【変わらぬ好評! 春の新生活はこれを読んでから!】
『部屋を活かせば頭が良くなる』
夜間飛行、2014年11月
人の才能に大差なし。
脳力は環境が育てます!
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前著『部屋を活かせば人生が変わる』から、さらに人の「脳力アップ」に焦点をあてたヘヤカツ本第二弾、ここに登場!
『部屋を活かせば人生が変わる』
夜間飛行、2014年11月
部屋を考える会 著
あなたのやる気の99%は、部屋の「流れ」が決めている!!
あなたではなく、部屋が変われば、あなたの意思は自然に強くなり、眠っていた能力が引き出されます。
「クリエイティブな仕事」とは何か?
世の中には、自分の仕事に不満を持っている人が多い。
いわく、
「好きでやっているわけではない」
「生活のために仕方なくやっている」
「できることなら仕事をしたくない」
放送作家をやっていた頃、そういう人からよく、「好きなことを仕事にできていいですね」と言われていた。特に、若い人にそう言う人が多かった。
しかし、そう言われるたび、ぼくは違和感を覚えていた。
なぜかといえば、一つには、単純に「放送作家という仕事があまり好きではなかった」からだ。苦手だったのだ。だから、いつも「辞めたい」と思っていた。それでも、なかなか辞めることができず、うんうんと苦しんでいた。
そんな状態なのに、他者からは「好きな仕事をしている」と見られることに、違和感を覚えていた。
そのため、そう尋ねてきた人たちにはよく、「どうして好きな仕事をしているように見えるの?」と尋ね返していた。すると、その人たちは決まって、次のような答えをしたのである。
「だって『クリエイティブな仕事』じゃないですか!」
彼らは、放送作家という仕事は「クリエイティブな仕事」だから、好きなことをしている――というイメージを抱いていた。そうして、それに比べて自分たちは好きな仕事をできていないと感じていた。
なぜなら、そこに楽しみややり甲斐を見出せないということももちろんあっただろうが、それ以上に、クリエイティブではない――つまり自分たちの創意工夫を発揮できないお仕着せの仕事だと感じていたからだ。
しかしぼくは、そのことに違和感を覚えた。
というのも、放送作家というのは確かにクリエイティブに見られるところがあるのだが、ぼく自身はそう感じてなかったからだ。むしろ、表現や創作以外にしなければならないことが多すぎて、ぼくは「全然クリエイティブじゃない」と感じていた。だから、「もっと表現や創作に専念できる仕事がしたい」と、ずっとやきもきしていたのである。
しかし、他者から「クリエイティブな仕事」と当たり前のように思われている現実を知って、ぼくは新たな視点を得ることができた。
それは、「その仕事がクリエイティブかどうかは、本人がどう考えているかによる」ということだった。
確かに、放送作家にも、クリエイティブな仕事をしている人たちはいた。彼らは、ぼくが「表現や創作ではない」と決めつけた部分に対しても創造性を発揮して、クリエイティブに仕事をしていた。そうして彼らは、確かに好きなことを仕事にしていたのである。
そう考えると、好きな仕事をできているかどうか――言い換えれば仕事をクリエイティブにできているかどうかは、けっして職種で決まるものではないということが分かった。放送作家はもちろん他の職業でも、仕事をクリエイティブにできるかどうかは、その人の考えや姿勢如何で決まるのである。
運転手のほうがクリエイティブだと感じた
ぼくはその後、放送作家を廃業し、小説家への転身を図った。しかし、それも結局挫折して、紆余曲折を経た後、秋元康さんの運転手をすることになった。
するとそこで、面白いことが分かった。それは、運転手の仕事というのは、始める前は想像もつかなかったのだが、創造性を発揮すれば、クリエイティブにできる仕事だ――ということだった。そうしてぼくは、そこに放送作家以上の面白さややり甲斐を見出したのである。
一般的なイメージでは、放送作家というのはクリエイティブな仕事だし、運転手というのはクリエイティブな仕事ではない。しかしながら、ぼくはどちらかといえば運転手の方がクリエイティビティを発揮できた。
なぜかといえば、運転手というのは「何を」するかというのは決まっていたが、「どう」するかというのはあまり決まっていなかったからだ。そのため、そこの部分で創造性を発揮することができたのである。
放送作家をしていたときのぼくは、ルーティンワークに陥ってしまって、仕事のやり方について、創意工夫をこらしていなかった。それよりも、「何を」するかということばかりにこだわっていた。
しかしながら、運転手をするようになると、「どうするか」ということについて考えるようになった。そうしてそこで、クリエイティブに仕事をすることができるようになったのである。
そのときぼくは、仕事というのは「何を」するかではなく、「どう」するかということにこそ本質があるということに、初めて気づかされた。
そして仕事というのは、「何を」するかに悩むのではなく、「どう」するかに悩むことで、クリエイティブかどうかが決まる――すなわち「好きなことを仕事している」かどうかが決まる、ということを知ったのである。
それ以来、ぼくは「何を」するかではなく「どう」するかということにこだわりながら、仕事をするようになった。すると、運転手の後にもいくつかの仕事を経験したのだが、そのいずれでも、そこに楽しさややり甲斐を見出し、クリエイティブな仕事ができるようになったのである。
またぼくは、ぼく以外の人に対しても、その人が「何」を、ではなく「どう」仕事をしているかというのを見るようになった。すると、やがて一流の仕事をする人ほど、「何を」ではなく「どう」するかということにこだわっているということが分かってきた。
例えばイチローは、試合よりも練習をどう過ごすかに、大きく神経を割いている。あるいは村上隆さんも、「どう制作するか」ということに強くこだわった結果、他に類を見ない工場のような工房を作りあげた。
スティーブ・ジョブズもそうだ。彼は、無類の工場フェチだったという。そうして、製品を企画する際には、どのようなものを作るのかということと一緒に、どのような工場で作り、どのように売るかということまでクリエイトしていたという。
実は「ヘヤカツ(部屋活)」という考え方が生まれたのも、「どう」するかということにこだわった結果だった。人生を気持ち良く過ごすためには、「何を」するかよりも「どう」するかがだいじで、それには、何よりも環境である「部屋」が大切だということに気づかされたのである。
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岩崎夏海
1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。
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