとか格差の少ない社会にしたい。それには、競争心を持った人間が増えることが必要だと考えている。
しかしながら、強者が弱者に施しをするというのは、あまり良策とは思っていない。なぜなら、人は施しをされると、独特の卑屈な気持ちが芽生え、それに支配されてしまうからだ。自分を低く見てしまい、そのことによって縛られ、強者になる気力がそがれてしまうのである。
幼いころの疑問
ぼくは、子供時代に奴隷制度の話を聞いて、最初は不思議に思っていた。なぜ抵抗しないのか? なぜ逃げないのだろう? ぼくなら絶対に逃げるのに。それで、大人にその質問をぶつけてみた。
「どうして奴隷は逃げないのか?」
しかし、そこで返ってきた答えは、ぼくの疑問を解決するものではなかった。
「逃げたくても逃げられないんだよ」
ぼくは、その答えに全然納得できなかった。大人たちは、それを物理的、経済的な拘束という意味で使っていた。つまり、逃げてもすぐに捕まるとか、逃げても食べられないから生きていけないと。しかし、幼心にも「それは嘘だ」と分かった。奴隷は、それほど厳重な監視下に置かれていたわけではない。食べ物だって、盗めなくもなかった。もちろん、それでも逃げるのはとても難しいことだと思うが、根性があればやってやれないことはない。実際、逃げおおせた奴隷も少なからずいたはずだ。
不思議なのは、奴隷が奴隷の立場に甘んじてしまうということだった。それに馴らされてしまうことだ。「奴隷」というと、近代にアフリカから西欧諸国に連れてこられた黒人を連想する人も多いが、古代世界にも多くの奴隷制度があって、例えばローマなどは、建国の際、女性が不足していたという理由で近隣諸国から若い女性を拐かし、妻にしていたという逸話が残っている。