高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

“B面”にうごめく未知の可能性が政治も社会も大きく変える

高城未来研究所【Future Report】Vol.287(2016年12月16日発行)より


今週は、東京で忘年会ウィーク2週目です。

自分の読者感謝大忘年会が終わってからすっかり気が緩み、日々各界の忘年会をまわっています。
久しぶりの東京長期滞在、とは言っても3週間強ですが、忘年会の名の下に夜中まで騒ぎ倒すのが日課になりまして、案の定すっかり体調を崩し、行かねばならないバンコクへの渡航も伸びに伸びています。
さすがに、この週末のフライトは、ミスるわけにはいきません。

さて、忘年会の話題は、やはり最新医療とメディアで、最新医療に関しましては、このメールマガジンでも幾度となくお伝えし、早々に書籍にまとめるつもりでおります。

一方、メディアの今後につきましては、僕もまだ思案中ではありますが、この先5-6年でパラダイムシフトが起きると考えています。
実はエンターテイメント業界にはA面とB面がありまして、A面は、テレビと大手芸能プロダクションによって仕切られる、企業の代弁者が活躍する場所です。
大切なのは、視聴率と好感度。
それゆえ、自由な発言や行動は認められず、自主規制と相互監視の世界です。

一方B面は、テレビなどのマスメディアや既得権益によるしがらみを一切無視し、顧客とダイレクトにつながり、企業と企業の代弁者を「嘘くさい」と一刀両断する人々で、ここの代表的人物が、実業家からエンターテイメント業界経て、政治家へと転身したドナルド・トランプです。
このB面には、好感度も評判もマスコミ受けも関係なく、エンドユーザーとしっかりエンゲージすることだけが目的とされています。

このA面とB面の入れ替わりが米国でおきつつあり、おそらく2020年代の日本でも同じことが、あらゆる業界で起きるのではないか、と僕は考えています。

では、テレビに変わるメディアとは、インターネットなのでしょうか?

確かにNetflixをはじめ、既存の地上波テレビ局を凌駕する動きは、米国でも欧州でも驚くほどの速度で進んでいますが、これに対抗するため、日本の各局は、経済産業省を巻き込みながら、キー局合同のオンディマンド・サービスをはじめると予測されます。
そうなると、地上波がインターネットに変わっただけで、日本のマスメディアはなにも変わらず、日本も変わりません。
インターネット放送になっただけのバラエティ番組が、さらに拡散されることになります。

しかし、テレビをメディアとして見るのではなく、時代の共通認識装置としてみれば、インターネットは、それに変わるひとつの手段になりえます。

表現の場は、インターネットでもライブでも、なんだっていいんです。
ただし、それを面白いと思ったら、「個」の口々に広めることが大切です。
その手段はSNSでも、口コミでも、メールでも、電話でもなんでも構いません。

選挙の一票では、まだまだ社会は変わりそうにありません。
しかし、B面にうごめく未知の可能性を「面白い!」と思ったら、それを自分なりの方法で個々が出来るだけ大声で伝えることはできるはずです。
その波が、大きく早くなった時、A面は勝手に瓦解するでしょうし、結果、政治も社会も大きく変わることでしょう。

東京の冬の各界の忘年会に出ながら、実感しています。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.287 2016年12月16日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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