オンラインサロン「エッセンシャル・マネジメント・スクール」立ち上げに寄せて

「本質を学ぶ場所」を作る

1

私は昔から、「特定の範囲でだけ使えるけれど、対象が変わったらまったく役に立たなくなる知識」や、「今この瞬間は有効だけど5年、10年後には必要なくなってしまう技術や方法」に、どうしても興味が持てませんでした。いずれ役に立たなくなる知識に対して、人生の貴重な時間をかけて学ぶ意味を見出せなかったのです。

しかし、世の中に断片的な知識やノウハウを教えてくれる人や場所は数えきれないほどありますが、本質——物事の最も重要なポイントを学術的、実践的に教えてくれる人、場所は見つけることができませんでした。

大学も大学院も、学会ですら例外ではありませんでした。

今となってはその理由がはっきりわかります。それは、そもそも「本質を追求する学問」自体が存在していないからです。学問は通常、専門的になればなるほど細分化していき、本質は見失われていく傾向を持っています。(ですから「本質大学」とか「本質学部」を見かけたことはありませんよね)。

大学院時代、私は心理学を通してアカデミックな研究を行いながら、物事の本質を追究する研究をはじめました。科学とは何か? 研究とは何なのか? 方法とは? 理論とは? 言語とは? そして人間の本質とは何なのか?

こうした問いは、まさに“哲学の問い”でした。そうした哲学的な問いに答える“原理”群からなる構造構成主義を体系化するに至ったのが、今から10年あまり前の、2005年のことでした。

その後、構造構成主義はその深度がもたらす汎用性から、医療、教育、福祉、研究をはじめとする多くの領域に応用されました。

その後、東日本大震災が起きると、仙台出身の私は現地入りしてすぐにプロジェクトを立ち上げました。福島原発事故を含めて、それは人類が経験したことがない未曾有の災害でしたが、3000人以上のボランティアの尽力のもと、立ち上げたプロジェクトは、日本最大級の支援プロジェクトへと育っていきました。そのマネジメントには、構造構成主義の「方法とは何か」「価値とは何か」という本質に通じる原理が大きく活かされました。

私は、このプロジェクトを通して、本質は厳しい現実でこそ役立つということを、身を以て実感しました。本質を捉えることができれば、本質からぶれずに、それに沿って行動しやすくなるのです。

公式化するなら、こういうことです。

【本質×マネジメント=最善の人生・組織・人間関係・仕事】

今回、「夜間飛行」が運営するオンラインサロンにおいて、「エッセンシャル・マネジメント・スクール」を主催させて頂くことになりました。

オンラインサロンですので、遠方の方でも参加していただけます。

また「エッセンシャル・マネジメント・スクール」に入学された方は、今後開催予定の一般向けのリアルゼミ(研究論文指導、読書会)や連続講義にも優先的に参加することができます(特にゼミは人数が限られているので、今後は実質的にマネジメントスクール会員に限定されると思います)。

大学院で学びたいが時間的、金銭的に余裕がない、西條のもとで学んでみたいという人にもお勧めです。

第一期募集を行ったところ数日で定員が埋まり、運営との協議を経て、12月6日から追加募集をかけましたが、こちらも追加募集定員の半数ほど埋まってきているとのこと。定員に達し次第締め切りとのことですので、関心のある方は以下のサイト(夜間飛行)をご覧ください。

https://yakan-hiko.com/meeting/ems.html

このオンラインサロンは、日本中の本質に関心を持つ人が集まり、知恵を共有し、切磋琢磨していく場にしたいと思います。

「本質」に関心があり、それを実際の人生、仕事、人間関係のマネジメント―—実践、改善、向上——に建設的に役立てていきたいとお考えのみなさま、ともに新たな地平を開いていきましょう。

ems_banner

その他の記事

嗤ってりゃいいじゃない、って話(やまもといちろう)
お悩み相談室 スナックりさちゃんへようこそ!(若林理砂)
思考実験のための『もし、トランプさんが米大統領になったら』(やまもといちろう)
大きく歴史が動くのは「ちょっとした冗談のようなこと」から(高城剛)
ビル・ゲイツと“フィランソロピー”(本田雅一)
会員制サロン・セキュリティ研究所が考える、日本の3つの弱点「外交」「安全保障」「危機管理」(小川和久)
「奏でる身体」を求めて(白川真理)
ネットによる社会の分断は、社会の知恵である「いい塩梅」「いい湯加減」を駄目にする(やまもといちろう)
改めて考える「ヘッドホンの音漏れ」問題(西田宗千佳)
ビジネスに「自己犠牲」はいらない! ーー私たちが「社員満足度経営」にたどり着いた理由(鷲見貴彦)
「本質を学ぶ場所」を作る(西條剛央)
「編集者悪者論」への違和感の正体(西田宗千佳)
いまさらだが「川上量生さんはもう駄目なんじゃないか」という話(やまもといちろう)
真の働き方改革、いや、生き方改革は、空間性と移動にこそ鍵がある(高城剛)
自然なき現代生活とアーユルヴェーダ(高城剛)

ページのトップへ