本田雅一
@rokuzouhonda

メルマガ「本田雅一の IT・ネット直球リポート」より

“スクランブル化”だけで本当の意味で「NHKから国民を守る」ことはできるのか?

※この記事は本田雅一さんのメールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」 Vol.051「"スクランブル化"だけで本当の意味で「NHKから国民を守る」ことはできるのか?」(2019年8月23日)からの抜粋です。



先の参院選で「NHKから国民を守る党」が議席を取り、さらには既存の国会議員も合流しただけで終わるのではなく、党首の立花孝志氏がマスコミを騒がせる劇場型の露出を繰り返しています。このメルマガで政治的な発信をしたいとは思いませんから、N国党の是非に関して論じるつもりはないのですが、一方でNHKの受信料やスクランブル化にまつわる話は、これまでにいくつも取材を重ねてきたこともあり、少々気になっているところです。

気になるというのは、わかりやすい対立軸で現実を直視しているようで、実は現実に即していない主張がなされているからです。N国党の主張は実にシンプルで、NHK受信料を払った人だけがNHKを視聴できるようになる“NHK放送のスクランブル化”以外の主張なしで議席を得ました。達成された際には党を解党、自身も議員を引退することを党首の立花氏は明言しています。

例えば昨今の国政選挙では必ず議題となってる“憲法改正”に関しても、国会の発議については当面は反対するものの、NHK放送のスクランブル化を条件に賛成する方針を公言している上、立花氏自身は改憲の賛否に関して自身の考えは示さない方針です。“NHK放送のスクランブル化”以外には目的がないのだから、これでもいいのでしょう。

比例区3%を超える得票を得て議席を取ったのですから、NHK放送のスクランブル化を望む国民が、それなりにいるということになります。では、N国党が主張するNHK放送のスクランブル化が進むと、どんな結果がもたらされるのでしょう?
 

Topic NHKの“スクランブル化”とは?

さて、N国党の動きというのは、よくその動静を見ていると無茶苦茶な部分も多く、NHKの受信料を支払う・支払わない以前に、一般のタレントが述べた感想について抗議をしたり、抗議行動に対してあらかじめ報道各社の取材陣を集めるなど目に余るところもあります。

しかし、ここではまず彼らの基本的な主張について考えてみましょう。N国党の基本的な主張、すなわちNHK放送をスクランブル化するとどうなるのか?です。
 

そもそも“公共放送”とは?

ご存知の通り、NHKは“公共放送”を提供する特殊法人です。地方自治体などが行う放送もありますが、ここでは国が定めている公共のテレビ放送について話を進めます。

「国営」でない理由は、国政とメディアを切り離すためで、同じような位置付けの放送局ほとんどの国にあり、それぞれ各国ごとにそのあり方が位置付けられています(なお世帯あたり料金に関しては欧州先進国の例ではNHKの地上波契約と衛星契約の間ぐらいが一般的でNHKの受信料が特別高いわけではありません)。放送メディアは時の権力によるプロパガンダにも使われていた経緯があるため、どの国でも、国が放送に関わる際には権力との分離が強く意識されている、と考えればいいと思います。


 
(この続きは、本田雅一メールマガジン 「本田雅一の IT・ネット直球リポート」で)
 

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2014年よりお届けしていたメルマガ「続・モバイル通信リターンズ」 を、2017年7月にリニューアル。IT、AV、カメラなどの深い知識とユーザー体験、評論家としての画、音へのこだわりをベースに、開発の現場、経営の最前線から、ハリウッド関係者など幅広いネットワークを生かして取材。市場の今と次を読み解く本田雅一による活動レポート。

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本田雅一
PCハードウェアのトレンドから企業向けネットワーク製品、アプリケーションソフトウェア、Web関連サービスなど、テクノロジ関連の取材記事・コラムを執筆するほか、デジタルカメラ関連のコラムやインタビュー、経済誌への市場分析記事などを担当している。 AV関係では次世代光ディスク関連の動向や映像圧縮技術、製品評論をインターネット、専門誌で展開。日本で発売されているテレビ、プロジェクタ、AVアンプ、レコーダなどの主要製品は、そのほとんどを試聴している。 仕事がら映像機器やソフトを解析的に見る事が多いが、本人曰く「根っからのオーディオ機器好き」。ディスプレイは映像エンターテイメントは投写型、情報系は直視型と使い分け、SACDやDVD-Audioを愛しつつも、ポピュラー系は携帯型デジタルオーディオで楽しむなど、その場に応じて幅広くAVコンテンツを楽しんでいる。

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