※名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)」 Vol.100(2015年5月18日)より
[Q] 人の幸せが喜べない自分がいます
22歳、大学生女子です。
学校で仲の良い友人が何人かいるのですが、その友人たちが幸せそうにしているのが素直に喜べないときがあります。具体的に言うと、自分が彼氏や学校など全てうまくいっているときは人の幸せも喜べますが、うまくいってないと妬んでしまう自分がいるというか……。こんな小さい自分が嫌いになりそうです。
名越先生、どうしたら自分と周囲を比較せず、素直に人のことを喜べるようになりますか?
[A] 幸せの分母を増やしてください
「人と比較してしまう」ということは、人間の性みたいなものなんです。ですから、いくら成長したところで、なかなかきっぱり手を離す、ということは難しい。僕自身、50代になっても、相変わらずくだらないことで比較して、嫌な気分になったり、羨ましく思ったりすることがないとは言えないのです。
ただ、だからといって「素直に他人の幸せを喜ぶことができない」ということはありません。なぜかというと、他人と比較して一喜一憂するようなことは、僕の人生における幸せの中の「ほんの一部」になりつつあるからです。
例えばいま、あなたの幸せが100あるとしましょう。彼氏によって満たされている部分が40、学校の勉強がうまくいっていることによって満たされている部分が30、それ以外の部分が30ある。
彼氏の存在によって、あるいは学校の勉強がうまくいっていることによって、あなたが幸せを感じている。このこと自体は素晴らしいことです。ただ、ちょっとあなたの幸せ全体のなかで、それらが占めている比率は高過ぎるかもしれません。彼氏との関係性や、勉強の成績が悪くなった瞬間、あなたの幸せは大きくそのバランスを崩してしまうでしょう。
問題は「分母の大きさ」です。
もっともっと、あなたは「幸せの分母」を増やすことができるはずです。彼氏や勉強以外に、あなたがあなたの力で幸せになれる時間を少しずつ増やしてください。いま30ある「それ以外の幸せ」をひとつひとつ、増やしてみてください。その結果、相対的に「あなたの幸せ」における、彼氏や、勉強の比率が下がってくるでしょう。(もちろん、比率が下がるからといって、幸せが減るわけではありません。むしろ、分母を増やすことによって「彼氏と過ごすことの幸せ」もまた、安定してくるはずです)
これはいわば、「心の基礎工事」です。
基礎工事が終わっていない人はどうしても、人と比較して、人のことを妬み、他人の幸せを素直に喜べないことが起こります。これは誰だってそう。誰もが通る道なのです。まだあなたは22歳なのですから、まったく焦る必要はありません。段々と「他人に満足させてもらう時間」だけではなく、「自分で自分を満足させる時間」を増やしていく、ということを目標にしてみてください。
具体的には、習い事を始めてみるというのもいいでしょう。「何をやっていいかわからない」と思ったら、親でも、知り合いでも、自分が尊敬できるなあ、と感じる人が何に関心を持ち、何を楽しんでいるのか、ということを調べてみてください。
学校の勉強をする中でも、単に成績を取る、ということだけではなく、卒業した後も一生学び続ける自分のテーマを探してみるのもいいでしょう。
そうやって、「自分が、自分の力で幸せになれる時間」を増やしていく。そうやって『幸せの分母』が増えていくことで初めて、人は人に、優しくなれるのです。
名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)」
2015年5月18日 Vol.100
目次
00【募集再開!】名越式性格分類ゼミ(通信講座版)第2期募集
01【近況】占いこそが心理学の王道かもしれない
02精神科医の備忘録 Key of Life
・絶望こそが希望だ
03【コラム】観念的な家族主義が日本を救う
04カウンセリングルーム
[Q1]どうしたらモテるようになりますか?
[Q2] 人の幸せを素直に喜べません
05塾通信(57)「後はよろしく」の5種、あくまで「張り合う」7種
06講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】
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