小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」より

コデラ的恋愛論

※メールマガジン「小寺・西田の金曜ランチビュッフェ」2016年6月10日 Vol.085 <役に立つことの正体号>より


最近どういうわけか、妙齢の女性から恋愛相談を受けることが多い。要するに結婚したいんだけどできないのはなんで? 的な話だ。いや喫茶店に呼び出されてガチトーク的なことではなく、酒の席になるとたいていそういう話を聴く羽目になる程度なのだが、ここ1年ぐらいで確実に増えている。そもそも50過ぎの結婚に失敗したおっさんに相談しても、100%完全に時間の無駄だと思うのだが、どうやら安全パイだと思われているのかもしれない。

まあせっかく相談されたことだし何か気の利いたことのひとつもひねり出してあげようと思うのだが、なかなか短時間では難しい。そこで次の相談に備えて、この辺でまとめておくのも良かろうと思う。こういうのは2週に一度は戯れ言を書いても怒られない当メルマガシステムのいいところである。

そもそも相談してくる人には、結婚できない致命的な理由は見当たらない。年齢的にも結婚に早すぎるでもなく遅すぎるでもなく、性格にも問題ないし浪費癖のような変なクセもない。容姿も至って普通、というかコデラ基準では上の女性であり、結婚できない理由はこっちが聞きたいぐらいである。

だがいろんな人の話を聴いていくと、だいたい皆同じパターンにハマっていることがわかってきた。

「出会いがない」のは本当か

結婚したくてもできない理由は、相手がいないからである。当たり前だ。出会いがないとぼやくケースが多いが、実際社会生活を営んでいて、異性とまったく接触なく生きている人というのはいないわけである。周りが既婚者だらけだったりすることもあるかもしれないが、未婚者がいても好みじゃないという状況はあると思う。

だが普通は恋愛って、一目見てすぐ恋に落ちるみたいなケースは希だ。イケメンにポーッとなることはあるかもしれないが、それは容姿に惚れているだけであって、人間的な中身の評価をしていない状況で結婚まで考えないだろ普通。

多くの女性は自分の直感を信じる傾向が強く、最初に会った時の印象でピンと来なければダメ、という基準線を張る人が多い。だが相手の人柄などは、そんなに短い間でわかるわけはないんである。

逆に考えてみればわかる。自分の80%ぐらいを、1時間の間に相手に説明できるだろうか。できたとしたら、それはものすごく中身がペラッペラだということになる。

人間同士、仕事上の付き合いとしてそつなく付き合うのには大して時間はかからない。だが恋愛に至るには、相当長い間時間をかけないと、その人の恋愛対象としての良さは見つからないものだ。

つまり、出会いがないのではなく、出会ってはいるが自分の方がそんな気になっていないだけなのである。まさかあんなバカと、という相手をよくよく見てみると、案外いいところがあったりするハズだ。そのいいところは、時間をかけないと見えてこないわけである。

実は「必要ない」のではないか

結婚したくてもできない女性に多いパターンその2としては、現在結婚してなくてもそれなりに生活が充実していることがあげられる。安定した仕事もあり、収入も1人で暮らして行くには困らないか実家住まいで、趣味もあり、交友関係が広く、飲み会にはたいてい声をかけられ、facebookとInstagramはメシの写真だらけで、私生活が十分に充実している。足りないものは恋愛だけ、というケースだ。

そういう人が相手が欲しいアピールしても、男の側からすればまったく本気だとは思えない。なぜならば、デートの誘いも仲間と飲むからという理由で断わりそうなイキオイを感じるからだ。つまり男にしてみたら、彼女の人生の中に自分がいるスペースをまったく感じないのである。

恋愛というのは、お互いの必要性を感じるところから始まるものだ。自分が必要とされていない相手への感情は、愛情ではなく「ファン」的な好意止まりだ。飲み会には頻繁に誘われるが恋愛には至らない女性は、思い当たる節がないかよく考えてみてはいかがだろうか。

「人の魅力」の原泉

婚活に向けて容姿を磨くというのは、よくあるパターンだ。エステやネイルサロンにそれなりの投資をしている人も多い。容姿が向上することで自信のある態度になるというのは、多くの人の中でパリッと輝くため、他の女より一段高い台に乗るには必要かもしれない。

だがそれは「目立つ」だけであって、実は恋愛とは関係ない。人の魅力というのは、「完全な部分」には感じられないものなのではないだろうか。ああ、綺麗ですね、しっかりしてますね、完璧ですね、みたいなところからは、恋愛感情は生まれてこない。

そうではなく、弱いところやダメなところに、人の魅力はあるのだ。いいところとダメなところが共存していることが興味深いわけであり、ダメな部分が高コントラストでわかりやすいことが重要なのである。たとえば可愛いワンピース着ていてもアホ毛が立っているとか、ヒール履いてきたら捻挫したとか、お酒大好きと豪語するから飲ませてみたら簡単にベロベロになるとか、そういうところだ。

いい女に見せる努力は、同性のためにやっているに過ぎない。すなわち一段高い段の上に乗るためのものだ。男は一段高い女を見てはいるが、口説いてやろうとは思わない。口を開けてバカみたいにぽかんと眺めているだけだ。いや口説いてやろうという猛者もいるかもしれないが、そういう男があなたと結婚して、あなただけで満足すると思いますかね? 努力の方向性が、そっちじゃないんだよね、と思う。

でもありのままの自分を受け入れてくれる人を探す女のほうがイタイじゃないの、と言うだろう。いい歳して白馬の王子様なんて待ってられないわよ、と。こっちから撃ちに行くのよ、と。

肉食系大いにけっこうだが、実際に結婚相手は、もっと身近にいるものだ。今どきお見合いで結婚する人などほとんどいないわけだから、古今東西みんな結婚する相手はたいてい、身近な人なのである。

もうちょっとレーセーに周り見てみたらどうかな、と言いたいンである。

 

小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ

2016年6月10日 Vol.085 <役に立つことの正体号> 目次

01 論壇【西田】
 ジャーナリスト・石川温さんと語るロボホンの可能性・前編
02 余談【小寺】
 コデラ的恋愛論
03 対談【小寺】
 子供と「ネット生放送」の関係を整理する(5)
04 過去記事【西田】
 「Silverthone」で変わるインテル
05 ニュースクリップ
06 今週のおたより
07 今週のおしごと

 
12コラムニスト小寺信良と、ジャーナリスト西田宗千佳がお送りする、業界俯瞰型メールマガジン。 家電、ガジェット、通信、放送、映像、オーディオ、IT教育など、2人が興味関心のおもむくまま縦横無尽に駆け巡り、「普通そんなこと知らないよね」という情報をお届けします。毎週金曜日12時丁度にお届け。1週ごとにメインパーソナリティを交代。   ご購読・詳細はこちらから!

その他の記事

海賊版サイト「漫画村」はアドテク全盛時代の仇花か――漫画村本体および関連会社の全取引リストを見る(やまもといちろう)
「スルーする」ことなど誰にもできない――過剰適応なあなたが覚えておくべきこと(名越康文)
なぜいま、世界史なのか? なぜ『最後の作品』が世界史なのか?(長沼敬憲)
『寄生獣・完結編』の思わぬ副産物/『幕が上がる』は和製インターステラーだ!ほか(切通理作)
「自由に生きる」ためのたったひとつの条件(岩崎夏海)
「科学的」と言われることは「現在のひとつの見方」にしか過ぎない(高城剛)
今週の動画「太刀奪り」(甲野善紀)
あらためて「アメリカ放題」を解説する(西田宗千佳)
宗教や民主主義などのあらゆるイデオロギーを超えて消費主義が蔓延する時代(高城剛)
ICT系ベンチャー「マフィア」と相克(やまもといちろう)
「なぜ本を読まなければいけないのか」と思ったときに読む話(名越康文)
『「赤毛のアン」で英語づけ』(2) 何げないものへの〝感激力〟を育てよう(茂木健一郎)
「50歳、食いしん坊、大酒飲み」の僕が40キロ以上の減量ができた理由(本田雅一)
狂気と愛に包まれた映画『華魂 幻影』佐藤寿保監督インタビュー(切通理作)
東京の広大な全天候型地下街で今後予測される激しい気候変動について考える(高城剛)

ページのトップへ