高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

古代から続くと言われるハロウィンの起源から人類の行く末を考える

高城未来研究所【Future Report】Vol.333(2017年11月3日発行)より


今週は、沖縄の北谷にいます。

在日米軍施設キャンプ・フォスターのうち、1981年に海岸沿いにあったハンビー飛行場が返還され、隣接する海岸を新たに埋め立て、地域一帯は北谷町美浜と名付けられました。
もともと、この地域は「ハンビータウン」という俗称で呼ばれていましたが、ショッピングとエンターテイメント施設「アメリカンヴィレッジ」が開発され、いまでは年間1000万人近い人たちが訪れる、沖縄本島を代表する繁華街に成長しました。
僕も15年ほど前にこの一角で仕事をしており、とても感慨深い場所です。

この「アメリカンヴィレッジ」で、もっとも集客する日が、ハロウィンです。

90年代、ハロウィンは日本では見向きもされない海外の風習にすぎませんでしたが、2000年を前後して東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオでハロウィンイベントが大々的に開催されることによって(その強大な広告費によって)、ハロウィンは徐々に一般化していきました。
その後、スマートフォンとSNSの爆発的普及と共に、ハロウィンの日には「仮装して集まる」習慣が全国で根付くようになりました。

このハロウィンの起源については定かではなく、いくつもの説があります。

そのひとつは、11月1日を新年としていた古代ケルト人が行っていた秋の収穫祭や悪魔祓いの儀式で、その後、アメリカに渡ったアイルランドやスコットランド移民が定着させたと言われています。
前夜10月31日には、死者の魂が家族に会いに来ると古代ケルトでは考えられており、この時、悪霊も一緒に来ると信じられていました。
悪霊は、子どもをさらったり家畜や農作物に悪さをするので、悪霊を驚かせ追い払うために、仮面をかぶり、魔除けのたき火をしたそうです。
その後、ケルト人はキリスト教のカトリック系民族に侵略されてしまいますが、ハロウィンの風習は排除されることなく、キリスト教に取り入れられました。
それがキリスト教における11月1日の諸聖者の日(All Hallow's Day)であり、全ての聖人と殉教者を記念する祝日となりました。
前夜の10月31日は「All Hallow's Even(諸聖者の日の前夜)」と呼ばれ、「Halloween」または「Hallowe'en」と略されたのがハロウィンの語源になります。

別の説では、All Hallow's Dayは「すべてが神聖なものになる日」、すなわち、すべての地球上のものが死滅する日だと言われており、かつて地球に彗星がぶつかって「文明が崩壊した日」を指しているとも言われています。

その時期は、およそ1万3000年前。
ヤンガーアドレスと言われる亜氷期で、北大西洋の熱塩循環の著しい減退、もしくは停止が地球を寒冷化した原因と言われてきましたが、近年、北米大陸各地から極小のダイヤモンドが約1万2900年前の地層から発見され、「北米大陸への彗星の衝突」により巻き上げられた塵により寒冷化になったとの説が有力になってきました。
この「北米大陸への彗星の衝突」によって、サーベルタイガーのような北米大陸に生息していた大型動物のほとんどは絶滅し、人類も絶滅しかかったと言われています。
それゆえ、いまもメキシコをはじめとするユカタン半島では、ハロウィンの翌日11月1日と翌々日2日を「死者の日」と呼び、死と再生の巨大な祭りがいまも開催されています。

また、動物を狩猟の対象としていた当時の人類は、狩猟生活から、木の根、果実や小さな動物などを狩猟の対象とする生活へと、ライフスタイルを大きく変化させることによって生き延びました。
この彗星は、表面が巨大な氷で覆われ、それが太陽に近づくにつれ、徐々に蒸発していきました。
周辺にあった大量の水蒸気は、地球の引力に引っ張られて膨大な量の雨となり、地上に降り注ぎます。
その量は、地球全体の3分の2をおおうほどの広大な海を出現させてしまうほどになり、いくつかの大陸を水没させたのです。

その彗星のなれの果てが、現在の「月」だと言われています。
人間の体内時計は、いまでも1日25時間ですが、以前の地球は1日が25時間の単位で自転をしていました。
ですが、彗星=月は地球の自転に影響を与え、地軸を傾かせ、自転の時間が1日24時間になったとの説もあります。

時代の大きな移り変わりは、ある日、突然やってきます。
しかし、どんな時も変化したものだけが生き残るのは、歴史の教えです。
仮装ではなく、本当の変化、いや進化へ。
ハロウィンの夜に、人類の行く末を南国で考えています。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.333 2017年11月3日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 未来放談
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

その他の記事

パラリンピック「中止」の現実味と、五輪中止運動のこぶしの下ろし先(やまもといちろう)
殺人事件の容疑者になってしまった時に聴きたいジャズアルバム(福島剛)
安倍政権の4割近い支持率から見えること(平川克美)
交通指揮者という視点(小寺信良)
「身の丈」萩生田光一文部科学相の失言が文科行政に問いかけるもの(やまもといちろう)
週刊金融日記 第265号 <日本社会で多夫一妻制が急激に進行していた 他>(藤沢数希)
旅を快適に続けられるための食事とトレーニングマシン(高城剛)
欠落していない人生など少しも楽しくない(高城剛)
スウェーデンがキャッシュレス社会を実現した大前提としてのプライバシーレス社会(高城剛)
腸内細菌のケアを心がけたい梅雨の季節(高城剛)
フジテレビ系『新報道2001』での微妙報道など(やまもといちろう)
気候変動がもたらす望まれない砂漠の緑地の皮肉(高城剛)
週刊金融日記 第286号<日本で高額所得者がどれだけ税金を払うのか教えよう、衆院選は安倍vs小池の天下分け目の戦いへ他>(藤沢数希)
片思いの恋愛感情、相手に伝えるべき?(家入一真)
スーツは「これから出会う相手」への贈り物 (岩崎夏海)
高城剛のメールマガジン
「高城未来研究所「Future Report」」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回配信(第1~4金曜日配信予定。12月,1月は3回になる可能性あり)

ページのトップへ