今月21日、ヤフーの取締役に孫正義さんが退く人事と共に、元Googleのニケシュ・アローラさんがヤフー会長に就任する人事が発表となりました。観測どおりとはいえ、外側からは「お手並み拝見」とニヤニヤして見ているわけにもいかなさそうな話に発展しつつあります。
ヤフー会長にアローラ氏…孫氏は取締役に退く
http://www.yomiuri.co.jp/it/20150521-OYT1T50094.html
というのも、このインド出身のニケシュ・アローラさんはかねてからアメリカ当局に対して非常に協力的な人物としても知られ、その一方で非常に攻撃的で、Googleで「望む仕事ができていない」アジアパシフィックで活躍している人たちを十人単位でヘッドハントしソフトバンクグループに連れてくるだろうと予測されているからです。その意味では、日本国内ドメステッィックな高収益企業として、PC時代の日本のインターネットシーンを牽引してきたYahoo! JAPANの事業領域を大きく変更・拡張すると見られます。
ここまでは「まあ、そういう判断をした孫さんなりの英断じゃないの。何しろ、ご自身の後継者だそうだし」という話にすぎませんが、当面の注目でいうと、ニケシュ・アローラさんや関係の深いアメリカの当局者に対して吐露した日本のヤフーシニアマネジメント層への絶望的な評価の低さを受けて、彼がどう行動に移そうとするかです。
単純な話、いまのYahoo! JAPAN宮坂体制において、川辺さん、村上さん、小澤さんといった「日本ローカルな人材」については早い段階で御役御免になり、アローラ体制に変更後は惜しげも無く放逐されるのではないかと言われています。日本のベンチャーシーンでは比較的好意をもってみられることも多い「おざーん」こと小澤隆生さんも低評価ゆえのリリースもあり得るとされています。ありあまるキャッシュを持ち、高い成長余力を抱えながら、これといったきちんとした成果が出ていないのは何なのか、という率直な見解をアローラさんがしている、という話は、いわゆる「日本型のICT大企業マネジメント」や、日本流のスピード経営というものの限界とも感じられる側面でもあります。
同様に、孫さんが自身の後継者探しをする目的で開設したソフトバンクアカデミアでは、グループ関係者がはっきり指摘するように「失望する程度の人材しか集めることができなかった」こともまたひとつの要因ではなかったかと思います。つまり、ソフトバンクが孫さん一代の才覚で拡大したものの、孫さんの築いた「ソフトバンク」「Yahoo!JAPAN」の看板の元にはついにその後継者たる人物は現れることがなかった、とも言えるわけです。
ソフトバンクアカデミアWebサイト
http://www.softbank.jp/corp/special/academia/
(続きは、Part 2にて)
やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」
Vol.130<ソフトバンクとアリババ集団によるヤフージャパンの分割統治を憂う一方、ネットメディアの今後を吟味する回>
【0. 序文】Yahoo! JAPAN「爆速」の終わり Part 1
【1. インシデント1】Yahoo! JAPAN「爆速」の終わり Part 2
【2. インシデント2】商業ネットメディアの転換期がそろそろやってきそうな今日この頃です
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
「人間迷路」のご購読はこちらから
【月1で豪華ゲストが登場!】山本一郎主宰の経営情報グループ「漆黒と灯火」詳細はこちら!


その他の記事
![]() |
無我夢中になって夏を楽しむための準備(高城剛) |
![]() |
「韓国の複合危機」日本として、どう隣国を再定義するか(やまもといちろう) |
![]() |
歩き方の上手い下手が人生を変える(岩崎夏海) |
![]() |
ファッション誌のネットを使った政党広告炎上は本当に“炎上”だったのか(本田雅一) |
![]() |
Qualcommブースで聴いたちょこっといい話(小寺信良) |
![]() |
雨模様が続く札幌で地下街の付加価値について考える(高城剛) |
![]() |
本気でスゴイ!手書きアプリ2つをご紹介(西田宗千佳) |
![]() |
「本当かどうかわからない数字」に左右され責任を押し付けあう日本社会(高城剛) |
![]() |
改めて考える「ヘッドホンの音漏れ」問題(西田宗千佳) |
![]() |
極めてシンプルでありながら奥が深いシステマ小説(西條剛央) |
![]() |
京都で実感した宗教を超える文化のグローバリゼーション(高城剛) |
![]() |
3.11、iPS誤報問題で変わる、科学とのかかわり方(津田大介) |
![]() |
過疎化する地方でタクシーが果たす使命(宇野常寛) |
![]() |
「すぐやる自分」になるために必要なこと(名越康文) |
![]() |
「iPad Proの存在価値」はPCから測れるのか(西田宗千佳) |