※高城未来研究所【Future Report】Vol.535(2021年9月17日発行)より
今週は、前橋にいます。
日本百名山「赤城山」は、黒檜山、駒ケ岳、地蔵岳、長七郎山などの山々の総称で、年間200万人近くが訪れていた群馬県有数の観光地でした。
しかし、新型コロナウィルス感染拡大以降、ビジターセンターやキャンプ場が相次ぎ閉鎖となり、訪れる人が激減。
いまだ復活の兆しは見えませんが、今年も紅葉がチラホラみえはじめ、美しい山には変わりありません。
このような現状を鑑み、多くの方々から「いつ、コロナ以前の状態に戻れるのか?」とのご質問を何度も頂戴しますが、僕は二度と戻ることがないと考えています。
新型コロナウィルス感染拡大は、アジアを見る限りピークアウトしたようにも見え、スペイン風邪の感染拡大および収束と同じような経路を辿っています。
もしそうならワクチンはそこまで効果なく、また集団免疫も獲得できなくともウィルスの弱毒化によってピークタイムが徐々に短くなり、スペイン風邪を例に取れば、来年小さな波があって、その後落ち着くものと思われます。
ただし、人々の変わった価値観は、そう簡単には戻りません。
赤城山登山のような体験することが重要な観光業は多少戻るとしても、航空業界やホテル業界を支えていた「美味しいビジネス客」は、会議やカンファレンスのオンライン開催(併催)が常態化し、企業側からみれば経費削減と環境保護の観点から元に戻るとは考えづらく、また、働く人は「自分のあたらしい時間」を見つけることができるようになったことから抵抗し、多くの人たちが、もう「かつてとは違う世界」を歩み出しているように思われます、まるで並行世界で生きるように。
以前の僕が、もし新型コロナウィルスが感染拡大することがなかった世界にいるとすれば、今月はイビサのクロージング・イベントで仕事と私事に興じ、今年公開したドキュメンタリー映画が世界の食をテーマにした映画祭を回ってて、今月はモントリオールで開催中の映画祭に出品していることからカナダで数日過ごし(最優秀ドキュメンタリー賞を受賞しました! ので取材対応)、この冬に予定しているパリ撮影のためのロケハンと、ロンドンでのシンフォニー演奏の収録に立ち会い、政府が国内の農業をすべて有機生産にしたスリランカのアーユルヴェーダ施設で、取材を兼ね新刊を書くために10日間ほど籠っていると思います。
しかし、そのような世界はもう過去(別)の世界。
では、いったいいま、僕はこの世界でなにをしているのか?
それは、サイバースペースの開拓です。
昨年、物理的な渡航ではなく、ひたすらインナースペースの旅路を極めたことから「脳のオイル交換」する方法を編み出しましたが、今年は、サイバースペース内に医療とクリエイティビティを高めるための空間構築に精を出しています。
もし、いつでもどこでも自分の体内をリサーチでき、「本当の自分」を可視化することが可能で、また、いつの日か自分の肉体がなくなり、魂と精神をデジタル化する日が来るなら、「遊び場」が必要です。
それをこの好機に作っておこう!と考え、サイバースペースの開拓に邁進しています。
いま、何かが大きく変わりつつあります。
この先、物事はこれまでと違ってくるのは間違いなく、これまでと同じまま続けていくことはできないはずです。
過去に区切りをつけ、自分の強みを生かし、次のチャンス(とピンチ)に備えること。
それが「いま」だと、ゆっくり紅葉がはじまった赤城山を見ながら考える今週です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.535 2021年9月17日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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