
このところ、人工知能を使った何かという報道が増えてきておりまして、私どものところも幾つか投資先が具体的なアプリケーションを発表するなどして動きが活発になってきております。
先日、日経ビジネスの井上理記者が決算記事を自動配信というニュースを流しておりましたし、実のところ、テクノロジー系のファンドでは決算発表やリリースを自動解析して内容を把握し相場に反映させるところまで一気通貫のシステムを構築しています。それで実際勝てるわけですから、もうトレーダーを高給取りにして24時間世界中のあらゆる相場に張り付かせる必要さえもなくなってきているのでしょう。
そうなると、人工知能が得意とする「完全情報ゲーム」でなくても充分に人間の認知能力を超えて判断することができるという話になる以上、人工知能の不向きな分野を避けながら空白地帯を埋めていくだけで利益を叩き出せるという世界が実現することになります。先にあったビッグデータと人工知能の組み合わせは凶悪で、再現性があり介在する人件費が膨大である分野ならばたいがいのことはできるようになってしまいます。
相場の世界では一昔前まではアルゴリズムトレードは二線級のファンドが手掛ける奇手というイメージだったのが、いまではプライベートファンドは大概は複数のモデルを組み込んだ人工知能で取り回す世界になりました。私が言うのもなんですが、人に任せるより利益を出せるのだから仕方がないよなあという感じです。私も私なりに勉強はしているつもりだし、凡百の投資家よりは数字や技術には強い自負もあるのですが、さすがに次々と出てくる新しい概念やアプローチを適切に理解し、評価するのは大変です。え、そんな方法があるの、みたいな。
結局のところ、人工知能であれビッグデータであれ、それらに作用する側の人間は淘汰され、逆に人工知能を使って現状をこうしたい、こう変えたいと願う人間にとっては福音をもたらすということになりましょう。まあ、分かってはいるんですが、人工知能のバラ色な未来が光も闇もあるグラデーションの中の現実になりつつある分だけアンテナを高くして冷静に見ていくほかないのではないかと思っております。
やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」
Vol.179 人工知能の時代を迎えるというのに、小池都政をめぐるあれこれはどうしたものかとぼやいてみる回
2017年1月31日発行発行号 目次

【0. 序文】人工知能の時代、働く人が考えるべきこと
【1. インシデント1】心配の種が尽きることない小池都政をめぐるあれこれ
【2. インシデント2】音声認識テクノロジーの行方を考える
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」のご購読はこちらから

その他の記事
|
人間の場合、集合知はかえって馬鹿になるのかもしれない(名越康文) |
|
人はなぜ「モテたい」のか? いかにして集注欲求を昇華させるかが幸福のカギ(名越康文) |
|
「iPad Proの存在価値」はPCから測れるのか(西田宗千佳) |
|
YouTube広告問題とアドフラウド(やまもといちろう) |
|
子育てへの妙な圧力は呪術じゃなかろうか(若林理砂) |
|
いつか著作権を廃止にしないといけない日がくる(紀里谷和明) |
|
マイルドヤンキーが「多数派」になる世界(小寺信良) |
|
急成長SHEINを巡る微妙で不思議な中華商売の悩み(やまもといちろう) |
|
結婚はむしろコスパサイコー!? ほとんどの若者が理解していない賢い老後の備え方(岩崎夏海) |
|
「銀の弾丸」も「必勝の奇策」も世の中にはない(やまもといちろう) |
|
クラスターとされた飲食店で何が起きていたか(やまもといちろう) |
|
高2だった僕はその文章に感情を強く揺さぶられた〜石牟礼道子さんの「ゆき女聞き書き」(川端裕人) |
|
元を正せば……という話(本田雅一) |
|
フェイクと本物の自然を足早に行き来する(高城剛) |
|
ぼくが作った映画を『進撃の巨人』の脚本を担当し『もしドラ』を酷評した町山智浩さんに見てもらいたい(岩崎夏海) |











