小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」より

Amazon Echoのスピーカー性能を試す

※メールマガジン「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」2017年12月8日 Vol.153 <用途が決まれば道具が決まる号>より


IT業界11月のビッグイベントといえば、「Amazon Echo祭り」だったのではないかと思う。11月8日の国内発表ののち、予約が開始されたが、なんと「招待制」だという。招待制というと聞こえはいいが、要するに予約した人の中から先着順でもなく、発送する順番はAmazonが決めるというわけだ。少ない弾数の争奪戦やいつまでも届かないという不満解消の手段かもしれないが、こうした高飛車な販売方法はかつてなかったのではないだろうか。

当然選ばれた人、選ばれなかった人が出るわけで、筆者は後者である。結局実際のモノが届いたのは11月30日で、とっくにネットのレビュー祭りは完了。出遅れること甚だしいわけだが、スピーカーとしての音質評価はあまりされていないのではないかと思い、音楽再生機器という切り口で軽くレビューしてみたい。

 

音質は期待値を上回る出来

今回購入したの、もっとも一般的と思われる「Echo」である。もっとも小型のEcho Dotは、音声コマンドに対する返答を聞かせるためのスピーカーは内蔵するが、音楽再生には十分ではない。一番大型の「Echo Plus」はスマートホームハブも内蔵のモデルで、ツイーターサイズがEchoの16mmから20
mmにサイズアップしている。本体容積も大きいため、音響特性で言えばEcho Plusがもっとも良好のはずである。

今回敢えてEchoを購入したのは、以前から使っているBOSEのSoundLink Revolve とサイズが近いからだ。かたや27,000円のスピーカー専用機、かたや11,980円のスマートスピーカー。多くのスマートスピーカーは、音声コマンドによる利便性が大きくフォーカスされているが、EchoにはAmazonが専用の音楽ストリーミングプランを設けるなど、音楽を聞くための装置としてのお膳立てもしてある。これを評価しないわけにはいかないだろう。

SoundLink Revolveの音質評価については、下記の記事を参考にして頂きたいが、モノラルスピーカーながら、低音のバランスや音の広がりなど、小型であることを意識させない作りが光る一品だ。

・360度再生からイルミネーションまで! ソニーとボーズの新Bluetoothスピーカーを聴く

Echoのサウンドは、当初予想していたよりは十分に低音が出て、少なからず驚いた。芯の太い低音は、ある部分ではBOSEを上回る。

ただ、低音の質という意味ではかなりキャラクターが違う。BOSEの低音は、中高域との分離感が強く、キレが良い。Echoの低音は、その点中音域からベタッと繋がっている感があり、若干もっさり感がある。キレよりも量感で聞かせる低音なのだ。

おそらくウーファとツイータのクロスポイントをどこで取るかの違いによるものだと予想はするのだが、Echoも音楽スピーカーとしてはなかなか質が高い。

ただ、EchoがSoundLink Revolveに敵わない点がひとつだけある。それは、サウンドの広がり感だ。モノラルスピーカーゆえに、ステレオ感は元々望めないのだが、SoundLink Revolveは2mぐらい離れて聞くと、どこで鳴っているのかよくわからなくなるような広がりがある。ダミーで左右に小型スピーカーを置いたら、多くの人はダミーから音が出ていると錯覚するだろう。

一方Echoは、音の広がり感は少ない。同じ2m離れても、やはりスピーカーがある1点から音が出ているように聞こえる。このあたりが惜しいところだ。

Amazonのサイトで公開されている内部の様子を見ると、Echoのツイーターはウーファと向き合う格好で設置されており、拡散板がないように見える。音の広がりは、主に高音部をどれだけ上手く360度に回せるかにかかっており、多くのモノラルスピーカーは円錐状の拡散板をツイーターの中心部に置いている。SoundLink Revolveも例外ではない。これがない点で、Echoの音の広がりには限界があるのだろう。



一方Echo Plusは、スピーカーの配置がEchoとは違っており、底部に拡散板が見える。Echo Plusの音は未聴だが、恐らくEchoよりも音の広がりは期待できるのではないだろうか。もしお持ちの方がいたら、ぜひ感想をお聴かせ願いたいものである。

 

音楽サービス今後の課題

ついでに、Echoの発表と同時にサービスインした音楽サービス、「Amazon Music Unlimited」にも言及しておきたい。従来のAmazon Musicが、プライム会員なら無料で利用できるが100万曲程度であったところ、有料のAmazon Music Unlimitedでは4000万曲程度に増強されている。

曲数だけで言えば、Google Play Musicに匹敵する量である。だが、特定の曲を音声コマンドで探して再生させるとなると、なかなか大変だ。アーティスト名は覚えているだろうが、曲名まで正確には思い出せないことも多い。すなわち記憶に基づいて、口頭で指示するという操作法がベースになるならば、ピンポイントで聴きたい曲にたどり着こうとするのは無理な話で、どうしても「気の利いたプレイリスト」を再生させた方がまし、ということになる。

このプレイリストの出来という点では、現時点ではGoogle Play Musicの足元にも及ばない。自分がよく聴くタイプのアーティストを集めて、曜日ごと、時間帯ごと、気分ごとに違うプレイリストを提案してくれる。朝、寝起きのよく働かない脳味噌を使ってダイニングでかける音楽を探すのは、口を開けてモノを言うより、スマホのアプリをペラペラめくってタッチしたほうがラクである。

だがAmazon Music Unlimitedでは、スマホアプリで気の利いたプレイリストを探せるようには作られていない。せいぜい大まかなジャンルが選べるだけで、あとは勝手にそれらが再生されるに過ぎない。

加えてEchoを使った音声コマンドによるリクエストも、レベルとしてはそんなものだ。「金曜日の朝に合うオレ好みの音楽をかけて」と言ったところで、「金曜日の朝に合うオレ好みの音楽をかけてというアルバムを見つけられませんでした」と言われるだけである。

とは言え、Amazon Music Unlimitedがこのコマンドを実行できるまで、そう時間はかからないだろう。これまでAIを何に使って来たかがGoogleとは違うだけで、本腰を入れればあっという間に近いところまで到達するはずだ。

あとは各社が押さえている個人情報の使い方で、差が出ることは考えられる。Googleであれば検索履歴があり、Amazonでは過去の購入リストがある。こうしたデータから取れる傾向を加味した音楽の提案をしてくるようになった時、我々はどっちに付くべきか、選ぶことになる。

 

小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ

2017年12月8日 Vol.153 <用途が決まれば道具が決まる号> 目次

01 論壇【西田】
 2018年の「一太郎」が見つけたもの
02 余談【小寺】
 Amazon Echoのスピーカー性能を試す
03 対談【西田】
04 過去記事【西田】
 さようなら「CELL家電」
05 ニュースクリップ
06 今週のおたより
07 今週のおしごと

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