高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

広大な地下空間で考える東京再活性化の秘訣

高城未来研究所【Future Report】Vol.482(2020年9月11日発行)より

今週は、東京にいます。

長らく東京で宿泊していた新宿が、僕にとって面白かった理由のひとつは、全天候型の巨大な地下空間にありました。

世界最大の乗降者数を誇る新宿駅の地下空間は、JRの他にも小田急・京王・メトロと都営地下鉄の駅がつながりあって日本一広大な地下空間を形成し、さらには西武新宿駅、新宿三丁目駅、新宿西口駅、都庁前駅が有機的につながっている世界最大の地下都市です。

僕自身が「ダンジョン好き」ということもありまして、数年かけて新宿地下空間から連なるビル群の隅々まで、すべてを網羅したと自負しますが、一方、丸の内周辺の地下空間も、驚くほど広大です。

世界最大のホーム数がある東京駅を中心に、大手町駅、二重橋前駅、日比谷駅、有楽町駅、銀座駅、東銀座駅はすべて地下でつながっており、大手町駅に直結した経団連会館地下から東銀座の歌舞伎座地下までの距離は、4キロを超えます!

新宿駅から渋谷駅まで、明治通り沿いに代々木、原宿を抜けて歩く距離がおよそ3.5キロですので、相当長い地下空間なのを理解できます。

新宿駅と東京駅の地下空間の違いは、新宿駅の商業施設の多くが地下歩道に面しているのに対し、東京駅地下、特に丸の内側は、ビルの中に商業施設が入っている点が異なります。
特にこの十年、丸の内は徹底的に再開発されたこともありまして、地下には聞いたこともない(と思っているのは僕だけかもしれませんが)、「OOTEMORI(オーテモリ)」「KITTE(キッテ)」「iiyo!!(イーヨ!!)」などの誰かに騙されたとしか思えない名前の商業施設が(と思っているのは僕だけかもしれませんが)次々と生まれ、地下空間は大きく変わりました。

ビルは違えど統一された飲食店のサインボードは、三菱を中心とした地域一帯の開発連携が取れている証のようでもある一方、不揃いだったものが大きく排除された様子も伺えます。
地上にあがって仲通りを見ても、不自然なほど整えられ、おそらく広告代理店マターによる「演出された不揃い」が付け加えられたような痕跡が見受けられ、不自然な手作り感が散見するほどです。

また、千代田線二重橋前駅地下から日比谷方面地下は、いまだ開発中で工事箇所も多く、週末は人通りがまったくなくなり、ジョギングどころか、全速力で何百メートルも走れるほど「魔界の入り口」の様相です。
その上、「ダンジョン」らしく、「出口5A」と隣接する大手町駅の「出口A5」があり、なかなか混乱するところでもあります。

このような広大な地下空間は世界でも珍しく、ロンドンやバルセロナなら、あらゆる場所にストリートミュージシャンやバスカーが認可もしくは不認可でパフォーマンスを繰り広げるのでしょうが、残念ながら日本では見かけることはありません。
つまり、ハードは統一され美しく出来ても、その上に走るソフトウェアの概念がスッポリ抜け落ちているのが、東京駅周辺地下都市の特徴なのです。
いや、もしかしたら日本そのものの特徴なのかもしれません。

今後の東京の楽しみおよび再活性化の秘訣は、地下も地上もストリートの使い方にあるのだろうなと思う、秋晴れの日々のなか、地下探索に多くの時間を過ごしている今週です。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.482 2020年9月11日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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