若林理砂
@asilliza

若林理砂メールマガジン「鍼灸師が教える一人でできる養生法」より

がん治療・予防に「魔法の杖」はない?–「転ばぬ先の杖」としての地味な養生の大切さ

※若林理砂のメールマガジン「鍼灸師が教える一人でできる養生法」より

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乳がんと胆管癌と、お二人の患者さんのお話がマスメディアを賑わせましたね。お一方は残念ながらなくなり、もうお一方は体の一部を無くしましたが、おそらく未来は明るいと思われます。

早めに見つけてバッサリ切るのが一番いい方法。がんは早期発見早期治療、かつ、標準治療をまず受けること。これ大切。何より大切。

よくうちの患者さんに言うんですが。「転ばぬ先の杖と、転んだあとの手当てに必要なものって違うのよ」ってね。

よくいろんな補完代替療法で、「がんは生活習慣病。精白したものや砂糖や牛乳を摂らなければならない!」とかって言われていますが、そんなもんで予防ができるんならいいですけどね。そういうわけではありません。

だけど、確かに生活習慣でがんに罹患する確率がアップしたりするのですよ。それは特定の食材や添加物を避けたりするようなはっきりした事柄ではなく、養生の三本柱「運動・栄養・休養」を適切にとること全般にわたっており、精神的なダメージなんかも複雑にかかわってきます。

いってみれば「養生」そのものが「転ばぬ先の杖」になるわけ。このメールマガジンを長期にわたって読んでくださっている方は、わたしがおすすめしている養生がどっかのおかんが口うるさく言う「はよ寝ろ」「ちゃんと飯を食え」「そんな薄着は風邪ひく」「手洗いうがい」「野菜を食え。肉も魚も食え。」「酒はたしなむ程度」なんて話で、とくに目新しいことがないってことはご存知ですな。そういう地味ーなことを生活習慣として続けることが一番いいがん予防だったりするのですよ。

肉を食わない・砂糖をとらない・牛乳をとらない・玄米菜食……なんて方法は、パッと見て分かりやすいし、続けやすい方法でもあります。我慢すれば結果が出るって、はっきり因果律が働く形に見えるしね。だけど「養生」は生活全般にかかわることで、じわーっと全部を転換しなきゃならなかったりして、はっきりした形じゃないもんだから割と難しいと感じたりするのよね。

「早く起きる、早く寝る。しかも時間をできるだけ固定」ってヤツ。これははっきりと発がんリスクを下げるんですが、みんなキライねー。あと、酒ははっきり発がん性物質なんだけど、やめないねえ。

http://bit.ly/1Qi4hY5

自律神経を整えることはやはり発がんリスクを下げると考えられるのですが、みんな自律神経失調になりそうな生活習慣大好き。間食好き、食べ過ぎ好き、遅寝遅起きすき、飲んだくれ大好き、運動キライ。あはは。

んでさー。こういう「養生」って、予防はするけど、治癒はさせないのよ。「転ばぬ先の杖」は「治癒の魔法の杖」ではないのだよ。転んでしまったら、治療が必要なのだ。

面白いなあと思うことがあるのですが、大きな病気をなさった方が、「ごめんなさいごめんなさい全部我慢しますから神様治して!」って突然あらゆる体に悪いとされることを全部排除して、修行僧のようになって……、って見かけるのですが。残念ながらそれは予防の手法であって治癒の技法ではないのです。ごめんね、なっちゃってから改心しても遅いんだ。

私ら東洋医学もどっちかというと「転ばぬ先の杖」寄りの医学体系であります。「養生無くして健康なし」って考え方だからね。未病を治すには養生必須。そもそも養生がきちんとなされていれば大きな病気は起きないって考え方だしね。(小児のデカい病気は生まれつきの体のエラーが関わっていることが多いから除外されるけどねー。小児がんとはか胎児の頃からがん細胞が出来てしまっていると考えられている)

手術も抗がん剤も放射線もしっかり受ける。その上で、私ら東洋医学を併用してもらうことで、体力を保持して楽な状態でキツい治療を乗り切ってもらうこと。そういう使い方が鍼灸や漢方のよい利用方法だと私は思っています。

灸の名手であった深谷先生も、灸でがんは治らんと書いておられました。

http://bit.ly/1MoWxnW

ご自身も結腸癌で亡くなられております。

確かにごくまれに鍼灸臨床でもがんが消えてしまうのを目にすることがあるのですが、アレはなぜそうなるのかわかりません。たまたま、なのでしょう。

鍼灸の治療を定期的に受けておられても、がんになる方もいらっしゃいます。鍼灸だけでがん予防になるわけじゃないということですね。治療を受けることより、日々の養生。それが健康リスクを下げます。そのへん、忘れないでいてほしいです。

 

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若林理砂
1976年生まれ。鍼灸師・アシル治療室院長。高校卒業後に、鍼灸免許を取得し、エステサロンの併設鍼灸院で、技術を磨く。早稲田大学第二文学部卒。2004年、アシル治療室開院。現在3ヵ月先まで予約が埋まるほどの人気を集めている。

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