やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

Amazon(アマゾン)が踏み込む「協力金という名の取引税」という独禁領域の蹉跌



 先日来話題になっていたAmazon Japanの施策が、日経の記事になっていました。

アマゾン、取引先に「協力金」要求 販売額の1〜5%

 私の投資先や取引先にも五月雨式に上記ご打診がアマゾンからあり、内容に対する憶測を呼んでいるところではあるのですが、取引条件の悪化など何らかの優越的地位の濫用でもない限り、いまのところ適法であるので、いろいろ気にしつつ様子を見ているところではあります。

 もちろん、配送に関する取り決めでも、記事にある通りヤマトとは大幅な値上げになり、顧客に価格をいきなり転嫁するのも難しいので、アマゾンとしては大口取引先から順次これらの「協力金という名の取引税」を被せていってコストを合わせようとするのもまあ分からないでもありません。

 アメリカの事例では、プライム会員の値上げはともかく、個人向け大口需要ではアマゾン一人勝ちの状態が続き、買い置きの飲料や食材を扱うウォルマートなどセラーの経営状態が悪化している、というのが実態です。なにぶん、定期的な来店を促すのはこれらの「水物」と言われる飲料や酒類、パスタ、おむつなどの定期購入するものですので、ここをアマゾンに奪われると「水が切れる前に来店する」というサイクルが失われて急速に来客数も客単価も下がる、というのがジレンマなわけです。

 かたや、日本では分野によってはアマゾンが失速しているものがあり、そういう分野の取引先にはこれらの「協力金」を求めていないんじゃないか、という観測もあります。もっとも、事実関係が知れていないだけかもしれませんが。いずれにせよ、配送のボトルネックがアマゾンの成長戦略に影を落とした結果、これを顧客に価格転嫁しないで販売側で吸収するという戦略に出た成否はこの「協力金」の支払いに反旗を翻す取引先がどれだけ出るのかによって決まる、とも言えます。また、そこでアマゾン側が「協力金」を支払わない取引先との取引条件を見直したり、掲載順位を変えたりという事態が発生すれば、かなり速やかに独禁事例となるため興味津々なところはあります。

 モールはこの手のコスト増に対して打てる手がそれほど多くないので、いろいろ思案のしどころかもしれません。

 

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Vol.218 Amazonの「協力金」施策を眺めつつ、仮想通貨のあれこれに再度ツッコミを入れてみる回
2018年2月28日発行号 目次
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【0. 序文】Amazon(アマゾン)が踏み込む「協力金という名の取引税」という独禁領域の蹉跌
【1. インシデント1】混乱続く仮想通貨周りに晴れ間はのぞくか
【2. インシデント2】仮想通貨はテクノロジーにとって幸いなのか禍なのか
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

 
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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。サイバーインテリジェンス研究所統計技術主幹など歴任。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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